お金のトラブル、適切な士業に相談を

クリニック経営には、
様々なお金のトラブルがつきものです。
お金のトラブルがあるという評判が立つと
集客に関わる可能性があることから、
なかなか人に相談することもできず、
一人で悩む経営者も少なくありません。

非常にデリケートなお金のトラブルですが、
お悩みの時は、守秘義務が課せられている
士業に相談するのがおすすめです。

今回は、クリニック経営にまつわる
代表的なお金のトラブルと、
相談相手となる士業について
わかりやすくまとめました。

会計管理・監査関係のトラブル:公認会計士

会計管理において、帳簿の整備や適切な記帳が
疎かになっているケースも少なくありません。

会計管理が十分でない場合、
収支の正確な把握が困難となり、
場合によっては不正の温床となり得ます。

公認会計士は会計管理の専門家であり、
自院に合った会計管理の方法を
アドバイスしてくれます。
また定期的な監査を依頼することで、
財務体制への信頼性が担保されるため、
融資を受ける際などに有利に働くことがあります。

令和6年7月時点では、
一定規模以上の医療法人等の場合、
公認会計士もしくは監査法人による監査を受ける義務があります。
(改正医療法第51条及び第70条の14)
医療法人でも、小規模クリニックや
個人経営の医院は対象外となっていますが、
順次、対象を拡大してもおかしくありません。
普段から適正な会計管理を行っておくことで、
そのような場合にもすぐ対処できるかもしれません。

税務関係のトラブル:税理士

クリニック経営における
税務関係のトラブルといえば、
税務調査が挙げられます。

正しく確定申告を行っていれば
何ら心配のないものではありますが、
忙しい診療の合間を縫って準備を行うのは
非常に負担が大きいです。

負担を軽減するため、
ほとんどのクリニックが税理士と
顧問契約を行っていると思いますが、
まだ顧問契約をしていない場合もあるでしょう。

経費の計上など、自分では問題ないと
思っていたものが税法上グレーである
ということはよくあります。
多額の追徴課税を避けるためにも、
税理士さんと顧問契約を結ぶなど、
綿密な打ち合わせを定期的に行える環境を
整えると良いかもしれません。

人事・労務管理上の金銭トラブル:社会保険労務士

給与計算、労働保険や社会保険の手続きなど、
人事・労務管理にまつわる金銭トラブルは
社会保険労務士に相談しましょう。

クリニックの経営規模に応じた
適正な人員配置や給与の設定に関する
アドバイスなどを受けることができます。

未収金にまつわるトラブル:弁護士

意外に見逃しがちなのが、未収金にまつわるトラブルです。
それぞれのクリニックによって
大きく状況が異なる部分ではありますが、
厚生労働省が病院を対象に行った調査では、
「収入に対する未収金の割合が5%以上」と
回答した施設が全体のおよそ2割に及んでいました。
参考元:厚生労働省「医療施設経営安定化推進事業 医療施設における未収金の実態に関する調査研究」

これだけ大きな割合になると、
クリニックのキャッシュフローに与える影響は無視できません。

未収金にまつわるトラブルは、
弁護士に相談するのがおすすめです。
未収金トラブルの影には、
治療に対する不満など
大きなクレームや訴訟に発展する要素が
隠れている場合があるからです。

債権回収に精通した弁護士に依頼すると、
そもそも未収金をできるだけ
発生させないシステム作りから、
未収金が発生した場合の対応フロー、
そして督促を繰り返し行っても
一向に支払う気配のない相手に対する
法的措置などを任せることができます。

(参考)診療報酬請求をめぐるトラブル:診療報酬請求事務能力試験合格者

クリニックの収入源となる診療報酬の請求は、
正確に行う必要があります。

ところが医療事務に任せきりだと、
算定できるはずの加算が漏れていたり、
本来は算定できないはずのものを算定し
不正請求で返還請求を受けたり、
経営基盤を脅かしかねないトラブルが起こります。

これらのトラブルは、
診療報酬請求事務能力認定試験に合格した
医療事務を雇うことで、ある程度解決できるかもしれません。

診療報酬請求事務能力認定試験とは、
厚生労働省の後援の元、
公益財団法人日本医療保険事務協会が実施する検定試験です。
国家資格ではありませんが、医療事務系の最難関資格として有名です。
試験にはカルテからレセプトを作成する
実技試験も含まれており、合格率は30%前後で推移しています。

まとめ

クリニック経営に潜むお金のトラブルに
対処するためには、各分野の専門家である
士業に相談し、適切なアドバイスを受けることが重要です。

今回ご紹介した、公認会計士、税理士、
社会保険労務士、弁護士など、
それぞれの士業の専門性を活かし、
安定したクリニック経営を目指しましょう。

医師 M.M.

【参考資料】

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