昨今の物価高騰をすでに肌で感じている先生も多いのではないでしょうか?
ロシア・ウクライナ戦争の影響で
深刻なエネルギー不足に陥り、
クリニックで消費される電気代は
非常に高騰しているのが現状です。
日本医師会が実施した
「診療所の光熱費の変動に関する実態調査」によれば、
「2022年12月分の1施設当たり電気料金」は前年同月比で、
有床診療所で23万2134円増加、
無床診療所で4万3969円の増加でした。
さらに、クリニックでは電気代以外にも
下記のような、さまざまなコストがかかります。
● 訪問診療におけるガソリン代
● 高額な医療機器(超音波やMRIなど)
● ガーゼやマスク、消毒などの医療資材
● 有床診療所であれば患者さんの食費
● 医薬品
● カルテや問診票に使う紙
これらの物価は軒並み上昇しているため、
ここ数年でこれまで以上に
固定費が増加しているクリニックがほとんどでしょう。
また、クリニックにおける最大の支出は
人件費ですが、世間では物価高騰とともに
賃上げムードも高まっており、
実際に2023年10月1日以降は
東京都の最低賃金が時給1,113円以上に引き上げられました。
つまり、経営改善のための人件費削減は
なかなか難しいのが現状でしょう。
さらに、保険診療を行うクリニックは
一般企業と異なり、コスト上昇を受けて
提供している商品やサービスを値上げ
(価格転嫁)することができません。
あくまで、提供する医療の代価は
診療報酬制度で規定されているためです。
これらの背景を受け、2023年5月に
四病院団体協議会(日本病院会、全日本病院協会、
日本医療法人協会、日本精神科病院協会の
4団体で構成)は政府に向けて要望書を提出しました。
具体的な内容としては、
2024年度における診療報酬改定において
物価高騰への対策措置を組み込むこと、
2023年度においてもなんらかの緊急的措置を行うことなどです。
しかし、現状では診療報酬改定に対して
物価高騰への対策措置は適用されておらず、
各自治体は、医療機関の負担軽減を目的として
支援金を給付していますが、その範囲も非常に限定的でした。
そのため、クリニックは今後の物価高騰に対し、
自分たちにできる範囲で対策を取る必要があります。