Blog 医院運営 医院運営創意工夫院内設備設備・環境 CT技術の進化は「質」にも注目! 最新のCT装置でできること 2024年1月9日 2024年1月9日 Facebook post 近年のCT(Computed Tomography)技術は、従来と異なる画期的な進化を遂げています。これは、医療現場の画像診断に大きな変化をもたらすものです。 最新のCT装置により、これまで以上に精密かつ詳細な診断が実現可能となり、医療の質を大幅に向上させることができるようになりました。 この記事では、CT技術の進化と、実現可能になったことについて紹介します。 もくじ 質の向上にフォーカスしたCT技術の最新動向 次世代のCT技術:フォトンカウンティングCT(PCCT)の登場 クリニックにおける最新CT装置の効率的利用と地域医療への貢献 最新のCT技術を活用し医療の質も向上させよう 質の向上にフォーカスしたCT技術の最新動向 CT技術の開発は、長らく「より広範囲に、より高速に」スキャンすることを目指して進められてきました。 2007年に登場した、1回転で16cm幅を撮影できる検出器を搭載したCT装置により、心臓や脳全体を1回転で撮影できるようになり、撮影時間の大幅な短縮と低被ばくを実現しました。これは、患者さんの負担を軽減するだけでなく、医療現場の効率性向上にも大いに貢献し、CT検査が画像検査の第一選択として利用されるようになりました。 速さの分野では順調に進化してきましたが、約30年間大きな進化が見られなかった領域が2つ存在します。 ①より細かく描出する「高精細化」 ②より濃淡をつける「高コントラスト化」 1986年に0.35mmの解像度を達成して以降、長い間、解像度をさらに向上させるCT装置は実現できていませんでした。また、画像コントラストに関わるX線の照射方法もCT装置が誕生して以来、変更されていませんでした。 どちらも患者さんの被ばくを考慮しなければ実現できましたが、CT撮影最大のテーマである被ばくを無視することはできません。しかし、近年では、検出器の改良と画像を再構成する技術の進化により、被ばく量を増やすことなく「高精細化」と「高コントラスト化」が実現しました。撮影範囲や速さではなく、約30年間変化のなかった画質の向上へ、進化の方向がシフトしたのです。 「高精細化」と「高コントラスト化」についてそれぞれ見ていきましょう。 ①「高精細化」を実現し微細な病変を可視化 従来のCT装置との比較で明らかであることは、画素サイズが4分の1まで縮小された新型検出器の導入です。この進化により、より細かい病変や解剖学的構造を鮮明に描出できるようになりました。これにより、診断の精度が飛躍的に向上し、病変の評価や手術計画の重要な情報源となっています。 ②「高コントラスト化」を実現したデュアルエネルギー技術 デュアルエネルギー技術は、異なる2種類のX線エネルギーを同時に使用することです。これにより、従来にない高コントラストの画像を作ることが可能になりました。以前は1種類のX線照射で撮影しており、その際に避けられなかった、画質を低下させる要因となるノイズやアーチファクトの影響が減少しました。 さらにこの技術は、患者さんの体型に依存することなく、低電圧撮影でも高品質な画像を得られます。 また、従来のCT画像では困難だったさまざまな物質の区別や病変の状態を描出できるようになりました。 これにより、冠動脈の狭窄部や胆石などの結石の成分、急性期の脳梗塞の診断など、幅広い疾患の描出に有効性を発揮します。 次世代のCT技術:フォトンカウンティングCT(PCCT)の登場 CT技術の新たな展開として、フォトンカウンティングCT(PCCT)が注目されています。これまでのCT技術の進化は、検出器のサイズ拡大や、複数のX線エネルギーの活用に焦点が当てられていましたが、X線検出の仕組み自体は大きく変わっていませんでした。PCCTでは、従来のX線を検出するメカニズムを変えることで、大幅な高速化、低被ばくの撮影、高精細な画像生成を同時に実現します。 2023年からは、国内メーカーが生産するPCCTが、国立がん研究センターや大学などの研究施設で臨床研究が開始されました。さらなる診断技術の向上に期待を寄せられています。 クリニックにおける最新CT装置の効率的利用と地域医療への貢献 地域基幹病院や先進的な画像診断センターでは、最新のCT装置の導入が進んでいます。一方で、高額な導入費用と維持管理コストのため、小規模クリニックではこれらの機器を個別に導入することは財政的に困難な状況です。 このような状況を鑑みて、国でも地域医療の質の向上を目的として、医療機器の共同利用を促進しています。地域の医療機関が連携を深め、共同利用が進むと、クリニックは高額な医療機器の単独導入の負担から解放されることになります。この結果、医療サービスの質の向上に集中でき、患者さんも最新の技術を利用した精密な検査を受けられるため、クリニックの医療提供の満足度も高まるでしょう。 最新のCT技術を活用し医療の質も向上させよう CT技術の進化は、速さから質へとシフトし、これまでにない高精度の画像描出を可能にしました。また、PCCTの登場により、CT技術の進化はさらに続きます。 すべてのクリニックで最新のCT装置を導入することは困難です。しかし、地域の医療機関と連携し、共同利用をすることで、クリニックを受診する患者さんも、精密な検査を受けられるようになります。 最新のCT技術に関する情報を把握し、より質の高い医療サービスの提供を目指してみてはいかがでしょうか。 放射線技師 O.S Facebook post
コミュニケーション 今だからこそ!クリニックで健康教室を開こう 新型コロナウイルス感染症の流行により、従来の患者さんの受診控えが問題となっています。 しかし最近では感染者数も落ち着き、一定の条件下ではマス...
スキルアップ 薬剤師との連携で吸入薬の効果を存分に引き出そう 現在、喘息やCOPDの治療は長期管理で、薬物療法の基本は吸入薬です。 吸入薬は薬が直接気道に届くため、副作用を抑えつつ、内服薬よりも少ない成...
スキルアップ 動脈硬化性疾患予防ガイドライン5年ぶり改訂、糖尿病など近年の日本の問題をカバー 日本人の動脈硬化性疾患の最新研究を反映したガイドラインが、5年振りに改訂されました。 重要な変更点であるトリグリセライド(以下TG)、糖尿病...
コミュニケーション 健診だけじゃもったいない!患者さんから選ばれる小児科になるための対応の工夫とは? 皆さんのクリニックでは、乳幼児健診のときに何か心がけていることはありますか? 乳幼児健診は、保護者が専門家に育児の悩みを直接相談できる機会で...
コミュニケーション 疑義照会をきちんとする薬局はかかりつけ医の最後の砦 忙しい外来の最中に薬局から疑義照会が あると、つい煩わしく感じることもあるのではないでしょうか。 ところが、疑義照会は適正な薬物療法や 副作...
コミュニケーション インシデントレポートで医療事故を防止し、安全な治療環境づくりへ 医療安全を語る上で有名な言葉に、1999年に米国医学会が提言した「To Err is Human(人は誰でも間違える)」 があります。 エラ...
コミュニケーション 患者さんに好印象を与える医師の身だしなみのポイント 皆さまは普段、どのような服装で診察をしていますか? スーツスタイルの上に白衣、スクラブ、普段着で白衣なしなど、医師の服装は様々です。 ルール...