後編:必見!より良い医療継承を実践する方法について

多くの開業医の方にとって医療継承は
避けては通れない問題であり、もはや
社会問題と言っていいほど深刻です。

また、今後高齢化が進む日本では更に
深刻化していくことが予想されます。

そんな中、うまく医療継承することが
できず、せっかく築き上げた自分の
クリニックを休廃業せざるを得ない開業医は増え続けています。

そこで本記事では、開業医がうまく医療
継承を成功させるための方法について詳しく解説していきます。

深刻化していく医療継承問題

2019年に日本医師会が報告した
「医療継承の現状と課題」によれば、
クリニックの後継者不在率は86.1%
であり、多くのクリニックで跡継ぎ
問題を抱えていることが分かります。

また2021年に報告された
「医療機関の休廃業・解散動向調査」
では、クリニックの休廃業471件に
対し、赤字経営による倒産はたったの22件でした。

つまり、多くのクリニックは経営が
健全であり黒字経営であるにも関わら
ず、医療継承という点では失敗して
おり休廃業や解散を余儀無くされていることになります。

さらに、今後の日本では少子高齢化が
進行していく可能性が高いため、
医療継承問題も今より深刻化していくことが予想されます。

赤字経営ならまだしも、せっかく築き
上げた黒字経営のクリニックを潰して
しまうのは、開業医である皆さまに
とってはもちろんのこと、雇用されて
いるスタッフや地域の患者さまに
とっても大きな損失となってしまいます。

そのため、開業医の皆さまは今のうち
から医療継承に対する適切な対策を
取っておくべきです。

医療継承における選択肢とは?

実際に医療継承を行う上で取れる選択肢は下記の3つです。

①親族内における医療継承

医療継承を行なったクリニックの
約90%は親族内で継承しています。

親族内から選定する最大のメリットは、
継承においてじっくりと時間的余裕を持つことができる点です。

その一方で、候補者の診療科が
異なる場合や経営方針が異なる
場合、そもそも親族が継承を望ま
ない場合は継承が難しいため、
早めに他の選択肢を模索すべきです。

特に最近のアンケート調査では、
子供世代の医師にとって家業を
継ぐよりも医師としての本分で
ある研究や臨床だけに専念したい
と考える医師が増えているようです。

また複数の候補者が存在する場合、
親族間で揉めてしまうケースも少なくないため注意が必要です。

②医院内のスタッフにおける医療継承

親族内で適切な継承者がいない
場合、次のステップとして
クリニック内に勤務する他の従業員
に継承するパターンが多いです。

この場合は親族同様、継承者の選定
に時間的余裕を持つことができます。

さらに、経営方針の一貫性や
スタッフ、患者さまとの関係性
も保ちやすい点でメリットが大きいです。

③第三者における医療継承

親族、もしくは医院内に適切な
継承者がいない場合、第三者への
継承を考える必要があります。

特に少子高齢化の進む日本では
親族間での医療継承が難しくなって
いるため、近年では第三者への医療継承が増えています。

第三者継承の場合、その他の選択肢
と比較して広く候補者を求められる
上に売却による資金を得ることもできます。

しかし多くの開業医には第三者継承
における労務や法務的なスキームが
ないため、M&A仲介事業者やコンサル
タントに依頼するケースも増えてきています。

これらの仲介会社はマッチング
業務にも関わらず両者から高額な
手数料を取っていることも多く、
その場合思わぬコストが発生してしまうリスクもあります。

医療継承を成功させるための方法とは?

開業医の皆さまは現役でいるうちに、
上記3つの選択肢の中から継承者を
見つけなければいけません。

どの選択肢にもメリットとデメリット
があるため、個々人によって正解となる
選択肢は異なってくると思いますが、
どの選択肢を選ぶにしても共通して
言えることは
「より早くから医療継承を視野に入れる」
ことです。

なぜなら、医療継承がうまくいかない
場合の多くは、継承に対する準備不足
によって時間的余裕がないからです。

考えてみれば当然ですが、継承する側も
される側も、金銭面や条件面に折り合い
がつかなければうまく継承できませんし、
継承後の経営方針や理念も事前に意見を
擦り合わせておく必要があります。

また、患者さんやスタッフの立場に
立ってみても急な院長交代は受け入れ
難いため、兎にも角にも全員が準備
するためには時間が必要なのです。

これらの理由から後継者の育成には
概ね5年以上必要であると言われて
いるため、医療継承を成功させる
最良の方法は時間的余裕を持ってじっくりと準備しておくことです。

そのため、より時間的余裕の持ちやすい
親族内、医院内での医療継承が好ましい
ですが、適切な人材がいない場合は
第三者継承を視野に入れて早期から対策しておくべきです。

まとめ

本記事では、年々深刻化する医療継承
問題において成功するための方法について解説しました。

医療継承には主に3つの方法があり
ますが、どれを取っても思った以上に時間や手間がかかるものです。

経営方針の擦り合わせ、スタッフや
患者さんとの関係性、継承に伴う
労務や法務的手続きなど、どれも急いで
行うようなものではないため、十分
時間的余裕を持って対策を行うことが
成功の秘訣であり、本記事がその一助となれば幸いです。

医師 H.N.

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