小児科は、クリニックによって設備が様々です。
患児のお母さん達は近辺にある小児科の情報を共有し、
子どもにとってより良いクリニックを探しています。
そんなお母さん目線に立って、小児科にあって
欲しい設備について詳しくみてみましょう。
患児の母たちは受診先の小児科をどう決めている?
小児科を選ぶ際、患児である子ども達が
受診先を決めることはほとんどないでしょう。
どの小児科に受診するかを決めるのは、
患児のお母さん(もしくはお父さん)という場合が
多いはずです。
では、患児のお母さんは、
小児科を選ぶ際になにを重視するのでしょうか?
一番は、診察してくれる先生が信頼できる
医師であるかどうかです。
信頼関係が築けない医師には、
子どもの命を任せられないでしょう。
もちろん、
小児科医としての知識や技術があることは大前提です。
そして、クリニックの設備が整っていることも
重要なポイントです。
患児の母が小児科クリニックに求める設備とは?
患児にとって最も苦痛が少ない方法で
診察がスムーズに進めば、患児はもちろん、
お母さんにとっても嬉しいことです。
そのためには、
必要な設備が整っていることが求められます。
具体的には、下記のポイントが重要視されます。
■受付から診察、そしてお会計までの時間が短い
病院受診時に最も時間がかかるのが、
待ち時間というところも
少なくないでしょう。
平成29年の厚生労働省の調査では、
外来患者の約半数が診察まで30分以上
待っていることがわかっています。*1
待ち時間が長引くほど患児への負担が増しますし、
比較的元気な患児の場合は待ちきれずに
ぐずったり走り回ったりすることもあり、
不要なトラブルの元になります。
そのため、下記の設備の導入が勧められます。
- オンライン予約や順番待ちシステムの導入
クリニック内での待ち時間を減らせ、
受付の作業の軽減にも繋がります。
高熱の子どもをギリギリまで家で寝かせて
あげることができるので、
患児の負担軽減にも繋がります。 - web問診表や問診表の印刷が可能な体制を整える
患児の相手をしながら問診表を書くのは難しく、
簡潔に書かれすぎて欲しい情報が
拾えないことにもなりかねません。
家で落ち着いた状態で問診表を書けることは、
患児の保護者、クリニック側
双方にメリットが大きいです。 - 電子マネーの導入
診察後のお会計時間が短いことも大切です。
患児を抱っこしている場合、財布を取り出して
小銭を出すのも一苦労でしょう。
そんなときに、スマホで電子マネー決済ができれば
片手ですぐに支払いが終わります。
■患児が時間を忘れられる工夫がされている
おもちゃや絵本など、子どもが喜ぶ設備があれば、
ある程度の待ち時間なら苦ではなくなります。
おもちゃで遊びたいからと、
小児科の受診を自ら希望してくれる場合もあり、
おもちゃの効果は素晴らしいです。
コロナ禍では、感染の機会を増やすおそれがあり、
おもちゃや絵本の配置が難しいですが、
季節に合わせた壁面飾りなど見て楽しめる仕掛けを
してあげると、気分を変えるきっかけになるはずです。
■患児の症状に合った治療が受けられる
患児のお母さん達が小児科クリニックで
欲しい治療設備と言えば、
鼻汁吸引とネブライザー吸入ができる設備です。
鼻水がひどい場合、鼻づまりや咳、
呼吸のしにくさなどの症状で患児が辛い思いをします。
鼻汁吸引をしてもらえれば、
一時的でも辛い状況を改善できるため、
欲しい設備のひとつです。
また、喘息やアレルギー鼻炎がある患児の場合、
ネブライザイー吸入ができる設備も欲しいところです。
吸入器をレンタルできる小児科もあります。
■患児の性格に合った対応が受けられる
怖がりな子や痛いのが苦手な子にとって、
小児科での予防接種や採血などの処置は恐怖以外
のなにものでもないでしょう。
少しでも痛みが軽減できるよう、
塗る麻酔で予防接種の痛みを軽減したり、
細い注射針を使ったりする方法があります。
これらの対応をしてもらえる小児科クリニックが
近くにあれば、受診のきっかけになることでしょう。
これらの設備を導入したら、
ホームページや院内に掲示することが大切です。
患児のQOLを高める設備が充実していることを
周知することで、集患への効果が期待できます。
注目されるドライブスルー診療
日本各地で、ドライブスルー診療を導入する
小児科クリニックが増えています。
新型コロナウイルス感染症への感染対策
という意味が大きいですが、
クリニックに行って診察まで待ち治療を受けることが
難しい患児にとっても、
嬉しい診療方法であることは間違いないでしょう。
時代に合わせた設備の取捨選択を
新型コロナウイルス感染症により、
経営の厳しい小児科クリニックも少なくありません。
そんな中で生き残るためには、
患児やその保護者のニーズに合った診療を
提供することが必要です。
もちろん、資金は無限ではないので、
なにが必要か否かを判断することが大切です。
診察の合間や空いた時間に患児や
そのお母さんと話す機会を設けると、
ニーズを知るきっかけになるかもしれません。
看護師 S.H.
参照URL
1* 厚生労働省 平成29年受療行動調査(概数)の概況
https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/jyuryo/17/index.html