クリニックを運営していくにあたり、
導入する医療機器の選択、
設置する物品の決定、ホームページ作成など、
やらなくてはいけないことがたくさんあります。
その中でも、特にスタッフ採用は、
最も重要と言っても過言ではありません。
いくら院長先生の診療能力が高くても、
スタッフの態度が悪いとクリニックの評判が下がり、
患者も集まりません。
今回は、
“クリニックの顔ともいえるスタッフの採用時のポイント”
についてわかりやすく紹介します。
クリニックに必要なスタッフとは?
スタッフの採用といっても、
何から始めればよいのかわからない院長先生も
多いかもしれません。
スタッフの採用を検討する前に、
まず院長先生がどのようなクリニックにしたいか
という理念を明確にする必要があります。
- 患者さんの不安や悩みに寄り添うような診療がしたい、
- 今までの経験で得られた診療技術を提供したい、
- 気軽に相談できる雰囲気のクリニックにしたい、
などさまざまあるでしょう。
クリニックの理念が明確になると、
それを実現するために
どのようなスタッフを採用すべきかわかります。
例えば、
患者さんが相談しやすいクリニックを目指すのであれば、
受付や看護師には相手を思いやることのできる
コミュニケーション能力の高い人を採用すべきです。
具体的には、笑顔がよい、気遣いができる、
など求める条件を明らかにしておくのもよいでしょう。
もし、栄養指導や服薬指導もできる
クリニックにしたい場合には、
栄養士や薬剤師の採用も検討する必要があります。
予算との兼ね合いもありますが、
思い描くクリニックの理念を実現させるために、
- 必要なスタッフの職種
- 最適な人数
- スタッフに求める人間性
を明確にしてから募集するとよいです。
スタッフ採用までの流れ
一般的に、希望する採用時期の約2-3か月前から
求人媒体や広告の掲載内容について検討を始めます。
少なくとも1か月半前までには
求人広告を掲載した方がよいでしょう。
応募があった場合には、まず書類選考を行い、
書類選考を通過した人と面接を行います。
希望する採用時期の1か月前までに採用するスタッフを
決定できれば順調です。
看護師などの有資格者は
なかなか見つからないことも多いので
半年前から募集を開始しても
早すぎることはありません。
必要とするスタッフが
揃わないということがないように、
採用までの期間に余裕をもたせておくことが大切です。
スタッフ採用時のポイント
スタッフを採用する時には、まず書類選考を行い、
その後に面接日程の調整を行うことになります。
面接時間は1人15分程度と考え、
客観的に判断するようにしましょう。
スタッフ採用時のポイントは以下のようになります。
①履歴書をよく見る
履歴書だけでも多くの情報を得ることができます。
例えば、写真が貼られていない場合や、
汚い字で書かれている場合には、
仕事においても丁寧にできない可能性が高いです。
転職を繰り返している場合には、
何か素質に問題があるかもしれませんので
注意が必要です。
②面接以外の時の態度も重要視する
面接では、誰しも自分を良く見せようとするものです。
面接以外の時の態度、
そして院長先生以外のスタッフと
会った時の態度も重要視すべきです。
挨拶ができない、目を合わせない、言葉遣いが悪い、
などの常識的でない態度が見られたら
採用を見送るべきです。
③客観的な評価資料を作成しておく
多くの人と面接を行うと、良いところも悪いところも、
わからなくなってしまうことがあります。
面接の前に、質問票の記入をしてもらうと面接も
スムーズに進みますし、
後で客観的に判断できる資料になります。
評価基準なども事前に明確にしておくと、
後で困ることが少なくなります。
客観的に判断するためには、
院長先生以外の目も必要なので、
ご家族や信頼できるスタッフの都合が良ければ、
面接に参加してもらえるとよいでしょう。
質問票には、仕事においてやりがいを感じるのは
どういう時か、一方で仕事に不満を感じるの
はどういう時か、どのように働きたいか、などを
記載してもらうとクリニックの理念と
合うかどうか判断する材料になります。
④違和感を覚えたら採用しない
面接時の印象は、
患者さんが感じる印象と同じと考えてよいです。
もし、面接時に違和感を覚えたら
採用を見送る判断も必要でしょう。
例えば、面接に遅刻して来たり、身だしなみが不衛生、
または着飾りすぎている場合には、
常識がなく、医療機関で働くという認識も甘いので
採用を見送った方がよいかもしれません。
また、いくら仕事ができそうであっても、
主張が強く、協調性がない人は避けるべきです。
スタッフ間のコミュニケーションがうまくいかず、
大量に辞めてしまう可能性もあるからです。
今まで何度か転職している場合には、
転職理由を聞くべきです。
以前の職場の愚痴を言ったり、
転職理由がはっきりしない場合には、
採用しても同じようになる危険性が
あるので注意が必要です。
⑤試用期間を設ける
面接では誰しも自分を良く見せようとします。
また、いくら履歴書や質問票などでふるいにかけても、
悪いところを隠し通せる人もいることを
頭に置いておきましょう。
採用後に問題にならないように、
数か月の試用期間を設けるのもひとつの方法です。
採用後から出勤までのスケジュール確認も忘れずに
採用を決めたら、口約束だけでなく書面で
契約をするようにしましょう。
他院と並行して応募している人もいるので、
条件が良いと他院に行ってしまう可能性があります。
採用後から出勤までは一般的に1か月くらいあり、
顔合わせやオリエンテーション、
研修などを行う場合もあります。
面接時にスケジュールを提示し、
参加できるか確認するようにしましょう。
雇用条件は採用時に、文書化して明確にしておくと
後で不満が起きづらいといわれています。
雇用条件に関する文書作成は、
信頼できる社会保険労務士に依頼するのもよいでしょう。
最適なスタッフを集めることができれば、
院長先生の理想とするクリニックの実現の
ために良いスタートを切れるはずです。
医師M.S.