患者さんやスタッフに対して
丁寧な説明をしたのに、
相手が思うような反応ではなかった
ということはありませんか?
自分に非があるとは思えない。
それなのに相手が理解を示さないと
イライラしますよね。
今回は、コミュニケーションエラー
についてのお話です。
話が通じないのは脳のタイプが違うからかも
突然ですが、「海水浴場」という言葉から
どのようなことをイメージしますか?
①海水浴場の写真または映像
②波の音や海水浴客の声などの音声
③潮の香りや強い日差しに肌が
じりじりと焼かれる感じなどの感覚
①~③はそれぞれ脳の使い方が異なります。
①は視覚で処理をするタイプで、日本人の44%
②は聴覚で処理をするタイプで、日本人の18%
③は触覚・味覚・嗅覚などの感覚で処理をするタイプで、日本人の38%
例えば視覚タイプの人は、
表やグラフで説明するのがよいと考えますが
聴覚タイプの人は、口頭で説明される方が
分かりやすいと感じる傾向にあります。
ただし、それぞれのタイプは一つの方法
のみで処理をしているのではなく、
複数の感覚を使っています。
視覚タイプの人が思い出の料理を匂いや
味で記憶している場合もあり、
その人の脳のタイプを決めつけるのは危険ですが、
どのような傾向にあるのかの目安にはなります。
分かってもらうには まず相手を知ることから
脳は遺伝的要素や成育環境、
その時に置かれている状況によって
周囲に対しての反応はさまざまです。
つまり、先生の見ている世界と
相手の見ている世界は異なるということです。
「相手に合った方法で話さなければ伝わらない」
これを前提にコミュニケーションを考えてみましょう。
まずは相手の脳のタイプを知ることが重要ですよね。
「りんごと言われて思い浮かぶことはなんですか?」
「学校と言えばどのようなことを考えますか?」
などと質問すれば相手の脳タイプが予想できます。
さらに「これから治療についてお話しますが、
- 表やグラフで書く
- 文章で書かれたパンフレットをお渡しする
- 口頭で説明する
どれがよいですか?」と
患者さんに質問します。
相手によって方法を変える必要があり、
先生にとっては負担かもしれませんが、
そこは急がば回れです。
よく話をする内容ならあらかじめ
3パターンの説明方法を
用意しておくこともできます。
これはスタッフにも同じことが言えます。
例えば病院の理念や患者さんへの接遇など、
その人によって解釈の幅があるような内容については
脳タイプ別の説明があると分かりやすいかもしれません。
環境がコミュニケーションを助ける
人間の行動の90%以上が
無意識的に決定されています。
環境がいかにその人の気持ちに
影響しているか分かりますね。
環境が与える影響に以下のものがあります。
①柔らかいものに座ると心が穏やかになる
②温かいものを持つとやさしくなる
③甘いものを食べると親切になる
④近くに嫌いなものがあると、機嫌が悪くなる
例えば先生や患者さんの座る椅子を柔らかくする、
疲れたら温かい飲み物を傍らに置く、
チョコレートを口にするなど。
病気の恐怖を与えるようなポスターは、
患者さんにとっては逆効果かもしれませんね。
環境を上手く利用することで、先生が余裕を持って
コミュニケーションをとることができ、
結果的にイライラを減らすことができるでしょう。
まとめ
そもそも相手は自分と異なる人間であり、
自分にとって良い方法が
相手にとっての最善とは限りません。
まずはその人の特性を知ることが大切です。
どのように世界をとらえて、情報を処理しているのか
簡単な質問から推測してみましょう。
相手に必ず理解してもらいたい内容は
説明方法をあらかじめ相談することをお勧めします。
環境も大切です。
柔らかいものや温かいものは
気持ちを落ち着ける効果があります。
相手の特性と環境を上手に活用し、
コミュニケーションエラーを減らすことは
先生にとっても患者さんや
スタッフにとっても大切なことですね。
看護師M.K.