毎日何気なくしている業務が、実は
患者さんにとって「何だか変」
だと感じるものかもしれません。
違和感のある場所は居心地が悪く、
クリニックへの信頼度が
低下してしまう恐れもあります。
クリニックの「当たり前」に気づき、
見直す方法をご紹介します。
患者さんが違和感を覚えるシーン
- 受付で番号札を渡されるのに、
診察や会計では
「24番 佐藤◯◯様」と名前で呼ばれる。 - 会計で領収書の金額を指差し
「お会計はこちらになります」と
診察内容が周囲に漏れないよう
配慮してくれるのに、
「次回の◯◯の予約はどうされますか?」
と最終的には口にする。
このような「当たり前」が
皆さんのクリニックにもあるかもしれません。
「プライバシーを保護してくれているのか、
クリニック側の都合による仕組みなのか、
さっぱり分からない…」
これが患者さんの気持ちです。
番号札はプライバシー保護だけでなく、
診療の円滑化やミス予防のためでもあるでしょう。
診察内容を言葉にする点は、
予約の間違いを防ぐためかもしれません。
この「当たり前」の理由は、
クリニックによって様々です。
また、患者さんのプライバシーを
完全に守るのは難しく、
呼名などは苦肉の策かもしれません。
「何だか変」の例は他にもあります。
- 古い掲示物やポスターが貼られている
- 明らかに使われていない物がそのままになっている
一言でまとめると、
患者さんが「これは意味があるのかな?」
と思うような状態です。
スタッフにとってクリニックは職場です。
ある程度のルーティーンがあり、
特別な場所ではありません。
しかし患者さんにとっては時々訪れる特別な場所です。
だからこそ患者さんが密かに気づいている、
「何だか変」な点があるのかもしれません。
間違ってはいないけれど…意識は細部に表れます
プライバシー保護、掲示物、物品。
方法や配置に原理原則はあるものの、
絶対的な正解はありません。
前述した例も決して間違いではありません。
重要なのはそこに理由があるかどうかです。
- 患者さんのプライバシー保護のために
番号札を導入したものの、
番号だけだと患者さんも混乱しがちだった。
そのため氏名も呼ぶことにした。
番号札に特別な意味はなく、何となく習慣だけ残っている。 - 業者から受け取ったポスターを貼って、
替えのものがないからそのままになっている。 - 待ち時間対策で導入した雑誌類を更新せず、
古いものが並んでいる。
このように導入した当初の目的が忘れ去られ、
何となく定着したものを放置しているのが問題なのです。
患者さんは、「何だか変」だと気づかないか
気づいていてもそのままにしているのかもしれません。
直接何か不都合があるわけでもないし、
クレームにするようなことではないと考えているかもしれません。
でも自分も同じような状況に遭遇したらどう思うでしょうか。
患者さん目線が大切
しかし「当たり前」を疑うのは簡単ではありません。
放置しているのは優先順位が低いから、
もしくは、そもそも気づくことができていないのかもしれません。
そこでご提案するのは、
スタッフが患者さんの立場になり、
クリニックを利用することです。
患者さんの立場になって来院すると、
いつもと異なる点が目についたり、
「こういうのは嫌だな」と感じたりします。
自分たちの業務を見直す前に
患者さんの目線で体験した
違和感や不快感を共有し、
その理由を話し合うと良いでしょう。
スタッフ間で話し合うことで、
それぞれの価値観を知ることもできます。
- 多くの人が違和感を覚える
- 気になるのは少数派だが、とても不快に思う
- ほとんどの人が気にならない
これらを整理して、
自分のクリニックはどうか確認します。
すると誰も気づかなかった「何だか変」が
見えてくるかもしれません。
そして定期的に確認する重要性に気づくでしょう。
クリニックでの業務改善は
クレームやトラブルへの対応だけではなく、
積極的に問題点を探ることも大切です。
『「何だか変」をそのままにしない。』
このマインドの共有が良いクリニックにつながります。
まとめ
- ある目的のために始めたものの、
必要がなくなっても続けている - 手順を変えたことでそもそもの目的が見えなくなっている
これらに気づかず過ごしているかもしれません。
しかし患者さんは「何だか変」だと思っています。
クリニックの信頼に繋げるためにも、
スタッフで話し合ってみてはいかがでしょうか。
看護師 M.K.