新型コロナウイルス感染症の流行により、
従来の患者さんの受診控えが
問題となっています。
しかし最近では感染者数も落ち着き、
一定の条件下ではマスクを着用する
必要がない、という政府の考え方が公表され、
日常の活動が正常化に向けて
変わってきています。
そんな今だからこそ、新しい取り組みを
始めるチャンスです。
今回ご紹介するのは、
クリニックでの健康教室の運営についてです。
もくじ クリニックで健康教室を開く意味 教室の内容について ■生活習慣病などの疾患講座 ■感染症の予防講座 健康教室への参加を促す方法 ■開講の告知の方法 ■受講しやすい環境作り 患者数が少ない今がチャンス! |
クリニックで健康教室を開く意味
平均寿命が伸びても、健康でなければ
様々な制限が出てしまいます。
病気をしたり、寝たきりになれば
本人が辛いだけでなく、通院や介護など
家族にも大きな影響を及ぼします。
近年、予防医学という考え方が注目されており、
病気になる前にいかに予防するかが
老後を楽しく過ごす鍵になります。
そのためにクリニックができることの
ひとつが、健康に関心をもってもらうための
教室の開催です。
この健康教室をきっかけに、生活習慣を
見直したり、検診や人間ドックを受けたり、
予防接種を受けたりすることに繋がれば、
患者さんの健康を守るだけでなく
家族の人生も守れ、クリニックの集患、
そして収益にも繋がります。
教室の内容について
クリニックでできる健康教室は
どんなものがあるのでしょうか?
■生活習慣病などの疾患講座
高血圧や脂質異常症、糖尿病、高尿酸血症
などの生活習慣病の説明や
病気の予防方法・管理方法・治療方法について
詳しく紹介する講座です。
患者さん1人にかける診察時間内では
病気について必要な情報を全て詳しく
説明することは非常に難しいでしょう。
しかし、同じ疾患の患者さんを一度に
集められるなら、十分説明の時間を
取れるはずです。
また、塩分や糖分、脂質などの制限が必要な
患者さんに、制限食の必要性やアイデアレシピを
紹介したりするのもいいですね。
疾患講座を開くことで、患者さんの疾患に
対する知識が深まるだけでなく、
患者さん同士の繋がりができたり、
クリニックの広報の手段や集患にも効果的です。
■感染症の予防講座
高齢者の死因で多いのが、
がん、心疾患、脳血管疾患そして肺炎です。
肺炎による死亡の実に97%以上が
65歳以上の高齢者になっています。
肺炎の原因として多いのが、
肺炎球菌・インフルエンザです。
この2つの病原体にはワクチンがあり、
予防ができます。
肺炎球菌ワクチンは、65歳以上では定期接種
に指定されており、インフルエンザも
自治体によって補助が出る場合があります。
インフルエンザが流行する前の時期に
予防講座を開くことで、早めの予防接種を
推奨でき、講座ついでに予防接種の予約を
取ってもらえるかもしれません。
また、昨今の新型コロナウイルス感染症の
拡大によってさまざまな感染予防策の情報が
出てきています。
状況に応じた、感染対策の正しい知識を改めて
周知し、地域の皆さまの意識を高めることも
重要です。
上記以外にも、クリニックの診療内容に
合った教室を開くことで、地域住民の
健康増進とともに、クリニックを受診する
というハードルを下げる効果が期待できます。
健康教室への参加を促す方法
健康教室の開催準備で大切なのが、
開講の告知と、受講しやすい環境作りです。
■開講の告知の方法
どんなに有益な教室でも、開講することを
周知できていなければ参加者は集まりません。
教室開講の告知方法として
下記の方法があります。
- 受診の際に教室を紹介する
- 院内の掲示
- ホームページへの専用ページ増設と掲載
- タウン情報誌、地元雑誌などへの掲載
■受講しやすい環境作り
有益な教室でも、受講費がかかったり
日時が合わなければ
受講には結び付かないでしょう。
受講費用は無料にする、ターゲットとなる
年齢層に合わせて開催日時を設定するなどを
行うと、受講者が集まりやすいです。
土曜午後は比較的休日の方も多く、
受講しやすい日時でしょう。
健康教室の受講費用で収益を上げるのではなく、
長い目で見て受診者を増やす方法として
考えるとよいでしょう。
まずは無料で受講できるようにし、受講者が
集まる仕組み作りができてから、有料の講座を
初めてもいいかもしれません。
また、新型コロナウイルス感染症の予防対策
として、入口での体温チェックや手指消毒、
席の向き・間隔、換気などを配慮する
必要があります。
人数限定で予約制にすれば、資料や座席の
準備などを事前にできるのでおすすめです。
患者数が少ない今がチャンス!
健康教室の開講準備には時間が必要ですし、
開講直後は慣れない作業にスタッフも
戸惑うことでしょう。
だからこそ、Withコロナとして日常を取り戻し
つつある今、一般に内科・小児科の受診数が少ない
5月~9月に準備を始め、健康教室を
継続して運営できる仕組みづくりを
行うとよいのではないでしょうか。
看護師 S.H.