患者さんが安心してMRI検査を受けるために

MRI検査は、CT検査とは異なり放射線を
使用しないため、被ばくの心配はありません。

しかし、MRI室は強力な磁場が常に存在し、
日常生活とは異なる環境です。
磁場の影響により、場合によっては
危険な事故が生じる可能性もあります。

本記事では、MRI検査を安全に実施し、
患者さんが安心して検査を受けるために
必要な注意事項を、撮影する担当者の
視点からまとめています。

患者さんへMRI検査を説明する際の参考にしてください。

患者さんへMRI検査を説明する際に必要な4つのこと

MRI検査を安全に実施し、患者さんに安心して
検査を受けてもらうために必要な説明事項をご紹介します。

➀撮影中は狭いトンネルの中に入る
MRI検査は患部に磁石を近づけるほど良い画像が撮れます。
そのため、患者さんは狭いトンネル
(直径60cm〜70cm)の中に全身が入ることになります。

閉所恐怖症の方は気分が悪くなることも
あるため、初めて検査を受ける方には説明が必要です。

②撮影中は工事現場のような大きい音がする
装置が磁場を発生させるときに、
工事現場にいるような大きな音を出します。

長時間の騒音は聴覚障害を起こす
危険性があるため、患者さんに耳栓や
ヘッドホンなどで騒音から身を
守ってもらう方法があります。

③撮影時間が15分〜40分かかる
検査にかかる時間はCT検査よりも長く、
15分から40分程度です。
体動により画質が落ちるため、
同じ姿勢を維持する必要があります。

患者さんに検査中の動きを控えてもらうよう
協力を得ることが重要です。 

④胎児への安全性
胎児へのMRI検査の安全性は、現時点で確立されていません。
妊娠3か月までは、とくに影響を受けやすいとされています。

安定期であっても、検査の有効性が
リスクを上回る必要があるため、
患者さんの同意は必ず得るようにしましょう。

MRI検査と相性の悪い物質

MRI室へは、強磁性体や金属を含むものは
取り除いて入室しなければなりません。

しかし、体内にあり取り除けないものに
関しては、安全性に問題があるものと
問題がないものがあります。
それぞれを表にまとめました。

安全性に問題があるもの 安全性に問題がないもの
ペースメーカー・除細動器 体内の固定具(人工関節など)

脳動脈瘤クリップ
※検査可能な製品もあるが、
 確認できないものは禁忌

脳神経外科用部品
(ドレーン、リザーバ、プレート)
※シャントチューブは確認が必要
血管内のカテーテルやステント 心臓の人工弁
※Star-Edward600番以前(1970年以前)
 のものは禁忌
目・脳・縦隔内など主要臓器内にある
強磁性体の破片(金属片、弾丸
頸動脈クランプ
※PoppenBlaylockの製品のみ禁忌
目のメークアップ用品
(マスカラやアイライナーなど)
入れ墨

参考:MRの実践-基礎から読影まで(医療科学社)、超実践マニュアルMRI(療科学社)

金属が小さい場合や体内の深部にある場合、
金属探知機に反応しないため、注意が必要です。

また、安全性に問題がないものでも
画質の低下を招くため、撮影部位によっては
検査が不可になる場合もあります。

検査時の服装と検査前の飲食について

安全にMRI検査を実施するにあたり、
検査時の服装や検査前の飲食の確認は必要です。
それぞれ、MRI検査を担当するスタッフが
確認する事項についてご紹介します。

検査時の服装
検査前に確認する服装や身につけている物を
チェックする項目は以下にまとめました。

✓眼鏡
✓イヤリング
✓鍵(ロッカーの鍵も注意)
✓ヘアピン
✓入れ歯
✓磁気カード(診察券にも注意)
✓かつら
✓ネックレス
✓携帯電話
✓化粧やコンタクト
✓下着の肩紐やホック
✓時計・ブレスレッ

かつらや化粧などの急に取り除くことが
難しいものは、検査予約時に患者さんへ
伝えておくと、検査の準備がスムーズです。

また、防寒用肌着は、素材により
発熱することが確認されているため、
検査着のみで入室してもらうようにします。

検査前の飲食
MRI検査は、動きに非常に弱い検査で
腸管の動きも画質に影響します。
体幹部の検査の場合は、4時間前から
絶飲食の案内を患者さんにすると良いでしょう。

まとめ

患者さんにとってMRI検査は身近にある
検査ではないため、不安に思う方は少なくありません。
さらに、検査室への入室には多くの制限が
あることも、患者さんの不安を強くする一因となります。

しかし、指定されたルールを守ることで、
身体への影響が少ないMRI検査から、
非常に多くの有益な情報を得ることができます。

患者さんの不安を軽減し、安全に検査を
受けていただくことは、患者さんとの
信頼関係の強化につながるでしょう。

放射線技師 O.S

☆関連記事☆

この記事が気に入ったら
フォローしよう

最新情報をお届けします

Twitterでフォローしよう

おすすめの記事