画質が命!医用モニタの劣化と品質管理の重要性

現代の医療現場において、
画像検査は疾患の診断をする上で
不可欠なツールとなっています。
また、AIによる画像診断支援技術の
普及に伴い、AIが解析した結果を、
医師が正確に確認するためのモニタ環境は
今後ますます重要となってきます。

しかし、使われ続けるモニタは
時間とともに劣化していき、
その変化は一見気づきにくいものです。

この記事では、モニタの劣化と、
品質を維持するための管理について解説します。

医用モニタの役割

医用画像を表示するモニタは、
診断の精度を保証するために、
微細な画像を忠実かつ安定的に表示する性能が不可欠です。

各種画像検査に対応するため、
モニタは以下の性能基準をクリアする必要があります。

  • 情報量に応じた高解像度
  • 微細な陰影や濃淡を再現できる多階調表示
  • 診察室などの明るい環境でも高い視認性を保つための高輝度性能

 参照元:日本画像医療システム工業会「JESRA X-0093 医用画像表示用モニタの品質管理に関するガイドライン」PDF

医用モニタは、以上の基準を満たす状態で出荷されます。
しかし、長時間の使用や日常の状況により、経年劣化を起こします。
このような変化に対応するため、
モニタの定期的な品質管理が欠かせません。

経年劣化が引き起こす主な現象

長時間の使用や
特定の環境下での利用により、
医用モニタは経年劣化を起こします。

具体的な現象について3つご紹介します。

  1. 輝度の低下、色度変化の発生
    液晶のバックライトの輝度低下や、その他の光学材料の劣化により、色度(色味)の変化が起こります。

  2. 輝度ムラ、色度ムラの発生
    液晶のバックライトの劣化により、電極部が暗くなったり色味が変化したりして、画面全体の輝度のムラや色度のムラが発生します。

  3. 黒シミの発生
    長時間の使用や高温環境下での使用により、液晶成分内に不均一がおこり、黒いシミが発生します。

以上の問題が生じると、
診断の精度が低下するリスクが高まります。
また、患者さんに正確な情報を
提供することが難しくなるだけでなく、
医療ミスを引き起こす可能性も考えられるため注意が必要です。

モニタの劣化によるヒヤリハット事例

過去のアンケート調査では、
以下のような医療現場での
ヒヤリハットの事例が報告されています。

  1. 診断用モニタと他のモニタで所見が異なった
  2. 周囲が明るくて必要な箇所が見えにくかった
  3. 参照用のモニタ(電子カルテ・タブレットなど)で診断し、見落としが懸念された
  4. 自施設と他施設のモニタの違いによって診断結果に差が出た

モバイル端末のディスプレイ性能が
向上している現在では、
管理されていない古いモニタよりも
手元のタブレットの方がきれいに見え、
上記した3とは逆のヒヤリハットも考えられるでしょう。

モニタの劣化を軽減させる方法

モニタの寿命は使用頻度や
環境によって異なりますが、
メーカー製品保証は5年間
(使用時間30,000時間以内など)が一般的です。

モニタの性能を最大限に保ち、
劣化を軽減させるための方法を紹介します。

こまめな電源オフやパワーセーブの使用

モニタの連続使用を避けるため、
使用時以外はモニタ電源を切ることが推奨されます。
電源を直接切るか、
PCのパワーセーブ機能を利用して、
自動的にモニタを休止状態にすると、
液晶のバックライトの消費を抑えられます。

スクリーンセーバーは、
液晶のバックライトが消灯しないため、
輝度低下防止への効果は期待できません。

温度・湿度

モニタの性能を保つため、
常温・常湿の環境での使用が推奨されています。

モニタ周辺には高温になるものを置かないように設置しましょう。
また、直射日光は液晶パネルの
温度上昇の原因になるだけでなく、
紫外線による部品の劣化につながるため避けてください。

モニタの品質を維持するには

モニタの安定した表示品質を確保するには、
定期的な品質管理試験が必要です。
日本画像医療システム工業会の
ガイドライン(JESRA X-0093)では、
定期的な試験が推奨されています。

品質管理試験を行う際の手段として、以下の3つが挙げられます。

  1. 専用の計測機器やツールを導入しクリニックスタッフが実施
  2. 専門の外部機関に委託
  3. 装置の機能による自動試験

以前までは専用の機器を使用して、
手動で試験を行う必要がありましたが、
最新モニタの多くには、
高性能なセンサーが内蔵されており、
品質管理試験を自動で実施することが可能になりました。

これにより、常に最適な状態を
維持しやすくなっています。

医療現場のモニタ管理に関する調査で、
品質管理試験を実施した施設から
以下の報告がされています。

  • 輝度の劣化を認識    
  • 汚れ・傷の存在を確認  
  • モニタの異常を発見   
  • 環境光の影響を確認   など

目視では気づきにくい劣化を
試験によって客観的に評価することで
モニタの劣化や異常の早期発見につながるでしょう。

まとめ

画像診断の精度を確保するためには、
モニタの品質が非常に重要です。
劣化するモニタのリスクや
影響を正確に理解し、
定期的な品質管理試験の実施が必要になります。

さらに、モニタの使用状況や
設置環境の最適化を通じて、
劣化のペースを緩やかにする努力も欠かせません。

モニタの品質管理に対する意識を高め、
診療の質を確保しましょう。

放射線技師 O.S

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