クリニックにはマニュアルは不要? いらないと思う現場こそ発揮する利点とは

先生のクリニックには業務マニュアルがありますか?

「大病院じゃあるまいし、うちは必要ないよ」
という答えが返ってきそうですね。

クリニックの業務は比較的流れが決まっていることが多く、
新しく入ったスタッフも経験と共に自然と覚えられるでしょう。


先輩が後輩に教えれば済むだけの話。
あとは個人の努力次第。

…実はそうではないのです。

マニュアルの本当の意味を考えてみましょう。

マニュアルは業務のあるべき姿を示したもの

誰でも同じ行動がとれるよう、その手順を
示したものがマニュアルです。
業務の理想形を表しているといえます。

例えば診察補助について、
「看護師が患者さんの名前を呼び、診察室に案内する」
という場面を思い浮かべてみましょう。

ある人は名前を呼んでドアを開けるだけ。

ある人は名前を呼び、患者さんの顔を見て
お手伝いが必要か判断の上、患者さんの荷物を持つなどを
しながら診察室に一緒に向かう。

同じ「診察室への案内」でも、大きな違いがありますよね。

個人の判断の範囲内かもしれませんが、
患者さんが受ける印象はかなり異なるでしょう。

普段の買い物などでも、とても気持ちのよい接客を
受けたのでもう一度行ってみたら、
今度はすごく感じの悪い店員でがっかり…
という経験はありませんか?

接遇を個人の力量に任せると、
違いが生まれてしまいます。

多くの店舗で接客マニュアルが存在するのはそのためです。

「慣れる」と根本的な問題は隠れてしまう

接遇にそこまでの差はないと思うけど…という場合。
検査伝票や検体の扱いなど、診察業務はどうでしょうか?

新しく入ったスタッフが、分かりくい・ここに置くと忘れやすい…
と感じても、時間が経てば慣れるでしょう。

問題はそこにあります。

客観的に見て改善すべき点がある
のにも関わらず、皆が慣れてしまえば
問題は見えなくなってしまうのです。

小さなやりにくさが集まれば
大きなやりにくさを生み、ミスにもつながります。

スタッフや患者さんの動線が悪い、
確認する書類が分散されて置かれているなど、
当たり前にこなしている業務を
整理すると改善点が見つかるかもしれません。

マニュアルは「業務の目的」を明らかにする

先ほどの診察室への案内の例をとっても、
診察室への誘導をそこまで丁寧にする必要は
ないと考えるか、それ以上を望むのかは院長次第です。

患者さんにどのような医療を提供するのか、
どのようなクリニックでありたいのか
という理念に基づいて判断されるでしょう。

マニュアルは、業務の目的を明らかにします。

「何のために行うのか」を明示することで、
スタッフ全員が共通した認識を持つことが
できるのです。

例を挙げてみてみましょう。

◆マニュアルの目的
患者さんが安心して診察に望むこと。

当院のモットーは
「患者さんが自分を大切にできるよう、
私たちが患者さんを大切にする」である。

診察は情報収集が重要。
患者さんが医師に症状や気持ちを気兼ねなく
話すことは、患者さんを大切にする医療につながる。

上記の考えを前提にマニュアルを作成すると、
①ドアを開け、待合室の方を向きながら笑顔で「〇〇さま」と呼ぶ。
②患者さんを特定し、動きや荷物、同伴者を確認。
③高齢者や子ども連れの場合などは移動を手伝う。
④診察室内の、荷物を置く場所や座るところなどを誘導する。

例えばこのように書くことで、スタッフは
業務の目的とその手順を理解できます。

マニュアルは業務改善に役立つ

上記のマニュアルに対してあるスタッフが
こう言うとしましょう。
「名前を呼ばれるのが嫌だと思う患者さんがいるかもしれません」

ずばり、業務改善のチャンスです。

  • 名前を呼ばれたくないのはどのような患者さんか。
  • 患者さん全体のどれくらいの割合を占めるか。
  • どのような対応策が可能か

これは診療科や主な患者さんの
層によって異なるでしょう。

小児科や高齢者の多い内科は
自分の名前を呼ばれた方が分かりやすいと
感じる人が多い、
精神科や婦人科などは番号で呼ばれる方が
安心できる、など自院に合った対応を考えます。

番号札を取り入れているクリニックは多いですが、
その目的をどれだけ明らかにして導入したか
疑問に感じるケースも見受けられます。

番号札があるのに名前で呼んでいる、
自分が呼ばれているのだと気付かない
患者さんが多いなど、
スタッフがその目的を理解していないことで
自己判断による変更をしてしまったり、
そもそも患者さんの層に合っていない、など
漫然と「決まり」だけを作ってしまうと逆効果に
なることもあります。

マニュアルは、業務を「見える化」することで
これまで見過ごしていた疑問に気づく機会を生みます。
それをひとつひとつ丁寧に検討することで
業務改善につながります。

マニュアルには寿命がある

マニュアル作りは大変です。
時間も、手間もかかります。

でも頑張って作ったからこれで安心…
ではありません。

マニュアルは業務に慣れてしまえば
毎日見るものではありません。

すると気付かないうちに
マニュアルと異なる行動をとってしまうことも。

ですので、定期的な見直しと改善が必要です。

マニュアルは常に新しく生まれ変わらせる
ことが重要なのです。


標準化されたサービスが提供されない
クリニックは患者さんからのクレームや、
スタッフの離職、誤診などのリスクが高くなります。

トラブルが起きたり、スタッフ不足に陥ったり
問題が起きてから業務改善をしようとすると、
さらに大変な作業になってしまいます。

何だか忙しいな…という時こそ、
マニュアル作成をお勧めします。

まとめ

マニュアルは、業務の目的を明らかにし、
その方法を見つめ、改善するためのツールです。

規模の大きさや業務の複雑さは関係なく
使用することができます。

しかし作成や修正が大変なのが難点。

全ての業務のマニュアル作成を目標と
するのではなく、接遇や診察など
主な業務に限って作成してみると
その効果を実感することができるでしょう。

看護師M.K.

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