安易な報酬にご用心!モチベーションを低下させるインセンティブとは?

様々な業種で賃上げが話題になる中、
各クリニックでも賃上げを検討されているかもしれません。

一律のベースアップは難しくても、
業務ごとに報酬を設定することはできるかも…

本記事はそんなときにお読みいただきたい内容です。

賃金アップは分かりやすいインセンティブ

当たり前のことですが、
スタッフは働くことで賃金を得て生活しています。

業務内容がそのままで賃金アップしたら、
スタッフはうれしいと感じたり、
自分は認められていると思ったりするかもしれません。
お金は分かりやすいインセンティブです。

求人への応募にも良い影響をもたらします。

その他にも、「ポスター作成◯◯円」、
「棚の整理◯◯円」など
業務ごとに報酬を決めることも考えられます。
「認定看護師であればプラス◯◯円」
といった、資格手当も有効です。

注意したい!クリニック特有の「プライスレス」な業務

以下は筆者の病棟勤務でのお話です。

死後の処置にインセンティブが支払われる仕組みでした。
値段は一律500円です。

病院側はスタッフに対する労いの気持ちで
インセンティブを実施していたと思います。
しかし多くのスタッフからは
「これだけやって500円なんて…」
という声が聞かれました。

死後の処置をするということは、
患者さんをお看取りするケアや
ご家族のケアのための対応など
身体的にも精神的にも辛い業務をこなしたということです。

穏やかな死とそうでない死があり、
場合によっては壮絶な現場を経て
死後の処置を行うということもあります。
それが一律500円と値段がついていることで、
その業務の価値が500円なのだと
勘違いを引き起こしてしまっていたのかもしれません。

クリニックにも同じような「プライスレス」な業務があります。
例えば、
・患者さんの話をゆっくり聞く
・駐車場までお送りする
・診察後、気になる患者さんに電話をする
・挨拶状をお送りする
 など
主に患者さんと直接関わる業務です。

これらの業務に値段をつけてしまうと、
その業務の価値を勘違いしてしまったり、
患者さんのためではなくお金のためにと
考えてしまったり、本末転倒な自体を招くかもしれません。

スタッフにとってお金以外のうれしいこととは?

医療従事者のスタッフがうれしいことは
患者さんからの「ありがとう」の言葉かもしれません。

もちろん患者さんからお礼を言われるために
業務をしている訳ではありませんが、
誠意を通じたとき、単純にうれしいと感じます。

ところが患者さんからの「ありがとう」が
意外と本人に伝わっていなかったりします。

例えば、診察中の看護師の対応に対して、
会計時にお礼を言ってくださる患者さんは少なくありません。
その際にしっかりと本人にも伝えることは、
簡単なことのようで、見過ごされているかもしれません。

これは以下の例のようにスタッフ間にも言えることです。

Aさんが整えてくれた棚がとても使いやすくなっていた。
しかしシフト上Aさんに直接会うことはできない。
そのためAさんへ感謝の気持ちを伝えることが難しい…。
いつか会えたときに御礼を言おうを思っていたが、
実現しないままに月日が流れてしまった。

似たような経験がある方は多いのではないでしょうか?

もし、Aさんに間接的にでも御礼を伝えられていたら、
「棚を整えたことに気づいてくれた」
「使いやすくなったと感じてもらえた」
と、やってよかった・嬉しいと感じることができたかもしれません。

こういった日々の気づきや感謝を伝える方法のひとつとして、
「ありがとうは本人に直接届けよう!」と
スローガンを共有して、実践するのはいかがでしょうか。

その日のうちに口頭で伝える、
直接会えない場合はメモを残すなど、
それぞれの方法で行うことができるようにします。
記入したポストイットを貼れるように、
スタッフルームなどに場所を設け、
誰の目にも留まるようにするのもひとつです。

感謝の気持ちを大切にし、
相手に伝えようとすることで、
小さい感謝も見逃さないようになります。
スタッフは些細なことにもやりがいを感じ、
やる気アップにつながるかもしれません。

まとめ

賃上げは医療業界にとっても重要な課題です。
「一律のベースアップの前に、
まずは業務ごとにインセンティブを」
と検討する場合には注意が必要です。

医療従事者の業務にはその価格を
明確にすることで、逆にスタッフのやりがいを
削いでしまうものがあります。

患者さんに直性関わるものには特に配慮が必要です。

クリニックのスタッフは、それぞれ
患者さんが元気になってくれることを望み、
日々仕事に励んでいるので、
患者さんからの「ありがとう」が
最高の喜びかもしれません。

感謝の気持ちを大切にする職場を
目指すことがなによりも大切だと思います。

看護師 M.K.

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