Blog 医院運営 医院運営コミュニケーション医院経営 後編:必見!より良い医療継承を実践する方法について 2023年8月1日 2023年8月1日 Facebook post 多くの開業医の方にとって医療継承は避けては通れない問題であり、もはや社会問題と言っていいほど深刻です。 また、今後高齢化が進む日本では更に深刻化していくことが予想されます。 そんな中、うまく医療継承することができず、せっかく築き上げた自分のクリニックを休廃業せざるを得ない開業医は増え続けています。 そこで本記事では、開業医がうまく医療継承を成功させるための方法について詳しく解説していきます。 もくじ 深刻化していく医療継承問題 医療継承における選択肢とは? ①親族内における医療継承 ②医院内のスタッフにおける医療継承 ③第三者における医療継承 医療継承を成功させるための方法とは? まとめ 深刻化していく医療継承問題 2019年に日本医師会が報告した「医療継承の現状と課題」によれば、クリニックの後継者不在率は86.1%であり、多くのクリニックで跡継ぎ問題を抱えていることが分かります。 また2021年に報告された「医療機関の休廃業・解散動向調査」では、クリニックの休廃業471件に対し、赤字経営による倒産はたったの22件でした。 つまり、多くのクリニックは経営が健全であり黒字経営であるにも関わらず、医療継承という点では失敗しており休廃業や解散を余儀無くされていることになります。 さらに、今後の日本では少子高齢化が進行していく可能性が高いため、医療継承問題も今より深刻化していくことが予想されます。 赤字経営ならまだしも、せっかく築き上げた黒字経営のクリニックを潰してしまうのは、開業医である皆さまにとってはもちろんのこと、雇用されているスタッフや地域の患者さまにとっても大きな損失となってしまいます。 そのため、開業医の皆さまは今のうちから医療継承に対する適切な対策を取っておくべきです。 医療継承における選択肢とは? 実際に医療継承を行う上で取れる選択肢は下記の3つです。 ①親族内における医療継承 医療継承を行なったクリニックの約90%は親族内で継承しています。 親族内から選定する最大のメリットは、継承においてじっくりと時間的余裕を持つことができる点です。 その一方で、候補者の診療科が異なる場合や経営方針が異なる場合、そもそも親族が継承を望まない場合は継承が難しいため、早めに他の選択肢を模索すべきです。 特に最近のアンケート調査では、子供世代の医師にとって家業を継ぐよりも医師としての本分である研究や臨床だけに専念したいと考える医師が増えているようです。 また複数の候補者が存在する場合、親族間で揉めてしまうケースも少なくないため注意が必要です。 ②医院内のスタッフにおける医療継承 親族内で適切な継承者がいない場合、次のステップとしてクリニック内に勤務する他の従業員に継承するパターンが多いです。 この場合は親族同様、継承者の選定に時間的余裕を持つことができます。 さらに、経営方針の一貫性やスタッフ、患者さまとの関係性も保ちやすい点でメリットが大きいです。 ③第三者における医療継承 親族、もしくは医院内に適切な継承者がいない場合、第三者への継承を考える必要があります。 特に少子高齢化の進む日本では親族間での医療継承が難しくなっているため、近年では第三者への医療継承が増えています。 第三者継承の場合、その他の選択肢と比較して広く候補者を求められる上に売却による資金を得ることもできます。 しかし多くの開業医には第三者継承における労務や法務的なスキームがないため、M&A仲介事業者やコンサルタントに依頼するケースも増えてきています。 これらの仲介会社はマッチング業務にも関わらず両者から高額な手数料を取っていることも多く、その場合思わぬコストが発生してしまうリスクもあります。 医療継承を成功させるための方法とは? 開業医の皆さまは現役でいるうちに、上記3つの選択肢の中から継承者を見つけなければいけません。 どの選択肢にもメリットとデメリットがあるため、個々人によって正解となる選択肢は異なってくると思いますが、どの選択肢を選ぶにしても共通して言えることは「より早くから医療継承を視野に入れる」ことです。 なぜなら、医療継承がうまくいかない場合の多くは、継承に対する準備不足によって時間的余裕がないからです。 考えてみれば当然ですが、継承する側もされる側も、金銭面や条件面に折り合いがつかなければうまく継承できませんし、継承後の経営方針や理念も事前に意見を擦り合わせておく必要があります。 また、患者さんやスタッフの立場に立ってみても急な院長交代は受け入れ難いため、兎にも角にも全員が準備するためには時間が必要なのです。 これらの理由から後継者の育成には概ね5年以上必要であると言われているため、医療継承を成功させる最良の方法は時間的余裕を持ってじっくりと準備しておくことです。 そのため、より時間的余裕の持ちやすい親族内、医院内での医療継承が好ましいですが、適切な人材がいない場合は第三者継承を視野に入れて早期から対策しておくべきです。 まとめ 本記事では、年々深刻化する医療継承問題において成功するための方法について解説しました。 医療継承には主に3つの方法がありますが、どれを取っても思った以上に時間や手間がかかるものです。 経営方針の擦り合わせ、スタッフや患者さんとの関係性、継承に伴う労務や法務的手続きなど、どれも急いで行うようなものではないため、十分時間的余裕を持って対策を行うことが成功の秘訣であり、本記事がその一助となれば幸いです。 医師 H.N. ☆関連記事☆ 前編:開業医にとって悩みの種!?医療継承の現状について Facebook post
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