健康診断でクリニックの収益は上がる?導入時のポイント3つ

クリニック経営者のなかには、
「健診事業で収益をアップさせたい」と
考えている人もいるでしょう。

高い収益性や集患性が見込める
健診事業ですが、競合との差別化を
図るためには工夫が必要です。

この記事では、健康診断や人間ドックで
クリニックの収益を上げるために
知っておきたい3つのポイントについてご紹介します。

少子高齢化でニーズが高まる健診事業

少子高齢化が進む日本では、
社会保障費の増大を抑えることが
大きな課題となっています。

健康寿命の延伸と、医療費・介護費の
適正化を実現させるため、
国は公的保険適応外サービスの活用に
力を入れていく方針です。

厚生労働省が発表した
「令和3(2021)年度 国民医療費の概況」
によれば、傷病分類別医科診療医療費のうち
最も多いのは「循環器系の疾患」であり、
次いで「新生物(腫瘍)」、
「筋骨格系及び結合組織の疾患」となっています。

生活習慣病や加齢を原因とする疾患が
上位を占めており、疾病の予防や
早期発見には引き続き力を入れていく必要があるでしょう。

また、検査や検診に関わるサービス・製品の
市場規模は、2020年時点で0.9兆円ですが、
2050年には3.7兆円まで拡大することが予測されています。

健康経営に力を入れる企業が
増えていることもあり、健康診断や
人間ドックへのニーズは今後も高まっていくでしょう。

健診事業で収益アップが期待できる理由

既存のスタッフや医療機器を活用できれば、
新たに多くの医療資源を投入しなくても
健診事業をスタートできるかもしれません。

経費を抑えながら、単価の高い検査を
導入することができれば、クリニックの
収益アップにつながるでしょう。

一般的な人間ドックの健診項目を
保険診療点数に換算すると、検査料2,939点、
判断・診断料等1,438点となり、
合計4,377点になると試算されています。

また、人間ドック学会が定める
基本検査項目をすべて含む
一日ドック健診では、最低料金を
35,000〜44,999円(税込)としている施設が
6割以上を占めています。

一日ドックの実施が難しいクリニックでも、
健康診断と一緒に受けられる
オプション検査を充実させることで、
収益アップを狙えるでしょう。

健診事業を導入するときの3つのポイント

健康診断や人間ドックを導入する際には、
以下の3つのポイントを意識すると良いでしょう。

1.フォローアップまで丁寧に行う

健診事業の課題の一つに、事後管理が
徹底されていないことが挙げられます。

結果についてのフィードバックは必ず行い、
異常所見がある場合は、速やかに再検査や治療につなげます。
生活習慣の改善が必要なケースであれば、
医師や看護師から生活指導を行いましょう。

異常所見がない人には、次の健康診断を
受けるタイミングを案内しておくと、
定期的にクリニックへ足を運んでもらえるかもしれません。

2.通常診療とのバランスを考える

健診事業を始めると、診療に割ける時間が
短くなったり、マンパワーが不足したりする可能性があります。
通常診療とのバランスを考えながら、
できるだけ患者さんの待ち時間や、
スタッフの手間を増やさないようにすることが大切です。

「事前予約を必須にする」
「健診者専用の時間帯を設ける」など、
受け入れがスムーズになる方法を
考えると良いかもしれません。

3.患者さんのニーズにあったプランを用意する

「会社の健康診断では受けられない検査がしたい」
「健康診断を受ける機会がないので年に一回は全身を検査したい」
など、患者さんによってニーズはさまざまです。

患者さんの声や、クリニック周辺の
地域性などをふまえて、ニーズにあった
プランを考えてみましょう。

NPO法人日本人間ドック健診協会の
調査によれば、健康診断や人間ドックの
オプション検査として人気があるものを
受診者数別に見ると、
男性は
1位がPSA、

2位が腫瘍マーカーセット(3〜4項目)、
3位が内臓脂肪CTとなっています。

女性では、婦人科系の項目を除くと、
1位が骨密度(超音波)、
2位が腫瘍マーカーセット(3〜4項目)、
3位が甲状腺検査(血液/超音波)という結果でした。

企業や自治体の健康診断では
受けられない検査や、がんや生活習慣病に
関連した検査へのニーズが高いことがうかがえます。

質にこだわった健診事業で患者さんから選ばれるクリニックへ

健康診断や人間ドックは、クリニックの
収益性や集患性を高めるために効果的な方法です。

しかし、近隣のクリニックや病院、
健診センターとの差別化を図るためには、
健康診断の質にこだわる必要があります。

「来年もまたここで健康診断を受けたい」
「異常があれば治療までお任せしたい」
と思ってもらえるような健診事業を目指しましょう。

看護師 K.Y

【引用元】
経済産業省「経済産業省におけるヘルスケア産業政策について」
経済産業省「新しい健康社会の実現に向けた「アクションプラン2023」(案)」
厚生労働省「令和3(2021)年度国民医療費の概況」
厚生労働省「令和3年度国民医療費 主傷病による傷病分類別にみた医科診療医療費の状況」
第62回日本人間ドック学会学術大会基調講演「我が国における健診事業の現状と課題」
人間ドック学会「平成29年度(2017年度)実態調査」
NPO法人日本人間ドック健診協会「オプション検査における各機関の実施状況報告」

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