体調が悪い中、病院へ行くのは大変です。
“症状があるから受診する”
当たり前のことですが、患者さんにとっては一苦労です。
高熱がある、膝が痛い、ぐずる子どもを連れて…
事情は人それぞれです。
雨が降っている、暑い、寒いなどの天候にも左右されます。
『患者さんは病院に行くだけでぐったり』というのが現状です。
そんな患者さんに対して
「あのとき言ってくれていれば…」を減らす
対応のコツをお話ししたいと思います。
【ぐったりしていると上手く話せない】
ぐったりしている中、待合室で長時間待ち、
やっと入った診察室。
椅子に座るなり、
医師に矢継ぎ早に質問される。
「今日はどうしましたか?」
「いつからですか?」
「ほかに受診している病院はありますか?」
すると、患者さんはそれに答えることで
精一杯になってしまいます。
人は余裕がない中、
焦ると冷静な判断ができません。
症状が出現した日や時間、具体的な内容、
関連しそうな生活変化など
細かい情報を正確に思い出すことが難しくなってしまいます。
また、とにかく早く終わりたいという気持ちが強くなり、
「ちょっと違うな」と感じても
訂正しないかもしれません。
患者さんがきちんと話をすることができなければ、
必要な情報は得られません。
何回か診察をして、
「その情報、もっと早くにもらえれば…」
という経験はありませんか?
患者さんも、思うように症状を説明できなかったり、
疑問点が解決されなかったりすると、不安や苛立ちを覚えます。
それだけでなく、
誤診の可能性も生じてしまいます。
これではお互い不幸ですよね。
【よい「間」をとる】
「こんにちは。雨の中大変でしたね。」
例えば、こんな一言をかけてみてはどうでしょうか。
患者さんが診察室の扉を開けて
椅子に座るまでの間に声をかけます。
医師が黙って座っていると、
患者さんは急かされているように感じてしまいます。
特に、高齢者や小さい子ども連れの患者さんは、
スムーズに動くことができず、
「急がなくては」
と焦ってしまいがちです。
挨拶に一言付け加えることで、
患者さんはよい「間」を感じることができます。
また、質問の一つ一つの間で、
「そうですか。」とうなずき、
患者さんの顔を見るのもおすすめです。
カルテに書き込みながら話を聞くと、
患者さんの表情は見えません。
話を聞くときは目が合っているのが理想ですが、
一人当たりの診察時間を考慮すると、
難しいこともあるでしょう。
しかし、患者さんが話し終わった時に、
目を合わせることはできます。
その間で、
「そうそう、先日こういうことがありました」
「主人も同じような症状で…」
など、患者さんは思い出したかのように
話をすることがあります。
患者さんは医療従事者ではありません。
症状とその原因となる要素を
的確にまとめるのは難しいことです。
患者さんが最初に口にする症状が最も重要な情報とは限りません。
リラックスして話ができる状態をつくることが大切です。
【関係ないかもしれないけど…ということを話せる関係に】
数回の診察や投薬で症状が改善されれば問題ありません。
しかし、慢性的な経過をたどる疾患や、
症状がなかなか改善されない場合、
患者さんの状態をさらに詳しく知る必要があります。
患者さんは、治療に必要であろう情報を選んで話をします。
そのバイアスによって、
真実が隠れてしまっているかもしれません。
「関係ないかもしれないけど、こんなことが気になって」
という患者さんの一言から糸口が見つかることがあります。
限られた診察時間で雑談をすることはできません。
しかし、患者さんが症状に関して何となく気になっていることや
心配していることを話せる関係を築くことはとても大切です。
よい間をとることで、
「私はあなたの話を聞く準備がありますよ」
ということを暗黙に示すことができるのです。
【まとめ】
症状のある患者さんにとって受診は大変なことです。
挨拶やアイコンタクトなど、
よい「間」をとることで、
患者さんはほっとすることができます。
焦らずに話してもらえれば、
診察は円滑に行えます。
また、患者さんとの信頼関係にもつながります。
小さいことかもしれませんが、
お互いが納得できる医療を提供できるように、
心がけてみてはいかがでしょうか。
看護師M.K.