患者さんの心にぐさりと刺さっているかも?! 医師の気軽なアドバイス

医師として診察と直接関係なくても、
患者さんに助言することはありますよね。

例えば、

風邪で来院した紙パンツをはいている3歳のお子さんの保護者に対して、
「そろそろ紙パンツを卒業したいですね」。

片頭痛で受診した患者さんに対して、
「もう少し体重を減らした方がよいでしょう」。

など、医師だからこそ気づき、エビデンスに基づく助言をした。
しかし、それが患者さんに悪影響を及ぼすとしたら…
今回は何気ないアドバイスについてのお話です。

図星をつかれると痛い でも今はそんな余裕はない

先生の助言は患者さんにとって
「何とかしなきゃなと思っていたけど・・・」
とまさに図星をつくような内容でしょう。

そして、患者さんはこう思うのではないでしょうか。
「ああ、やっぱり先生に指摘されるようなことなんだ」。

これで患者さんの行動変容が期待できれば
適切な助言だったことになります。

しかし、診察の目的とは外れた指摘の場合、
患者さんにとってその問題の優先順位は高くありません。

「子どもの風邪を治したい」
「片頭痛を治したい」
この問題が解決されない限り、
患者さんが他の問題に着手するのは困難です。

図星をつかれると痛い。
でも何とかする余裕もない。
このような状況では、
患者さんはただ落ち込むだけです。

患者さんにとって医師は権威

「そんな些細なことでいちいち傷つくなんて…」
と思われるかもしれません。
しかし、患者さんにとって医師は特別な存在です。

医学部に入学するのはとても難しく、
並大抵の努力では一人前の医師になれないことを
患者さんは知っています。

自分よりもはるかに能力のある人から受ける指摘は、
些細なことでも強く感じてしまうのです。

実は、紙パンツの助言は私(筆者)の実体験です。
トイレトレーニングはほぼ完了していたものの、
外出時は「心配だから紙パンツをはきたい」という娘。

親としては子どもが安心できるならいいか…
と考えていました。

しかし、医師にそう指摘されて、
「3歳の子が紙パンツで来院するのは少数派なのかな。
トイレトレーニングを強化しないといけないかも」
と思いました。

親として看護師として、
私の考えは間違っていたのだろうか…
子どもの看病疲れのせいか、
ひどく落ち込んでしまいました。

穏やかで患者の話をしっかりと聞いてくれる先生。
そんなつもりで言ったのではないと分かっています。
しかし私には大きなひと言でした。

意図しない評価はうれしい 口にするならプラスの気づきを

不意打ちの指摘は心にぐさりと刺さりますが、
意図しない評価はかなりうれしいものです。

小児科の先生に
「〇〇ちゃんはおしゃべりが上手ですね。
ママがいっぱい話かけている証拠です」
と言ってもらえたことは今でも覚えています。

このときも娘の風邪で受診したのですが、
看病疲れが吹き飛ぶくらい感激しました。

自分では思ってもみなかったことを
褒められるとうれしいですよね。

尊敬する人からの評価はなおさら。
「いつも予約時間を守っていただいて、助かります」
「歩きやすそうな靴ですね。
定期的な運動を心がけているのですか?」

プラスの気づきを先生が口にすることで、
患者さんを元気にすることができます。
社交辞令や何となく褒めるのは違います。
先生が本当にいいなと思ったことを口にすればよいのです。

アドバイスは相談されてから 
医師にとっての「当たり前」に要注意

医師にとっては当たり前、
むしろ良いと思ってした助言が
患者さんの負担になっては意味がありません。

小児科であれば子どもの発達やしつけ、
生活習慣に関すること。
「靴下は自分で履きましょうね」
「病院では静かにできるようにしましょう」
「寝る時間が遅いですね」など。

内科なら生活習慣や仕事内容。
「栄養バランスのとれた食事を」
「最低6時間睡眠ができるように」
「ストレスが溜まるなら転職などを考えては?」
など。

広く見ればどれも患者さんの健康に関する内容です。
医師として当然の指摘でしょう。

しかしそれが患者さんにとって不意打ちだった場合、
患者さんを不要に落ち込ませてしまうかもしれません。
アドバイスは患者さん求められたらするように心がけましょう。

まとめ

何気なくしている診察内容以外のアドバイス。
それが医師として当然の発言であっても、
患者さんを落ち込ませてしまう可能性があります。
患者さんから相談をされたら助言するようにしてはいかがでしょうか。

一方に不意打ちの褒め言葉は患者さんを元気にさせます。
先生が気付いた患者さんの素敵な面、
頑張っているところなどはどんどん口にして
伝えていくことを心掛けましょう。

看護師M.K.

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