新型コロナウイルスの流行により、
私たちの生活は大きく変わりました。
ほとんどの人がマスクを着用し、密閉された空間や
人混みを避けて行動するようになりました。
クリニックも新型コロナウイルス対策に追われ、
今までとは違う医院運営の仕方が求められています。
今回は“新型コロナウイルスに負けないクリニック
にする方法“について、わかりやすくまとめます。
新型コロナウイルスのクリニックへの影響は?
総合医療情報サイトである「ドクターズ・ファイル」を
運営する株式会社ギミックが、開業医119名を
対象に2020年5月19日から31日まで行った
アンケート調査によると、9割以上の先生が、
“新型コロナウイルスの感染拡大によって
クリニックの経営に影響を受けた”
と答えたそうです。
また、影響を受けたと答えた先生の約半数において、
受診者数が昨年に比べて2-3割減った
と回答しました。
院内の感染対策については、
全スタッフのマスク着用が最も多く、98.3%を占め、
95.8%は院内の消毒の徹底・強化、
77.3%は受付での検温と問診の実施と答えました。
電話やオンライン診療の導入率は、
44.5%だったそうです。
このアンケートの結果をふまえると、
新型コロナウイルスによる影響を
ほとんどのクリニックが受けており、
院内の感染対策やオンライン診療の導入などに
対応したにも関わらず、
患者数は減少したことがわかります。
新型コロナウイルス感染拡大によって、
生活様式が大きく変化したため、
クリニックも今までの経営の仕方では
対応できないと考えられます。
新型コロナウイルスに負けないクリニックにする方法5つ
新型コロナウイルスの影響で、会社へ出勤せずに
自宅でテレワークをする人も増えました。
そのため、風邪やインフルエンザの
感染者数が減り、クリニックを受診する患者数も
減ったといわれています。
また、新型コロナウイルスの感染を恐れ、
クリニックの受診を控える人が増えたため、
患者数が減少しているとも考えられています。
では、このようなコロナ禍でも負けないような
クリニックにするには具体的に
どうすればよいのでしょうか。
具体的な対策方法を5つ紹介します。
①感染対策をしていることをしっかりと伝える
患者さんの多くは、通院することによって
新型コロナウイルスに感染する可能性が
高くなるのではないかと心配しています。
クリニックのホームページでは
感染対策への取り組み方を具体的に提示し、
ツイッターやフェイスブックなどのSNSも
利用して感染対策を強化していることを
患者さんに伝えるように心がけることが必須です。
クリニックからの葉書は、
いつも以上によく読まれていると考え、
感染対策をきちんとしているため安心して
来院できることを記載するようにしましょう。
可能であれば予約診療を導入して、
待合室での混雑を避けるような配慮も必要です。
まだしばらく続きそうなコロナ禍での医院運営。
患者さんに伝えるには葉書などの
アナログな対応に加え、SNSなどのデジタルな
対応も必要となります。
②必要な検査や治療法を丁寧に説明する
患者数が減っている時には、
患者さん一人当たりの単価のアップを考えるのも
クリニックの収入を増やす方法のひとつです。
今までの短時間の診療で多くの患者を
診るスタイルから、1人1人の患者とゆっくり
向き合うスタイルへと変えるとよいかもしれません。
推奨される検査や治療法などをわかりやすく、
ゆっくり説明することで結果的に患者満足度も上がり、
検査や治療による単価アップを期待できます。
③オンライン診療やオンライン服薬指導を取り入れる
密を避けるため、食材や衣服などをオンラインで
購入する人が増えています。
医療においても同様で、オンラインで可能なものは
対応するようにした方がよいです。
実際に、オンラインでの診療、服薬指導、リハビリ
などを提供しているクリニックが増えているようです。
患者さんや子供を持つ親御さんのニーズに
対応できる環境の整備は、
地域で選ばれるクリニックになる要件といえるでしょう。
④医療行為以外を見直す
患者さんは、質の高い医療を望んでいる一方で、
待ち時間の長さや説明不足に
不満をもっていることが多いです。
コロナ禍で患者数が減っている今こそ、
医療行為以外の部分を見直して
満足度を上げ、患者さんとのつながりを
保つことが大切です。
医療行為以外の待ち時間の長さや
説明不足を改善するために、
システムの導入をしたり、丁寧に接するように
診療態度を見直してみてもよいでしょう。
その際、スタッフの意見を取り入れるために
ミーティングの場を設けることをお勧めします。
⑤自費診療も検討する
患者数が減っている時には、
患者一人当たりの単価を上げることで
クリニックの収益を増やすことができます。
2つ目の方法で紹介したように、
必要な検査について丁寧に説明して
受診行動を促すのもひとつの方法ですが、
自費診療を検討するのもよいかもしれません。
例えば、自費診療でオンラインによる
セカンドオピニオンを始めたクリニックもあるようです。
新型コロナウイルスに対する攻めの姿勢も大切
新型コロナウイルスによるクリニックへの経済的
ダメージは、ほとんどのクリニックであったようです。
また、
今後もテレワークなど仕事の仕方の変化により、
今までの患者さんが診療圏からいなくなっている
可能性もあります。
このような状況を悲観しているばかりでは、
何も状況は変わりません。
まず、レセプト実績を確認してみましょう。
新型コロナウイルスの感染拡大後に
通院回数が減っているのであれば、
感染を恐れての受診控えの可能性が高いですが、
レセプト枚数が減っている場合には
単純な受診控えではない場合があります。
来院していない患者さんとのつながりを
維持する方法や来院してほしい患者像を
改めて考えることは、今後のクリニック運営を
改善する対策のひとつになります。
また、患者心理を理解することも大切です。
これくらいなら医療機関に行かなくても
よいのではないか、
クリニックに行くことで新型コロナウイルスに
感染してしまうのではないか、
医療従事者も患者さんを診るのは
気が進まないのではないか、などと考えて、
迷いながらも通院を断念している人
もいると想像できます。
そこでクリニックから、感染対策は十分にしていること、
放っておくと症状が悪化する可能性があること、
心配なことがあればいつでも受診してほしいこと、
などを伝えるようし、患者さんの気持ちに
寄り添うとよいでしょう。
また、院長先生やスタッフが
新型コロナウイルスへの感染に怯えていると、
その気持ちが患者さんに伝わってしまうものです。
このような時だからこそ、
新型コロナウイルスに負けないという
強い攻めの姿勢でクリニック一丸となって
まとまっていくことが大切です。
医師M.S.