インフルエンザは、
イムノクロマト法による迅速診断キット
(簡易キット)が広く使用されています。
迅速診断キット(簡易キット)は、その多くが
特別な設備や管理・技術が不要で、かつ短時間
で結果が得ることができ、その名の通り
迅速に診断ができる点がメリットです。
しかし一方で、イムノクロマト法は(RT-)PCR法に
比べると感度が低いため※、
ウイルスに罹患し、体外へウイルスを
排出しているにもかかわらず、
陰性と判定して(偽陰性)しまうことがあります。
※イムノクロマト法はウイルスが10万~100万個、
RT-PCR法は10~100個あれば検出可能
つまり、イムノクロマト法は感度が十分
ではないため、偽陰性患者から感染が
広がる危険があります。
また、病状が進み、ウイルス量が増えないと陽性結果が
得られないため、患者は受診を
待機させられる事例が多く見られます。
病状が悪化した結果、より多くの治療薬が
必要になり、回復までに時間がかかります。
実際、アメリカ感染症学会からは、
インフルエンザの入院患者の検査には
イムノクロマト法を用いず、PCRを
用いるようにガイドライン(※)が出されています。
※IDSA インフルエンザガイドライン 2018
https://www.idsociety.org/practice-guideline/influenza/
さらに、「呼吸器感染症」では、
鼻咽頭や咽頭ぬぐい液を検体として
使用するケースが主流であり、
検体採取をする際に鼻などに綿棒を入れる
ことで異物感や痛みを感じて、
特に小児患者などで検査を嫌がる
ケースがあります。
では、
・侵襲性が低い検体の採取方法
・ウイルス量が少ない、感染初期から高感度に検出できる
という技術があればよいと思いませんか?
次回の記事では、このような希望が実現できる
新しい検査方法をご紹介します。
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【後編:鹿児島大学 隅田泰生 先生監修】
辛くない感染症検査を実現!さらに高感度に検出するための技術
執筆:鹿児島大学大学院理工学研究科 特任教授 隅田 泰生 先生
※本記事内の「RT-PCR」は、reverse transcription PCRのことです。