「似たもの同士」が集まりがちなクリニックのリスク

スタッフが以心伝心だと、業務効率が
上がるだけなく、気分も上がります。

良いことばかりのようですが、
もしかしたらリスクが
潜んでいるかもしれません。

今回は組織の多様性というお話です。

もくじ
クリニックのスタッフは「似たもの同士」になりがち
アメリカCIA最大のミス
「似たもの同士」が起こす盲点
思い切って「いつもと違う求人」をしてみませんか?
まとめ

クリニックのスタッフは「似たもの同士」になりがち

新卒入職者が少ないクリニックは、
その診療科で勤務経験がある人が
多くなります。

産科出身者が整形外科に就職する
のはレアケースです。

自分のキャリアがそのまま活かせ、
即戦力になれるため、当然の選択でも
あります。

クリニックにとっても疾患や処置などを
知る人の方が大助かりですよね。

求人の形態によっては、同じような年齢層が
集まることにもなります。

週5日以上でフルタイム勤務の場合は
20代か40代以降、
時短勤務は子育て世代が多いです。

休みの取りやすさでも決まります。

クリニックはその特徴から、
似たもの同士が集まりやすい環境だと
いえます。

同じような人が集まると、良いことが
たくさんあります。

細かく言わなくても伝わる、
会議で意見が分かれない、
お互いのライフスタイルを理解し協力できる
…などなど。

その人たちにとってはとても働きやすい
環境になります。

アメリカCIA最大のミス

2001年9月11日にアメリカ同時
多発テロが起こりました。

事故当日だけで約3,000人が犠牲と
なった、世界最大のテロ事件です。

CIAにとっては最大のミスだと言われています。

この原因の一つを
「似たもの同士」と指摘したのが
マシュー・サイド氏です。

彼はイギリス『タイムズ』紙の第1級
コラムニストで、自身の著作
『多様性の科学』で言及しています。

CIAはテロが起こる前から情報を
掴んでいたのにも関わらず、その解釈を
誤ったというもの。

当時のCIAはみな同じ枠組みで
物事を見ており、同じ特徴の者ばかりに
偏った採用がされていたと言われています。

そのため、点として得られていた情報に対して
深い洞察力や物事を詳細かつ包括的に
判断する力を発揮できず、
テロにつながる線として結ぶことが
できなかった。

それは似たもの同士の集団特有の
欠陥だというのです。

「似たもの同士」が起こす盲点

自分を取り巻く環境をどのように
認知し、どう理解するか?は、
人それぞれということです。

違いにこだわると共同生活に支障が
出るので、普段はその違いについて
細かく確認しないだけです。

人種、性別、年齢、性的指向、
社会的地位などが似ている人は、
似た視点を持っています。

自分と同じような人は、
話が通じやすく一緒に居て心地が良い。

そのため「類は友を呼ぶ」のごとく、
自然と似たもの同士の集団が生まれます。

しかし、多様性のない組織は同じような
視点の集合体で、視点から外れた世界に
対する認識が欠けてしまいます。

盲点は自ら見ようとすることはできません。

組織が盲点自体に気づくことは
不可能なのです。

「当たり前だ」
「みんなが賛同している」
と思えることは、その集団にとっての
理解であり、状況を正しく判断できて
いるとは限りません。

そこで、自分とは視点が異なる人が
必要になるのです。

「似たもの同士」の盲点は
「似ていない人」に補ってもらうしかありません。

思い切って「いつもと違う求人」をしてみませんか?

クリニックが求人を募集するとき、
多くは人手不足で困っているときです。

即戦力が欲しい、という焦りは
今いるスタッフと似たような人を
採用してしまう原因のひとつです。

これでは多様性は生まれません。

人材に余裕があるとき、
思い切った求人をしてみませんか?

既存の職員とはなるべく違う人を採用するのです。

年齢、性別、キャリア、見た目の雰囲気、
話し方…何でも構いません。

週に数回のアルバイトなどの求人から
始めるのをおすすめします。

即戦力ではなく、
「組織の新しい視点」
として迎え入れてはどうでしょうか?

今いるスタッフが混乱しないよう、
しっかりと周知をすることが大切です。


新しい人材は、既存のスタッフにとっても
良い影響を与えるでしょう。

「違って良い」
「違いを必要としている」
というメッセージは、
その人に安心感をもたらすだけでなく、
「自己主張をしても良い」と伝わります。

スタッフの中には周囲に合わせている
人が少なからずいます。

「そうは思わない」
「こうした方が良いのでは?」
と言いたくても言えない人です。

組織の盲点に気付きながらも、
それを指摘しない人がいれば
盲点があるのと同じです。

今いるスタッフの視点を掘り起こす
機会にもなります。

まとめ

似たもの同士が集まりやすいクリニック。

働きやすさにつながりますが、反面
大きなリスクとなる可能性があります。

組織の多様性は、視点の多様性です。

盲点を減らすことはミスを減らすことにも
なります。

思い切っていつもと違う求人をしてみては
いかがでしょうか?

看護師M.K.


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