「伝わる」患者さんとのコミュニケーション

治療に欠かせないのが患者さんの協力です。

食事や運動、睡眠、内服など、
守ってもらいたいことはたくさんありますよね。

一生懸命話しているのに、反応がいまひとつ…。
「分かりました」と言ったものの、行動が伴わない…。

今回は「伝わる」患者指導に関してのお話です。

もくじ
借り物の情報では説得力不足
確かな一次情報と体験を大切にする
想像と取材で補う
まとめ

借り物の情報では説得力不足

膨大な情報を手にできる今、逆に減ったものがあります。

それは発信者の情報です。

書籍なら著者が、新聞なら記者名が
明らかですが、それに対し多くの
インターネット上の記事は誰が書いたか分かりません。

データなどの出典も不明で、情報源が
インターネット検索のみというものもあります。

ある意味「借り物」の情報が溢れているといえます。

患者指導をするとき、先生は
どのような情報を活用していますか?

例えば塩分制限が必要な場合、その理由や
塩分量などの医学的なエビデンスは確かでしょう。

問題はその減らし方です。

具体的なメニューの提示にインターネットを
活用していませんか?

レシピの塩分量は問題なくても、
それが本当に作りやすいのか、おいしいのか?

借り物だけの情報ではなかなか納得できない
かもしれません。

確かな一次情報と体験を大切にする

面倒でも執筆者が明らかな情報源を検索してみましょう。
論文を読み込むまでの必要はありません。

「料理家の◯◯さんのレシピです」
「◯◯市で推奨している運動プログラムです」
といったように、発信元を明らかにするだけで
患者さんに与える印象はかなり違います。

そして最も印象に残りやすいのは、先生ご自身の体験談です。

先生は塩分制限食を自分で作って
食べたことがあるでしょうか?

実体験があれば、科学的なエビデンスと
ご自身の経験談を元に、より親身に
指導することができます。

経験したことは、自分が一次情報源になれるのです。

また、食事や運動など、先生がよくする指導を
その通りに実践してみましょう。

例えば通勤では1駅分歩く、
油っぽい食事を避ける、
など、意外と自分の指導が現実的に困難で
あることに気づくかもしれません。

ご自身が「これならできそうだ!」と思えば、
「私はこうやりましたよ」
と自信を持って患者さんに伝えることが
できます。
一方で現実的に困難だった場合でも、
「結構大変なので、こうすればよいですよ」
などと具体的なアドバイスが可能になります。

患者さんが
「うんうん、分かる分かる。そうですよね!」
と共感する情報を医師である先生が
話してくれたら、患者さんも耳を傾け、実践したくなるでしょう。

想像と取材で補う

とは言え、指導すること全てを経験するのは大変です。

そこは想像と取材で対応しましょう。

「もし自分が患者さんの立場だったら」
と考えてみてください。

映像が頭の中に浮かぶくらい、具体的に
想像するのがポイントです。

「もし家族が患者さんだったら」
「もし友人が患者さんだったら」
自分以外の身近な人を主人公とすることで、
想像の幅が広がります。

さらに、スタッフやすでに指導を実践している
患者さんなど、周囲の人から聞き取るのも
ひとつの方法です。

取材といっても、堅苦しいものではなく
継続できているコツや、どんな工夫をしている
のかなど、会話の中で聞き取るとよいでしょう。

「◯◯さん、毎日ジョギングしているのですね、面倒だな…と思う日はどうしているの?」
「体の調子は変わりましたか?」
など、うまくいったことだけでなく、
挫折しそうになった、失敗したなどのマイナスな
ことも大切な経験談です。

多くの患者さんは「うまく行かない何か」が
あるから、先生の指導を実践できないでいます。

その原因を探る役に立ちます。

まとめ

情報が溢れかえる現代。

主語が明らかで、実感のこもった情報は貴重なのかもしれません。

患者指導をする際には、このような情報を
提示できるよう心がけてみませんか?

「私もやってみたんですよ」
という先生のひと言は、患者さんが変わる
大きなきっかけになるでしょう。

看護師M.K.

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