クリニックの最適な音環境とは 音による効果とBGMの活用法

クリニックの音環境は、
患者さんのリラックス感や
ストレスレベルに影響します。

そのため、最適な音環境を整えられれば、
患者さんの不安や緊張、
イライラを軽減でき、
院内環境をより良いものにすることができるでしょう。

今回は、クリニックの
最適な音環境について解説します。

音がもたらす人体への影響

音や音楽が人体に与える影響は
非常に広いことが知られています。

どのような影響があるか見てみましょう。

メリット

音楽には、リラックス効果や安眠効果、
集中力を高める効果、
ストレス緩和効果があることが知られています。

特に、小川のせせらぎや小鳥の声などの
自然の音や、穏やかな音楽は、
聞く人に安心感を与え、
緊張や不安、イライラを和らげる効果があります。

これらは、音楽や音が
ホルモン分泌に影響することで得られる効果です。

音楽を聴くことで、意欲や快感の元となる
ドーパミンが分泌されたり、
ストレスホルモンであるコルチゾールが
減少したりすることなどがわかっています。 

参照元:日本予防医学協会「POWER OF MUSIC ~音楽の力を味方に~」
    大谷喜美江「音楽を用いたリラクセーション効果と心身健康科学(PDF)」
    星野悦子「音楽心理学の研究動向(PDF)」
    中嶋麻菜、他「音楽のストレス解消効果について(PDF)」

デメリット

騒音は、集中力の低下や
イライラの原因になるだけでなく、
睡眠妨害や、高血圧や心血管疾患の増加など
健康障害の原因にもなります。

また、それほど大きくない音でも、
健康被害を及ぼすことがあるのが
「低周波音」です。

「低周波音」は、雷のゴロゴロ音や
空調の室外機の音など、
低くて重い音をいい、
不快感やイライラ、集中できない、
気分不快などの症状を招く可能性があります。

参照元:総務省「第 3 回 音響の基礎:騒音の影響と評価・規制方法(PDF)」
    「A synthesis of health benefits of natural sounds and their distribution in national parks」
    労働安全衛生総合研究所「低周波音とその人体への影響に関する研究について」

クリニックの最適な音環境とは

クリニックにおいて
最適な音環境を整えるためには、
まず、騒音や低周波音などの
悪影響を及ぼす音を失くす必要があります。

一般的なクリニックでは、
騒音や低周波音が気になるケースは
少ないと思われるかもしれません。
しかし、患者さんにとっては、
他の患者さんやスタッフの声、
医療機器から発せられる音が、
うるさい音・気になる音と感じられる場合もあります。

そこで、院内でBGMを流すことが勧められます。

不快な音や話し声を聞こえにくくする
「マスキング効果」が期待できるだけでなく、
音楽によるリラックス効果や
ストレス緩和効果などの
良い影響も得られるため、
一石二鳥の効果が望めます。

院内のBGMには、クラシックやオルゴール曲、
自然音の入ったヒーリングミュージックなどがおすすめです。

参照元:日本予防医学協会「POWER OF MUSIC ~音楽の力を味方に~」

BGMの提供方法について

院内でBGMを提供する方法としては、
1. 購入したCDや有料ダウンロードした曲を流す方法
2. BGM配信サービス
を利用する方法があります。

1. 購入したCDや曲を流す

購入したCDや有料でダウンロードした楽曲を
店舗のBGMとして使用するには、
日本音楽著作権協会(JASRAC)への
申請や使用料の支払いが必要です。

しかし、以下のいずれかに該当する場合は、
使用料が免除されています。
➀福祉、医療(医療法に基づく医療提供施設)、教育機関でのBGM
②会社や工場での従業員のためのBGM
③露店などでの短時間かつ軽微な利用

クリニックでのBGM提供は➀に該当するため、
例えば、クラシック音楽や
ヒーリングミュージックのCDを購入したり
有料ダウンロードしたりしたものを、
待合室で流すのは問題ありません。

しかし、YouTubeなどの動画サービスで
音楽をBGMとして流すことは
著作権法違反となる可能性があるため、避けましょう。

参照元:一般社団法人日本音楽著作権協会(JASRAC)「Q&A」

2. BGM配信サービス

BGM配信サービスは、
料金(主に月額)を支払うことで
著作権手続き不要で音楽の提供を受けられるサービスです。

専用機器や工事が必要なものもありますが、
パソコンかスマートフォンと
スピーカーだけでサービスを受けられるものもあります。

サービス内容もさまざまで、
プレイリストを作成できるものや、
選曲不要で院内に合うBGMを配信するもの、
AI機能により曲の好みを自動学習するものもあります。

参照元:USEN「料金」
    BGMC station「トップページ」 

※個人向けの音楽配信サービスを商用利用することは各サービスの利用規約違反になるおそれがあります。

音環境を整えて患者さんにとって快適な院内へ

音が人体にもたらす影響には良いもの・悪いものがあります。

良い影響を最大限に引き出し、
悪影響を最小限に抑える方法を
模索することは大切なことです。

院内の音環境について、
スタッフに意見をもらったり、
患者さんにアンケートを取ったりするのもいいかもしれません。

クリニックの音環境を整え、
患者満足度の高い快適な院内を作っていきましょう。

看護師 S.H

この記事が気に入ったら
フォローしよう

最新情報をお届けします

Twitterでフォローしよう

おすすめの記事