ミスの発生と離職率が低いのは『質問』しやすい職場

小さなミスの積み重ねは、
大きな医療事故を招きます。
(ハインリッヒの法則)
参考:厚生労働省「安全衛生キーワード ハインリッヒの法則(1:29:300の法則)」

離職率の高い職場は
スタッフ間の連携が難しく、
ミスの可能性が高くなります。

そのため、実はミスの発生と離職率には
ある共通点があります。

本記事で、コストゼロで始められる対策を解説します。

現場によって異なる手技と事務作業

清潔操作や禁忌事項など
原理原則が明らかな手技は、
現場によって大きく異なることはありません。

しかし点滴テープの切り方や
処置後のゴミ捨て方法は意外と違ったりします。
伝票の処理や予約システムなどの事務作業も、
作業方法はクリニックによって様々です。

クリニックでは既卒者が即戦力として
採用されることが多いため、
できて当たり前という雰囲気があります。
また、大病院のようなマニュアルが
あるクリニックは少ないため、
先輩スタッフから口頭で教わるのがほとんどでしょう。

しかし先輩スタッフが、細かいことや
滅多にないことをうっかり伝え忘れる、
ということも考えられるので、
全ての業務を完璧に説明することは至難の業といえます。

質問しにくいとこうなる

たいていの場合「とりあえずやってみて、
分からないことはその都度聞いてね」と
いわれるのですが、なかなかそうはいかない職場もあります。

例えば

  • スタッフがそばにいない
  • 質問できる人が限定されている
  • 忙し過ぎて何かを尋ねると煩わしそうにされる

などの理由が挙げられます。

これらの理由で、仕方なく資料を探したり
自分で対応したりすると思わぬミスにつながります。
筆者の体験で例を挙げます。
その職場独自のルールが把握できておらず、
以下のような「作業ミス」を起こしました。

  • 伝票を挟んだファイルに付箋をつけ忘れる
  • ゴミ袋を2重にしなかったので匂いが漏れている

これらは本当に細かいことですが、
質問しにくい職場では、
このような小さなミスが発生し、
次に業務を受け継ぐスタッフにとって
気持ちの良いものではありません。

そしてそのような些細なミスが積み重なると
大きな事故に繋がりかねません。

質問ができなかったスタッフの気持ちはどうでしょうか?
常に不安な状態で勤務をするため、
大きなストレスを感じるかもしれません。

また、前の職場で当たり前だったことを
自分で考えて実行したときに、
間違いだと指摘されると
非常にショックを受けるかもしれません。

その上「こんなことも知らないの?」と
いわれた日には大打撃です。
それ以降、質問することが怖くなってしまいます。
質問しにくい職場は事故と離職の可能性を秘めているのです。

質問ウエルカム!!何でも聞ける職場づくりのポイント

質問しやすい職場はスタッフの意識によって作ることができます。
コストゼロですぐに始められます。

1.「誰に何を聞いてもよい」ということをスタッフ全員が共有できるようにする

朝礼や会議などで毎回確認することから始めましょう。

さらに、質問しやすい雰囲気は
ミスや離職予防につながり、
より良い医療提供に寄与することも
伝えると良いかもしれません。

なぜ質問しやすい職場が重要なのかを
スタッフが認識し、自ら質問し、
質問を受けたら気持ちよく対応する意識づけが大切です。

2.上司自ら積極的に質問する

上司である医師や主任スタッフが
自ら質問することで、
スタッフは質問をすることが
良いことなのだと実感できるでしょう。

職歴が長い人ほど質問は多くありません。

しかし思ったことを気軽に誰かに聞くことを
心がけることによって、
改めて気づくことがあるかもしれません。

3.採用時に伝える

スタッフを採用時に、
分からないことは誰に聞いてもよいことを伝えます。

質問が明らかに看護業務である場合、
事務員に聞いてはいけないと
暗黙のルールになっていたりします。

しかし、
「この伝票に付箋は必要ですか?」
という質問に対し、
「私は分からないけど、明日○○さんが
来るから聞いておいてあげるよ」
と対応できるかもしれません。

また「メモを残しておいたらいいかもしれないよ」と
アドバイスできるかもしれません。

誰に何を聞いても良いという職場は多くありません。
それを採用時にしっかり伝えるだけで
採用後のコミュニケーションが円滑になるかもしれません。

4.できれば質問の多いものは可視化・仕組み化する

質問の多いものはわかりにくい業務だといえます。

張り紙やマニュアルを作成する、
または業務自体を変更できればベストです。
質問自体が業務改善につながれば、
スタッフも質問しがいがあります。

日々の業務の中でこれらを整理するのは
簡単なことではありませんが、
業務改善まで繋げられるとよいです。

まとめ

異なる現場での経験者が集まるクリニック。

スタッフの採用時に細かい手技や作業を
伝えることはできないため、
いつでも誰にでも質問できる職場を
目指してはいかがでしょうか。

ミスが減るだけでなく、
スタッフの安心感につながり、
離職率が低くなる可能性があります。
さらには業務改善につながるかもしれません。

看護師 M.K.

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