患者満足度のアップにつながる、保険薬局薬剤師との情報シェア

治療に対する不安や疑問は、患者さんの
満足度低下につながりかねません。

かかりつけ医と保険薬局の薬剤師が
診療に関する情報をシェアすることで、
治療への理解を促し、不安を減らして、
患者さんの満足度を上げられるでしょう。

近隣の保険薬局と協力体制を作り、
「選ばれ続けるかかりつけ医」を目指す
方法を紹介していきます。

もくじ
かかりつけ医で聞けることを薬局で聞く患者さん
保険薬局薬剤師とのつながりで患者満足度を上げる
薬局も医師との連携は大歓迎。共同作業で患者満足度を上げる
■医師との接点を持ちたい保険薬局の事情
■医師からの情報で薬局も患者満足度を上げられる
ここまで進んでいる保険薬局との連携
保険薬局との協力が患者満足度アップの鍵に

かかりつけ医で聞けることを薬局で聞く患者さん

保険薬局では、かかりつけ医で聞くべき
ことを薬剤師に質問する患者さんを
目にすることがあります。

北海道大学の研究では、保険薬局での
質問が最も多い患者さんの年齢層は
乳幼児(0~6歳)で、その割合は37.7%でした。

その割合は高齢者でも多く、70歳代が
第2位で30.0%でした。

高齢者の場合、医師の説明を十分理解
できずに、薬局でさらに聞くケースが
多いと分析されています。

年代に関わらず、質問する患者さんが
増えるタイミングは、
新処方(新しく薬を処方する、または薬を切り替える)
が出た時でした。

このように、かかりつけ医の説明だけでは
不安が残る、十分に理解しきれない、
といったことから保険薬局で質問する
患者さんは少なくありません。

保険薬局薬剤師とのつながりで患者満足度を上げる

治療への患者満足度を上げるには、不安や
理解不足の解消は欠かせません。

かかりつけ医から保険薬局の薬剤師に
情報を共有することで得られるメリット
として、下記が挙げられます。

  • 患者さんが医師の説明を十分理解できなくても、薬局で情報を確認できる
  • 医師と保険薬局の指導が統一されることで、患者さんは不安なく治療が受けられる


一方、薬局からの情報提供によって、
かかりつけ医には下記のようなメリットがあります。

  • 患者さんの残薬・服薬状況が確認できる
  • 複数の医療機関を受診している場合、不要な多剤併用を解消できる
  • 専門外領域でも優秀な新薬の情報を得られる

双方のメリットを合わせることで、
患者さんの不安を解消し、理解を促進
させて適切な治療指導が実現します。

さらに優秀な新薬を使うことで、治療成績も向上するでしょう。

薬局も医師との連携は大歓迎。共同作業で患者満足度を上げる

実際に、どのように近隣の保険薬局と
コンタクトしたら良いでしょうか。

保険薬局の事情を考えると、様々な方法がありそうです。

■医師との接点を持ちたい保険薬局の事情

保険薬局は地域連携の参加を求められています。
そのため、地域の薬剤師会では盛んに
勉強会を実施しています。

勉強会では治療の中心となる医師からの情報は重要です。

講師の誘いがあったら、積極的に受けて
近隣の薬局とのコンタクトをつけてみてはいかがでしょうか。

薬局からの疑義照会も、薬剤師と
コンタクトをとるチャンスだといえます。

疑義照会を機会に薬剤師と付き合いを始め、
病気や診療、検査値などの勉強会に発展させることも可能です。

■医師からの情報で薬局も患者満足度を上げられる

処方せんには病名が記載されていないため、
薬剤師は処方薬から、病気を推測して
患者さんに服薬指導しています。

そのため、医師は血圧を下げるために処方
した利尿剤を薬局で「尿を出す薬です」と
説明してしまう、といったすれ違いが起こりがちです。

処方せんを発行する医師が、病気の治療を
どう考え、どういう目的で薬を処方して
いるかを知ることで、薬剤師は適切な
服薬指導につなげられるのです。

その結果、薬局も患者満足度が上がり、
経営面でもメリットが生まれます。

ここまで進んでいる保険薬局との連携

病診薬連携の取り組みは日本各地で行われているようです。

大阪の八尾市立病院では、
電子カルテ情報を外部の保険薬局にも公開し、
共同で患者さん指導にあたっています。

このシステムでは検査値、診療録、
服薬記録に加え、病名も閲覧を可能にしました。

その結果、医師の処方意図を理解して
服薬指導できるようになったことで、
疑義照会が減少しました。

保険薬局との協力が患者満足度アップの鍵に

保険薬局と情報をシェアすることで、
患者さんの治療、特に服薬指導に
ついてさまざまな効果があります。

医師の説明を十分に理解し、不安を抱かずに
通院できれば、患者さんの治療満足度も
自ずと上がっていくでしょう。

近隣の保険薬局と協力体制を作り、
「選ばれ続けるかかりつけ医」を
目指してみてはいかがでしょうか。

薬剤師 M.H

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