患者さんがクリニックに期待しているものを理解していれば、
良好な関係を築けるだけでなく順調なクリニック経営につながります。
患者さんはクリニックに対して診断能力や医療技術だけでなく、治療方針の詳しい説明や待ち時間の短縮、プライバシーへの配慮などを期待しています。
今回は、
“患者さんがクリニックに期待している診療のあり方や待ち時間短縮のための工夫”
について紹介します。
目次
・患者さんがクリニックに期待するものとは?
・求められる診療とは?
・待ち時間を短くする工夫も大切
患者さんがクリニックに期待するものとは?
クリニックとして、
「適切な診察、治療を行うことが最も大切である」
と考える先生は多いのではないでしょうか。
しかし、
患者さんの期待するものを理解していないと
選ばれるクリニックになることは難しく、
クリニックの経営にも影響が出る可能性があります。
患者さんがクリニックに期待することとして
・医師からのわかりやすい説明
・高い診断能力や医療技術
・充実した設備
・待ち時間の短さ
・プライバシーへの配慮
などがよく挙げられます。
設備や待ち時間よりも、
納得のいく説明が受けられることや
医師の態度の方が重要視される場合も多いです。
医学に関する知識不足や医療技術の低さを不満に思う患者さんの中には、
診療時のコミュニケーション不足が原因で、
医師の意図がうまく伝わっていないため、
不満を感じているという方もいるかもしれません。
求められる診療とは?
では、
具体的にどのようにコミュニケーションをとればよいのでしょうか。
まず、患者さんの心配や不安、つらい気持ちを汲みとる姿勢を持ち、
納得される説明を心がけます。
カルテやパソコンの画面ではなく、
患者さんの目を見て、まずは話を聞きます。
不安やつらい気持ちに対しては、
「それは心配になりますよね。」
「つらかったですね。」
という共感の言葉をかけてみてください。
治療方針が決まったら、病状だけでなく、
今後の予想される経過や検査の有無、治療の目的、
治療薬の役割、期間などについて
わかりやすく伝えることが大切です。
短い診療時間の中で、
ゆっくりと説明している余裕が無いと考えるかもしれません。
しかし、信頼関係が築けていれば再診時の診療はスムーズに進むことも多いです。
そして、
診療をスムーズに行うためには、患者さんがどれくらい自分の病状を把握し、
今後の治療経過について理解しているか、把握することも重要です。
理解を促すツールとしては、
・待合室でのテレビ
・タブレット端末
・画像検査や血液検査を医師と共に確認できるモニター画面
・病気に関する説明が載っているパンフレット
などが挙げられます。
最近では病状説明に有用な動画を提供するサービスもあるので、
タブレット端末にダウンロードしておいて患者さんに見せながら説明すると、
よりわかりやすく診療時間の短縮にもなります。
待ち時間を短くする工夫も大切
患者数が多くなると、待ち時間の増加がやむを得ず起きることはあります。
しかし、
待ち時間が長い状態を放置しておくのは良くありません。
患者さんの不満やストレスだけでなく、
スタッフにとってもストレスの原因となるからです。
待ち時間が長くなる要因として考えられるのは、
患者さんが集中する時間があることと1人あたりの滞在時間が長いことです。
患者さんの集中する時間を作らないように順番管理システムを導入し
ウェブサイトを経由して混雑状況を伝えるという方法もあります。
クリニックに問い合わせなくても混雑状況が把握できるので、
自然に患者さん自らが来院時間を調整するようになります。
1人あたりの滞在時間が長いのは、
カルテが出てくるまでの時間や診察時間、カルテ作成時間、
次回の予約取得時間、会計までの時間などの中で、
少しずつタイムロスが積み重なっていることを意味します。
受付から会計までスムーズに流れるように、
保険証を読み取る機械や電子カルテの導入、
WEB問診、電子カルテを入力する医療クラークの採用などを、
検討すると良いかもしれません。
患者さんが待ち時間をストレスなく過ごせるように、
待合室にテレビや雑誌を置くだけでなく、
可能であればWi-fi環境を整えることも検討すると良いでしょう。
患者さんに選ばれるクリニックになるために、
診療方法の改善や待ち時間の短縮など、できることから工夫することが大切です。
医師 Y.H
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