わからないときの答え方  実は信頼獲得のチャンス!

高血圧の治療のために受診した患者さんが、
「昨日からここが痒くて。草にでもかぶれたので
しょうか?」と皮膚症状も訴えたとします。

その皮膚症状は虫刺されのようだけど、
ちょっと何とも言えないな…と思える場合、
先生ならどう答えますか?

今回は「わからないとき どうするか?」について
お話をしていきます。

【先生は病気のことなら何でも知っているはず?】

患者さんは医師の専門性について詳しく知りません。
診療科が分かれていると知ってはいるものの、
先生なら風邪も骨折も皮膚の痒みもわかるだろう
と思いがちです。

患者さんも軽い気持ちで聞いてみたという人から、
自分の調べたものが正しいか知りたい
という人までいます。

しかし医師といえど万能ではありません。
珍しい病気や新しい治療法などは、
名前は知っているけど…
程度のこともあるのではないでしょうか。

【細分化、高度化していく医療
ひとりで全てを補うのは難しい】

医療は加速度的に進歩しています。
東京大学の整形外科病室の設立が
明治39年(1906年)。
それまでは外科と整形外科が
区別されていなかったことを踏まえると、
医療の進歩の速さがどれだけのものなのか
実感できます。

より専門的で高度な研究が進む中、
医師がそれをどれだけ網羅できるでしょうか。
毎日の診療以外の時間で、
自分の専門領域や診療する機会の多い病気などに
関して勉強するだけでも大変です。

【わからないときこそ 信頼獲得のチャンス】

患者さんの質問の答えが分からない、
患者さんの飲んでいる薬がよく分からないとき。
実はチャンスです。

「ごめんなさい。専門外でわからないのですが…」
と素直に話し、すぐに調べればよいのです。
時間に余裕がある場合は
「次にいらっしゃるときまでに勉強しておきます。」
と答えるのもひとつ。
患者さんは「先生は知ったかぶりをしない。
誠実な人だ。」と思うでしょう。

わからないことを認めきちんと対応すれば、
患者さんは「先生はこんなことも知らないんだ。」
とは思いません。

患者さんにとって医師は自分よりも、
医学において知識や経験のある人です。
その人が素直に自分の非を認めてくれたら、
患者さんは先生を信頼できる人だと思います。

インターネットでは情報の信頼性を
確認する必要があります。
先生がいつも利用しているサイトなどを
患者さんに紹介するのもひとつの方法です。
先生が調べたことをクリニックのホームページ
などに掲載してもよいですね。

【知ったかぶりは代償が大きい】

今やインターネットで研究論文も読むことができます。
勉強熱心な患者さんは知識だけなら
医師クラスの人もいるでしょう。

論理的に考えた人に対し、
お茶を濁した返事をするとすぐにバレてしまいます。
その場で反論はしなくても、
「ああ、この先生はちゃんと対応してくれない。」
と思われてしまいます。
その患者さんは二度と診察に訪れないでしょう。
口コミサイトなどで批評を書き込むかもしれません。

【詳しい人に頼るのもひとつ】

自分で調べることも大切ですが、
詳しい人に聞いてみるのが一番ということもあります。
近隣の他の診療科の医師に
気軽に相談できたら理想ですよね。
患者さんにもメリットがあります。

また患者さんに、近隣の診療科の医師を
紹介する時にも、説明方法にポイントがあります。
「ちょっと私では判断しかねるので、
〇〇科を受診してください。」と言われると、
患者さんは見放されたような気分になります。

「〇〇先生が詳しいから、
〇〇医院に行くといいですよ。」と言われたら、
先生は他のお医者さんを紹介してくれたと
安心できます。

また、先生のすぐそばにいる
看護師さんも頼りになります。
複数の診療科での経験があれば、
多くの知識があるからです。

誰かに頼るのは自分の無力を
認めることではありません。
周囲の力を最大限活用し、
診療の質を上げていくようにしましょう。

【まとめ】

先生方は毎日の診療でお忙しいなかでも、
それを向上させるための学びを
日々積み重ねていらっしゃると思います。
ただそのような中でも、患者さんからの質問が
専門外の場合など、どう回答をしようか迷われることも
もちろんあると思います。

「わからない」と言うことによって、
先生の価値が下がったり、
先生の努力が否定されたりすることはありません。

わからないときこそチャンスと捉えて、
誠実に対応してみてください。
患者さんにとって
それが一番うれしいことのはずです。


看護師M.K.

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