良好なクリニック経営のためには
「教育されたスタッフ」
「好立地での開業」
「十分な設備投資」
「近隣の競合の有無」
「ニーズのある患者さんの有無」
など、これら全てが重要な要因になってきます。
そして、これから先のクリニック経営に
とっては「良好な病診連携の構築」
も重要となります。
今後さらに高齢化が進む日本において、
限られた医療資源をいかに効率よく
供給できるかがクリニックにも問われ始めているからです。
クリニック内だけで患者さんが望む
全ての医療行為を完結するのは
ほぼ不可能である以上、良好な
病診連携を構築できなければ患者数や
収益にも影響が出てしまいます。
そこで本記事では、開業医が良好な
病診連携を得るための方法について
詳しく解説していきます。
もくじ 病診連携の必要性とは? 良好な病診連携を得るための具体的な方法 ① 各病院の得意分野を把握する ② 各病院の診療システムを把握する ③ 各病院の容量を把握する まとめ |
病診連携の必要性とは?
日本では2025年に団塊の世代が
75歳以上になり、かつ人口の減少が
見込まれているため、近い将来医療や
介護、看護や福祉の分野において
需給の逼迫が予想されます。
そこで、これらの問題を解決すべく、
日本ではこれまで地域医療連携や
病診連携を促進させてきました。
地域医療連携や病診連携の構築に
よって、地域の患者さんに対して
急性期は病院で、回復期を経て自宅に
戻ればクリニックで、
スムーズに切れ目のない医療を提供できるからです。
しかし、病診連携と言っても
病院とクリニックでは立場が異なります。
まず、病院は自施設内で様々な検査や
手術が可能ですが、クリニックでは
医療資源に限りがあるため、
自施設内で患者さんが望む全ての
医療行為を完結するのは不可能なのです。
さらに、2021年に厚生労働省が発表
した「医療施設動態調査」によれば、
病院数は8,227施設と年々減少傾向で
あるのに対し、
一般診療所は103,217施設と年々増加傾向にあります。
つまり、クリニックからすれば病院と
連携する理由が多くあるにも関わらず、
その病院の数は減少傾向にあるため、
今後はクリニック側からアクションを
起こさなければ良好な病診連携を構築
できなくなり、患者さんに不利益が生じる可能性があるのです。
良好な病診連携を得るための具体的な方法
では、実際に良好な病診連携を
構築するための具体的な方法をご紹介します。
① 各病院の得意分野を把握する
それぞれの患者さんの身体的、社会的
状況に応じて適切な医療は異なるため、
その患者さんに見合った医療を提供
するには各病院の得意分野を知っておく必要があります。
例えば、かかりつけの患者さんが
前立腺癌であれば、より低侵襲な
ロボット手術が可能かどうか
知っておく必要があるでしょう。
患者さんからしても、なんとなく紹介
されるよりも
「〇〇病院の〇〇先生は年間〇〇件もこの手術を行なっているから安心ですよ。」
と紹介される方が信頼感や安心感があるはずです。
② 各病院の診療システムを把握する
平日の夕方や土曜に開院している
クリニックも少なくないと思いますが、
そのタイミングで緊急度の高い
病状の患者さんが来ることも少なくありません。
そんな時、各病院の診療システムを
把握しておかなければ、受け皿と
なってくれる地域の病院を探せず、
患者さんが困ることになります。
その病院が各科当直なのか、
当番医制か、時間外の受け入れが可能か、
など事前にリサーチしておく必要があります。
③ 各病院のキャパシティを把握する
病院とはいえ、受け入れられる
患者さんの数には限界があります。
例えば、クリニックに受診した
患者さんが早期に手術が必要な場合、
患者さんが飽和していて手術までの
待ち時間が長い病院に紹介するのは最良とは言えません。
そこで、地域の各病院のキャパシティや
受け入れ体制を事前に把握しておく必要があります。
こう言った近隣の医療機関の特性を
把握するためには、これまでは地域の
医師会や講演会に積極的に参加する必要がありました。
しかし、近年では病診連携の分野でも
IT化や医療DXが導入されつつあり、
オンラインでの多施設間情報共有も
可能になってきています。
今後さらにこういった最先端技術が
医療分野にも浸透することを鑑みると、
良好な病診連携を得るためにも
積極的に導入を検討すべき時代なのかもしれません。
まとめ
今回の記事では、良好な病診連携を
得るための方法について解説しました。
高齢者の増加、病院数の減少、
クリニックの増加などを背景に、
開業医のみなさんにとって今後
病診連携の重要性はさらに増していく
と考えられるため、地域の医療機関との
良好な病診連携の構築は急務と言えます。
本記事がその一助となれば幸いです。
医師 H.N.
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