先生がクリニックを開設するとき、掲げた理念。
クリニックがどうあるべきか、何を大切にし、
どのように実現したいのか。
時間をかけて熟慮されたことと思います。
今回はクリニックの原点とも言える理念を
体現するためのヒントをお伝えします。
もくじ 理念を額縁に入れて掲げるだけになりがち ビジョナリーカンパニーとは 日々の業務で実践するコツ まとめ |
理念を額縁に入れて掲げるだけになりがち
理念を目立つ所に掲示しているクリニックは
少なくありません。
スタッフにも、患者さんにも見えるようにするのは、
「私たちはこれを目指します」という宣言であり、
それ自体は必要なことです。
しかし問題なのは、掲げた後のことです。
- 全てのスタッフが理念を理解していますか?
- 患者さんに質問されて、しっかり答えられますか?
理念はクリニックの根本的な考え方です。
そのためどうしても大きなテーマになりがちで
抽象的になってしまいます。
例えば、
- 「質の高い医療を提供する」
- 「患者さんに寄り添う」
- 「地域医療の発展に貢献する」などが多くみられます。
大切なのはスタッフがこれらを
具体的に理解しているかです。
イメージできないことは行動に移せません。
どんなに「質の高い医療を提供しよう!」と
思っていても、質の高い医療とは何か?
なぜそれを目指すのか?どのようにして提供するのか?
をしっかりと自分のものにできなければ、
実践にはつながりません。
ビジョナリーカンパニーとは
ビジョナリーカンパニーとは、業界内で卓越した
企業ながら、社歴が長く、変化に対応し、
広く社会に認知されている企業のことを言います。
アメリカのビジネスコンサルタント、
ジム・コリンズの著書『ビジョナリー・カンパニー』で
提唱された概念です。
その著書で、永続企業8つの法則を
書き出しており、その中に次の2点も
含まれています。
- 現実的な理想主義である
- 基本理念を維持し、進歩を促す
ビジョナリーカンパニーにおいては、基本理念が
社内全員に浸透しており、熱狂的に支持されています。
「自分たちは何を大切にしているか」
ということをしっかりと認識し、進歩しているのです。
先生のクリニックにおいても、その掲げられた
理念を体現するために日々実践することが
求められるでしょう。
日々の業務で実践するコツ
まずは、クリニックの理念をスタッフひとりひとりが
具体的に想像できるようにすることが必要です。
そのためには、理念についてみんなで
話し合うことが重要です。
例えば
- 質の高い医療とは何か。
- 質の高い医療は何に貢献するか。
これについてご自身のクリニックでは
どう考えるものなのか、深く掘り下げて
考えてみましょう。
そして、
✓ 最新の知識と技術に基づく医療。
✓ミスのない医療。
✓患者さんを全人的に捉え、医療行為だけでなく全ての関わりを通して提供する医療。
✓患者さんのQOLが向上する。
✓ 患者さんの幸せにつながる。
などとスタッフの考えを出していき、
話し合いながら、具体的なビジョンにしていきます。
次に話し合うのは、日々の業務でどのように実践するかです。
✓ 最新の知識を得るために、3ヶ月に1回以上は勉強会を開催する。
✓ 毎月ヒヤリハットを振り返り、それに対し具体的な策を講じる。
✓ さらに、スタッフ個人がどのように行動するかまで落とし込む。
✓ 年間3回は学会等の講習に参加する。
✓分からないことはそのままにせず、その日のうちに誰かに教えてもらう。
こういった例のように、スタッフがすぐに
実践できる行動目標にしていきます。
定期的にこれを繰り返すことにより、
スタッフの理念に対する理解が深まり、
理念に基づいた行動ができるようになってきます。
患者さんの対応に困ったとき、
業務の優先順を決めるときなど、
クリニックの理念を基に考えることができるようになります。
まとめ
開院時に掲げたクリニックの理念。
それは先生が実現したい医療の根源です。
理念をスタッフ全員が理解し、
日々の具体的な行動にしていくことがとても重要です。
スタッフで理念について話し合い、
具体的なイメージを共有し、
日々の業務で実践してみてはいかがでしょうか。
看護師 M.K.
会員さま向け『コンテンツ集ページ』に掲載している
接遇マニュアルには“クリニックのミッション”を
考える助けになるテンプレートもあります!
ぜひご活用ください。
該当コンテンツ「接遇マニュアルテンプレート」
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