良い組織に必須な心理的安全性 ~すぐできる院長の行動3選~

「心理的安全性」という言葉をご存じですか?

書店のビジネスコーナーには
たくさんの関連書籍が並んでいます。

ビジネスだけでなく、クリニック経営にも
役立つ概念です。

心理的安全性とは何か、
すぐに実践できる行動もご紹介します。

心理的安全性とは

ハーバード大学教授の
エイミー・C・エドモンドソンが
1999年に提唱したものです。

これまでに8000回以上引用された
論文の中で、彼女はチームの心理的安全性を
このように定義しています。

「チームの心理的安全性とは、
チームの中で、対人関係における
リスクのある行動をとっても大丈夫だ、
という安心感がチームメンバーに共有
されている信念のこと」

簡単にまとめると
「このチームなら自分が率直な意見、
素朴な疑問、違和感の指摘をいつでも
気兼ねなくして大丈夫だ」
と思えている状態です。

「上司にこんな質問をしたら怒られるだろうな」
「ミスがばれたらみんなから冷たい目で
見られるかもしれない」
「とても良いアイデアが浮かんだけど、
私なんかが提案したら生意気だと
言われるかもしれない」

こんな風に思わずに、
自由に発言できるということです。

2016年にGoogleが効果的な
チームについて調査・分析した
プロジェクトの結果を発表し、
「心理的安全性」が最も重要であることを
明らかにしました。

良いチームには欠かせない要素として、
企業だけでなく多くの病院、クリニックや学校など
からも注目されています。

心理的安全性=無法地帯?

スタッフがそれぞれ好きなことを
言い始めたら統率が取れないのでは?
と心配になりますよね。

実は逆なんです。

「自分の意見を聞き入れてくれる」
と実感した人は、単なる愚痴ではなく
生産的な発言をするようになります。

心理的安全性の低い組織の方が、
メンバーひとりひとりの
不平不満が多いのです。


先生も経験があるのではないでしょうか?

「言われたとおりに動け。余計なことを言うな」
と指示されたときよりも、
「気付いたことは何でも言って欲しい。
役職は関係ない」
と言われたときの方が
仕事にやりがいを感じませんでしたか?

自分の所属する組織に
害をもたらしたい人はいません。

思い付きの発言のようでも、
その人にとっては
「働きやすくするため」
「サービスを向上するため」
だったりします。

それを受け入れて議論して、
より良いものにするかどうかは
チームのメンバー次第ということです。

心理的安全性のカギを握るのは上司の態度

多くの人は上司に怒られないように…と
気を付けて行動しています。

「うちの病院はみんな仲が良いし、大丈夫だよ」
と思うかもしれません。

上司の言うことを聞く=良い仕事をしている
仲が良い=意見が衝突しない
と考えていませんか?

本当にそうでしょうか?

上司も人間です。
時にはミスもするでしょう。

衝突が起きないのは
自分の意見を押し殺している人が
いるからかもしれません。

愚痴と生産的な議論は全く異なります。
先生のクリニックはどうですか?

今日からできる院長の行動3選

心理的安全性のある組織は
一朝一夕では作れません。

しかし簡単に始められる行動があるので
ご紹介します。

組織のトップである
院長の行動を変えることで、
スタッフに対して
「自由に発言してもいいんだよ」
というメッセージを発信することができます。

①感謝する

先生は1日に何回
「ありがとう」と言っていますか?

クリニックが成り立つためには
スタッフの協力が欠かせません。

しかし、それだけではありません。
必要物品を納入する業者や
メーカーの担当者、
清掃員など、
クリニックに関わる全ての人の力が
なければ今の状態はありません。

「それぞれの仕事なのだから当たり前」
ではないのです。

「ありがとう」は何回言っても
コストはかかりません。
相手が不快に思うこともないでしょう。

心の中で感謝していても、
口にしなければ相手には伝わりません。

どんどん「ありがとう」を言いましょう。

②すぐに分かりやすい返事をする

病院経営と日々の診療、医師会の会合に
医学の勉強…
時間がいくらあっても
足りないのではないでしょうか。

それほど重要でないことへの返事は
遅れがちかもしれません。

例えばスタッフがこう言ったとしましょう。
「先生、患者さん向けのパンフレットを
直したいのですが」

それに対して先生は
「そうだね、考えておくよ」
と答えたとします。

スタッフは
「いつ返事をしてくれるのだろう?
私の提案は先生にとって重要では
なかったのかな…」
と不安になります。

先生の返事が遅くなればなるほど、
その人は発言しにくくなってしまいます。

すぐに話を聞けないときでも
「明日の昼休み、15分ほどで
修正点を説明してもらえないかな?」
または、
「今週は、〇〇と△△で時間がとれないんだ。
修正案を書面でもらえたら目を通して
来週中に返事するよ。」
といった返事をすれば、提案をした
スタッフは意見を聞いてもらえる
ことが明確になり、安心感を得ることが
できるでしょう。

③「やる気」を個人の課題にしない

スタッフの「やる気」の有無は
その人個人の問題でしょうか?

答えはNoです。

やる気は組織の問題です。

もし業務に対する姿勢に疑問を
もつようなスタッフがいたら、
「働きにくい環境があるのかな?」と
考えてみてください。

楽しめないのはその人にとって
何らかの障害があると考えられます。

やる気を評価するということは、
個人の力量に頼り過ぎていると
いうことでもあります。
どんなに頑張っても一人の力には
限界があります。

やる気は組織の中で育まれるものです。

しかし良い評価はその人の努力として
認めるのがポイント。

組織のトップは
やる気がない=組織の問題
やる気がある=個人の努力
くらいに考えているのがちょうどよいのです。

まとめ

個人の力を十分に発揮し、
組織力を高める心理的安全性。

まずは院長の行動を変えることが大切です。

スタッフが自由に発言することで、
先生が気付かなかった改善点が見えたり、
イノベーションを起こせたりするかも
しれません。

患者さんにとっても、スタッフが
生き生きと働いているクリニックの方が
心地よいですよね。

看護師M.K.

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