患者さんが誤った医療情報に影響されたら?取るべき5つの対処法

インターネットやSNSの普及により、
医療情報は簡単に手に入るようになりました。
しかし、その一方で
誤った情報も多く流通しています。

このような環境の中で、
患者さんが誤った情報に影響を受け、
医療現場においても問題が生じています。

本記事では、誤った医療情報に
影響された患者さんに対して、
かかりつけ医がどのように対処すべきかを
ご紹介します。

患者さんが誤った医療情報に影響される理由

患者さんが誤った医療情報を信じてしまうのはなぜなのでしょうか?
考えられる理由を3つ挙げました。

1. 情報過多と信頼できる情報源の見極めの難しさ

現代は情報過多の時代であり、
正しい情報を見極めることが難しくなっています。
特に医療情報については、患者さん自身が
内容を専門的に理解することが難しいため、
信頼できる情報源を見極めることができず、
誤った情報に惑わされやすくなります。
参照元:全日本病院協会「医療情報管理の要諦」

2. 不安や恐れからくる心理的要因

病気や健康に関する不安を抱える患者さんは
少しでも不安を解消しようと情報を求めます。
そこにもし自分の望む情報があった場合、
真偽を確かめるよりも、
すがりついてしまいたくなる心情は理解できます。
特にネット上で流れている情報は、
「真実の顔」をしている場合もありますが、
読者に間違った情報を植えつけてしまう可能性もあるのです。

3. 専門家の意見と非専門家の意見との混同

人は他者の行動や意見を参考にして
物事を判断する傾向があり、
友人や家族からの情報を
信じてしまうことがあります。
また、医療に関する情報が
多くのプラットフォームから発信される中、
信頼できる情報源と誤情報の区別が
つかなくなることも少なくありません。
特にSNSでは、非専門家の方が発信した情報が、
多くの支持を集めていることがあります。
しかし、支持の多さと情報の信頼性は
必ずしも一致していません。

誤った医療情報がクリニックに与える影響

患者さんが誤った医療情報を
信じてしまっている場合、
医療関係者にどのような影響が出るのでしょうか?
2つの影響について考えました。

1. 治療選択への影響

患者さんが誤った医療情報を基に
治療方針を変更したり、
治療を拒否したりする事例が増えています。
これにより、患者さんの健康状態が
悪化する可能性が高まります。

本来治癒が望めるものが悪化したり
慢性化したり、命に関わったりするケースもあります。
参照元:NHK 「がんに効く○○」のワナ 37歳で命を落とした女性が信じた誤情報

2. クレームの増加と医療機関の評判への影響

誤った医療情報を信じた患者さんは、
医療機関に対してクレームを入れることがあります。
これにより医師と患者さんの関係が悪化し、、
医療機関の評判にも影響を及ぼす可能性があります。
また、クレーム対応に時間がかかる場合は、
診療の待ち時間が長くなり、
他の患者さんからのクレームにつながるかもしれません。

誤った医療情報に影響された患者さんへの5つの対処法

誤った医療情報を信じている患者さんは
自分の考えや情報が間違っているとは思っていない可能性があります。

その場合、医療関係者が患者さんに
「それは間違っている」と伝えることで、
患者さんは自分自身を否定されたと感じるかもしれません。
では、どのように対処すればいいのでしょうか?
ここでは、5つの対処法をご紹介します。

1. 冷静に患者さんの話を聞く

誤った医療情報に影響された患者さんが
クレームを訴えてきた際には、
まず冷静に話を聞くことが重要です。
患者さんの不安や疑問を
しっかりと受け止めることで、
信頼関係を築く第一歩となります。

2. 具体的な情報を用いて説明する

患者さんの誤った認識を修正するためには、
具体的なデータや事例を用いて説明することが求められます。
標準治療とは異なった、
エビデンスの乏しい治療法を希望した場合には、
その治療のデメリットについて伝えるのも大切です。
感情的な反応を避け、
事実に基づいた説明を心がけることで、
患者さんの理解を促すのが良いでしょう。

3. 信頼できる情報源を紹介する

患者さんに対して信頼できる医療情報源を紹介することも重要です。
公的な機関や学会のウェブサイト、
専門家が執筆した書籍など、
正確な情報を得る方法を提案すると良いでしょう。

4. オープンなコミュニケーションを心がける

患者さんが疑問や不安を持った際に
気軽に相談できる環境を整えることが大切です。
医師がオープンな姿勢で接することで、
患者さんが安心して相談することができ、
正しい情報を伝えることができるかもしれません。

5. 定期的なフォローアップを行う

定期的なコミュニケーションを通じて、
患者さんの誤った情報に基づく誤解を
早期に解消する取り組みが必要です。
治療経過をフォローする中で、
患者さんの疑問や懸念を確認し、
必要に応じて正しい情報を提供することが効果的です。

まとめ

誤った医療情報が患者さんや
医療機関に与える影響は大きく、
時に、患者さんの健康や命に関わります。

患者さんに正しい情報を提供するためには、
患者さんの教育強化や、
信頼できる情報源の提供、
オープンなコミュニケーションの実施が欠かせません。

誤った医療情報による悪影響を
軽減するためにも、クリニックでの
正しい医療情報の提供を積極的に行えるといいですね。

看護師 S.H

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