セット購入で良い?クリニックのためのPACS選択ガイド

PACS(画像サーバー)の導入は、
画像検査機器の導入や更新と
同時に行うことが多いでしょう。
その際、PACSと画像検査機器の
セット購入は、費用が抑えられ、
第一候補として検討することが多いかもしれません。

しかし、PACSには様々な種類と
それぞれ特徴を持つシステムがあるため、
セット購入の一択で決めてしまうのは、
勿体無いかもしれません。

この記事では、PACSの種類と特徴、
他社製品を選ぶ際のメリットと課題、
最適なPACSの選び方について解説します。

PACSの種類と特徴

PACS(Picture Archiving and Communication System)
=デジタル化した医療画像を「保管」「配送」「管理」するシステム

 参照元:日本放射線技術学会「放射線部門における情報システムの構築」p2

医療画像を保管・管理する
画像サーバーとしての役割と、
電子カルテなどの他システムや他施設へ
配送する役割を持っています。

PACSは、運用する施設の規模で、
システムの構成が分かれます。
クリニックなどの小規模な医療機関では、
おもに以下の3種類のPACSが運用されています。

1. X線撮影装置一体型PACS

X線撮影装置一体型PACSは、
撮影装置の操作端末とPACSが
一体型になったシステムです。

1台の端末で撮影から
画像診断まで実施できるため、
省スペース化と導入コストの軽減ができます。
X線検査以外の心電図検査や
超音波検査などの検査情報の管理も可能です。

2. クラウド型PACS

クラウド型PACS
(ハイブリッド型含む)は、
画像データをクラウドサーバーに保存するシステムです。

最近では、院内に一時保存用の
小型サーバー(Gateway)を置き、
クラウドの利便性と
院内サーバーの表示スピードを両立させた
ハイブリッド型が主流となっています。

インターネット回線を通じて
どこからでも画像参照ができ、
災害時のデータ消失リスクが低いため、
BCP(事業継続計画)対策としても選ばれています。

3. オンプレミス型PACS

オンプレミス型PACSは、
クリニック内にサーバーを設置し、
データを保管するシステムです。

院内LANのみで完結するため、
超高精細画像の即時表示などに強みがあります。

一方で、近年多発するランサムウェア等の
サーバー攻撃に対し、
自院でセキュリティ対策を
講じ続ける必要があるため、
"オフラインだから安全"とは言い切れなくなっています。

ランサムウェアとは? ▼ご参照ください
 警視庁「ランサムウェア被害防止対策

他社製品のPACSを選ぶメリットと注意点

PACSは、検査機器メーカーだけでなく、
検査機器メーカー以外の企業が
販売している製品も多数あります。

ここでは、検査機器メーカー製以外のPACSを
選択する際のメリットと注意点を解説します。

<メリット>
  • クリニックの具体的な運用方法にあわせたシステムを選択できる
  • 使用感を比較し、最適なシステムを選択できる
  • 複数社を視野に入れることで、価格競争の恩恵を受けられる
  • 最新のAI画像診断支援ソフトウェアとの連携が容易になる

2024年の診療報酬改定以降、
AIによる診断補助技術が評価されるようになりました。
特定メーカーに縛られないPACSを選ぶことで、
最新のAI機能を導入しやすくなるかもしれません。

<注意点>
  • 問題が発生した際の対応やシステムの管理が、複雑になる可能性がある
  • 他社メーカーとシステム連携には接続費用が別途発生し、全体の費用が高くなる可能性がある

クリニックに適したPACSの選び方

クリニックに適したPACSの選択方法はおもに2つあります。
それぞれ、メリットと注意点を解説します。

1. 検査機器とPACSのメーカーを統一する方法

検査機器とPACSのメーカーを統一した場合の
最大のメリットは、管理が簡便なことです。
メーカーが同じであるため、
システムの互換性が高く、
設定やメンテナンスも容易になります。
問合せ先がまとめられるので、
問題が発生した際のストレスも少なくなるでしょう。

注意点としては、操作性や運用方法が
限られる可能性が挙げられます。
システムの仕様に合わせる必要があるため、
クリニックが要望する操作や運用が
できないかもしれません。
これが許容できるかどうかが、
メーカーを統一したシステムを選択する鍵となります。

2. クリニックの運用環境に適した他社製品を選択する方法

クリニックの運用環境に適した製品を
選択するメリットは、
運用方法や操作性の要望に最適なシステムを選択できることです。
また、将来必要となるサーバーの更新が
柔軟に対応できることもメリットになります。

多くの院内設置型サーバーでは、
耐用年数が5年とされており、
定期的なハードウェアの更新が必要です。
しかし、近年主流のクラウド型PACSは、
常に最新の機能にアップデートされ続け、
更新そのものが不要となります。
そのため、検査機器の更新に縛られず、
長期的に使用できることが大きなメリットとなるでしょう。

注意点としては、
別々で購入することになるため、
接続費用がかかったり、
製品の選定や保守管理が複雑になったりする可能性があります。

まとめ

PACSは、医療現場のネットワーク化や
デジタル化によって不可欠なシステムとなりました。
検査機器とセット購入で
手軽に導入するという方法もありますが、
運用性や操作性を優先的に考慮して
システムを選択する方法もあります。

また、「医療DX推進体制整備加算」などで
医療情報の共有(他院との連携)が
求められる現代のシステムは、
“単に画像を保存する箱”ではなく、
“将来、AI活用や地域連携に対応できる拡張性があるか?”
という視点でシステムを選択することも
重要となってくるでしょう。

本記事を参考にしていただき、
クリニックの将来を見据えたPACSを
選択してみてはいかがでしょうか。


放射線技師 O.S

この記事が気に入ったら
フォローしよう

最新情報をお届けします

Xでフォローしよう

おすすめの記事