Blog コミュニケーション コミュニケーショントラブル対策 疑義照会をきちんとする薬局はかかりつけ医の最後の砦 2023年8月29日 2023年8月29日 Facebook post 忙しい外来の最中に薬局から疑義照会があると、つい煩わしく感じることもあるのではないでしょうか。 ところが、疑義照会は適正な薬物療法や副作用の回避など、かかりつけ医の診療のアドバンテージにつながるのです。 かかりつけ医の最後の砦として、疑義照会のメリットを紹介していきます。 もくじ ネガティブな感情を抱きがちな「疑義照会」 疑義照会で事なきを得た事例も 疑義照会は日本全体の医療改善にもつながる 薬局からの疑義照会がかかりつけ医のアドバンテージになる ネガティブな感情を抱きがちな「疑義照会」 薬局からの疑義照会に対して、ネガティブな感情を抱いてしまう医師は少なくないようです。 一方、日本薬剤師会による調査では、疑義照会のあと、7〜8割が処方を変更しています。 処方ミスが原因で医薬品の事故につながることは珍しくありません。場合によっては死亡事故になる可能性もあります。 薬局からの疑義照会の発生は約3%とまれですが、かかりつけ医を事故から未然に防ぐ、大きな役割を担っていると言えるでしょう。 疑義照会で事なきを得た事例も医師も人間ですので、ヒューマンエラーを起こすことはあります。 処方せんに関連するトラブルはさまざまな種類がありますが、実際に疑義照会で事なきを得た典型的な例を、いくつかご紹介します。 疑義照会で事なきを得た事例も 医師も人間ですので、ヒューマンエラーを起こすことはあります。 処方せんに関連するトラブルはさまざまな種類がありますが、実際に疑義照会で事なきを得た典型的な例を、いくつかご紹介します。 ■事例1 処方せんの入力ミス 1つ目は、処方せんの入力ミスです。花粉症の患者さんに糖尿病治療薬「ルセフィ(ルセオグリフロジン)」が処方されましたが、薬剤師が症状と薬剤の不一致に気付いて疑義照会を実施。 その結果、抗アレルギー薬「ルバフィン(ルパタジン)」に処方変更されました。 処方オーダリングシステムで起こりがちな類似名称薬の誤選択からの事故を回避したと言えます。 ■事例2 禁忌薬処方のミス 2つ目は、気付かずに禁忌薬を処方してしまった例です。 腰痛患者に消炎鎮痛薬「ロキソニン(ロキソプロフェン)」が処方されましたが、薬剤師による聞き取りで、過去に他院で処方された同剤のジェネリック薬(製品名はロキソニンではない)による浮腫の既往が判明。 疑義照会で他の消炎鎮痛薬に処方変更されました。 患者さんはロキソプロフェンの禁忌または使用注意の腎機能障害であった可能性があります。 ■事例3 力価の確認ミス 3つ目は、力価の違いに気付かずに処方してしまった例です。 鎮咳薬アスベリン(チペジピンヒベンズ酸)には2種類の粉末製剤があり、ドライシロップは2%、散剤は10%と力価が違います。 ドライシロップの投与量と同じだと思って散剤を処方すると、5倍量になってしまいます。 小児処方など慣れない症例で見られ、薬局からしばしば疑義紹介が入るケースです。 疑義照会は日本全体の医療改善にもつながる 疑義照会は、事故の防止だけでなく、医療の無駄も省く効果があります。 ■疑義照会の医療経済メリットは年間236億円 疑義照会には、用法用量順守や残薬のチェック、重複薬剤削減、そして副作用回避の機能があります。 全国的な調査によれば、薬局薬剤師が行う疑義照会は、薬剤費節減で103億円、重篤な副作用回避で133億円、合計で年間236億円の医療費削減効果があると推定されています。 1つ1つは小さな事例ですが、積み重なると日本の医療全体に大きな影響を及ぼしているのです。 ■薬剤師から提案した減薬、実現すると支援料算定 多剤投与は健康被害を引き起こす可能性が高くなります。 そのため、厚労省は薬剤師から提案して内服薬の種類を持続的に減らしたケースを、薬局の服用薬剤調整支援料の算定対象にしました。 薬局からの疑義照会がかかりつけ医のアドバンテージになる 疑義照会はかかりつけ医の診療にもメリットが多いことがご理解いただけたかと思います。 疑義照会をきちんとする薬局はかかりつけ医の最後の砦です。 医師をはじめ、薬剤師や看護師など同じ患者さんに関わる全員が一丸となって、より安心安全な医療を提供することで 「選ばれ続けるかかりつけ医」を目指してゆけるとよいのではないでしょうか。 薬剤師 (M.H) ☆関連記事☆ 患者満足度のアップにつながる、保険薬局薬剤師との情報シェア 薬局からの疑義照会が減らない理由は?対策による業務効率化へ Facebook post
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