Blog 医院運営 医院運営コミュニケーション医院経営 前編:開業医にとって悩みの種!?医療継承の現状について 2023年7月25日 2023年8月1日 Facebook post 多くの開業医は経営の安定化や集客に悩み、その後は引退後の老後資金や医療継承についての悩みを抱えます。 特に、引退時の跡継ぎ問題はもはや社会問題になるほど深刻であり、一般的に跡継ぎをどうしているケースが多いのか、跡継ぎがいなければどうするのか、など不安も多いと思います。 そこで今回は、開業医が引退時に考えるべき医療継承について前編と後編に分けてお届けいたします。本記事では医療継承の現状について詳しく解説していきます。 もくじ 医療継承の悲惨な現状とは? 医療継承が抱える問題点について ①親族への医療継承が抱えている問題 ②第三者(非親族)への医療継承が抱えている問題 まとめ 医療継承の悲惨な現状とは? 安定した経営、地域で担っている役割、頼ってくれる患者さん、支えてくれるスタッフ。 長きに渡る経営のなか皆さんの努力によって得たものは大きいと思います。 だからこそ開業医が引退を考えるときに跡継ぎ問題は避けては通れません。 ご自身のみならず、関わっている患者さんやスタッフを守るためにも医療継承は必要です。 しかしながら、もはや社会問題といってもいいほど、現在の日本では医療継承が全くうまくいっていません。 2019年に日本医師会が報告した「医療継承の現状と課題」によれば、クリニックの後継者不在率は86.1%であり、多くのクリニックでは医療継承の予定がなく跡継ぎ問題を抱えていることが分かります。 さらに興味深いデータもあります。2021年に報告された「医療機関の休廃業・解散動向調査」では、クリニックの休廃業471件に対し、赤字経営による倒産はたったの22件でした。 倒産に対する休廃業の割合は、全国全業種の平均ではわずか9.1倍ですが、クリニックは21.4倍(471/22)にも上ります。 さらに、厚生労働省が2020年に発表した「医師・歯科医師・薬剤師統計の概況」によれば、診療所開設者・法人代表者の60歳以上の比率は82.5%(60代40.5%、70代42.0%)となっており、全国全業種の代表者の平均年齢60.1歳を大きく上回っています。 これらのデータは、多くのクリニックは他業種と比較しても経営が健全であり黒字経営であるにも関わらず、医療継承という点では失敗しており休廃業や解散を余儀無くされていることを示しています。 今後、少子高齢化がますます進んでいくことを考慮すれば、時代とともに医療継承はさらに難しくなっていくことが予想されます。 なぜ、他業種と比べてもクリニックの医療継承が難渋しているのでしょうか? 医療継承が抱える問題点について 医療継承が抱える問題はそれぞれ継承者別に大別できます。 ①親族への医療継承が抱えている問題 「医療継承の現状と課題」によれば、すでに跡継ぎを決めているクリニックの後継者属性は、子供が52.9%、配偶者が19.6%、親族が15.1%と、多くのクリニックでは跡継ぎを家族内から捻出していることが分かります。 しかし、医療機関の経営者は原則医師であるべきであり、親族内に医師がいない場合や、医師がいたとしても診療科が異なる場合、もしくは親族が継承を望まない場合は医療継承が難しくなってしまいます。 日本は少子高齢化であり、跡継ぎとなる医師も当然減っていきます。 仮に子供が医師になったとしても、特に地方ではその開業地域に対する将来性の不安も強く、自分や家族の生活スタイルや教育環境、居住環境を重視したいとの志向も強まっています。 これらの課題から、近年では第三者(非親族)への医療継承が増えています。 ②第三者(非親族)への医療継承が抱えている問題 では、第三者への医療継承が最適解かと言うとそうでもありません。 第三者への医療継承にあたり、譲渡・譲受希望者ともに、そもそも継承のスキームを知らないため、互いに二の足を踏んでしまうケースが多いです。 最近では、その隙間を埋めるべくコンサルタントやM&A仲介事業者が、譲渡・譲受希望者の間に立ち活動していますが、マッチング業務にも関わらず両者から高額な手数料を取っていることも多く、健全な医療継承が成され難いと言う構造上の問題を抱えています。 まとめ 本記事では、開業医の抱える医療継承問題の現状と課題について解説しました。 引退を考え始めたとき必ず直面する問題であり、実際に多くの開業医が問題を解決できずに休廃業している現状をご理解いただけたかと思います。 医療継承は、先生方のみならずスタッフや患者さんを守るためにも必要であり、今後は高齢化が進み、よりシビアな状況が予想されるため、事前に入念な準備や対策を取っておくことが肝要です。 本記事を読むことでその一助となれば幸いです。 後編では、より良い医療継承を実施するための方法についてお届けいたします。 医師 H.N. Facebook post
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