小さなクリニックこそ取り入れたい 30分の定例会議

組織の運営で欠かせないのが会議です。
大規模な病院では、たくさんの
会議が存在します。

それに対し、スタッフが10名以下の
クリニックではどうでしょうか?

今回は小さな組織だからこそできる、
情報共有だけではなく全員の
「当事者意識」の向上にも役立つ
会議のお話です。

もくじ

クリニックの業務 ベテラン任せにしていませんか?

30分の定例会議がクリニックを変えるきっかけに

会議の具体的な進め方

  ―手順

  ―具体例

まとめ

クリニックの業務 ベテラン任せにしていませんか?

  • 新しいスタッフが入職したら、慣れている人が業務を口頭で教える
  • (業務マニュアルがあれば良いのにな…)と思いつつ、何もしていない
  • 「◯◯さんしか分からない」「◯◯さんしか決められない」業務がある
  • (◯◯さんが休職や退職したらどうしよう…)という不安がある

これらは小さなクリニックあるあるでは
ないでしょうか?

ベテランのスタッフが行う業務は
多岐に渡るのに、それ以外のスタッフの業務は
限定的ではありませんか?

日々の診療はこれでも問題はありません。

しかし業務全体を把握しているスタッフが
少なければ少ないほど、クリニックの運営は
その人の肩にかかっていることになります。

つまり安定しているようで、不安定な状態なのです。

「ベテランの業務をそれ以外のスタッフにも任せたいけど、
その分担を考えること自体が負担」

「毎日の診療に追われて、業務を見直したり
改善したりする時間が取れない」

というご意見もあるでしょう。

しかし、いざベテランが退職するときに
後任の人事に頭を悩ます…というのも
避けたいですよね。

30分の定例会議がクリニックを変えるきっかけに

ここでご提案するのが、
全員参加の定例会議です。

「たかが30分で何ができるんだ?」
という声が聞こえてきそうです。

まずは「何かを決める」のではなく、
「全員参加する場を設ける」ことが重要です。

曜日や時間固定の勤務では、お互いの顔すら
知らないスタッフがいます。

勤務外のスタッフはリモートで参加してもらい、
それでも難しい場合は、会議を撮影した
動画を後日見てもらいます。

会議に参加することで
「私はこのクリニックのスタッフだ」という意識が
芽生えます。

さらに意見を求めることで、
「私の意見を尊重しようとしてくれているんだ」
とも思うでしょう。

これが会議の最大のメリットです。

それぞれがお互いを知れば、個人的に業務分担の
提案ができたり、
「この人にこれを任せたら大変だろう」と遠慮
していたことが「できますよ!」となったり
するかもしれません。

スタッフが意見を言う場を公に設けることで、
「院長は業務改善に前向きな姿勢だ」と
認識してもらえます。

日々スタッフは、小さな困りごとや気づいたことを
言わずに過ごしています。

すると
「こうしたらいいのにな…」と思っても、
「わざわざ言いに行くほどのことでもないし…」
と考えるようになります。

その結果どうなるかは明白です。

「いちいち考えても仕方ないから、
言われたことだけやろう」
となってしまうのです。

発言の機会を設けることこそ、
スタッフの意識の変化につながります。

会議は診療時間外に行うことになります。

勤務時間外のスタッフには、時給や手当を
発生させましょう。

会議は業務だと明らかにし、
それに対して対価を支払うことで
スタッフの意識はさらに高まります。

会議の具体的な進め方

「じゃあ、会議をしてみよう!」となっても、
単に集まれば良いわけではありません。
円滑な会議の手順について、簡単にご説明します。

手順

① 会議の時間は30分とする。延長は15分まで。
② 事前に議題を共有しておく。
③ タイムキーパーが時間を測る。
④ 会議に使用する書類はできるだけシンプルに。
(フォントやレイアウトなどは気にしない。
手書きでもO Kにするなど、作成者が最も
短時間で作成できる形にする)
⑤ 会議の冒頭で具体的なゴールを共有する。
⑥ 次回の議題とそれぞれが準備することを具体的にする。
⑦ ゴールが達成されない場合は、次回に持ち越す。
その場合、次回のゴールを具体的にしておく。
⑧ 議事録はその場で書記が記入したものを、画像で共有する。

具体例

始めやすい方法として、初回の会議のゴールを
「業務の疑問や困りごとを挙げられるだけ挙げる」
とします。

スタッフには
「◯月◯日までに、疑問や困りごとを
3つ以上考えてくること」
とアナウンスします。

会議では、考えてきたことを発表してもらい、
書き出します。

初回のゴールはここまでです。

次は
「対応する優先順位を3位までつける」
というゴールにします。

スタッフは挙げられた項目の中で、
優先順位を考えておきます。

同じようにそれぞれの考える順位を発表し、
優先順位を決定します。

その次は
「実際に取り組む問題点を決める」
ということをゴールにします。

議題は少しずつ進め、スタッフが
「次の会議の意見はどうしよう?」と
考えられるようにします。

会議は週に1回か、2週間に1回が望ましいでしょう。

まとめ

効果的な会議は、スタッフの
当事者意識につながります。

スタッフが決められた業務をただこなすのではなく、
自分の頭で考え、工夫して行動することで
サービスの質は向上します。

まずは30分の会議を
「やってみる」
ことから始めてはいかがでしょうか。

看護師M.K.

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