
限られた人材で多くの患者さんを診察し、
日々の診療に忙殺されている先生方も
少なくないでしょう。
しかしながら、日本では今後、
医療現場において更なる
医療需給のひっ迫が予想されます。
ひっ迫の背景として、
以下のことが挙げられます。
・超高齢化・少子化の進行
・それに伴う医療従事者の不足
・医療業界における働き方改革の断行
この人手不足の状況では
患者さんに提供できる医療の質も量も
保つことができません。
そこで、政府はさまざまな施策を持って
医療現場の業務効率化を進めています。
本記事では、
クリニックにおける業務効率化の
必要性や具体的な方法について
詳しく解説します。
なぜ業務効率化が必要なのか
今後、クリニックにおける
業務効率化の必要性は
ますます増していくことが予想されます。
その主な要因は以下の3つです。
1. 診療報酬のマイナス改定
2. 人材不足(少子高齢化)
3. 医療業界における働き方改革
それぞれについて解説します。
1.診療報酬のマイナス改定
厚生労働省から発表された
令和6年度の診療報酬改定では、
人件費に当たる本体部分が+ 0.88%、
薬価や材料価格は−1.0%であり、
合わせると−0.12%のマイナス改定となりました。
今回のみならず、過去6回全て
マイナス改定である点を鑑みると、
診療報酬が収益の源泉である
保険診療での経営は、
今後さらに困難となっていくことが予想されます。
そのため、業務効率化によって
残業時間を減らし、無駄な人件費を削減することが重要です。
2.人材不足(少子高齢化)
今後のクリニックにおいては
医療従事者の深刻な人材不足が懸念されます。
令和5年の厚生労働省の報告によれば、
2070年に日本の人口は8,700万人まで減少し、
そのうち65歳以上は38.7%にまで及ぶと推計されています。
2020年における65歳以上の人口比率は
28.6%であり、超高齢化の進行は確実です。
その結果、医療現場では
より多くの患者さんを、より少ない人員で
対応する必要が出てくるため、
業務効率化が急務となっています。
3.医療業界における働き方改革
他の職種では2019年から
順次施行されている働き方改革ですが、
医療業界では環境整備に時間がかかり、
5年遅れの2024年から本格的に施行されました。
長時間労働の改善が主目的ですが、
時間外労働に上限が設けられたことで、
多忙な医師にとっては、少ない時間で
これまでと同じ業務を行う必要があります。
そのため、業務効率化が必要不可欠です。
クリニックにおける具体的な業務効率化の方法3選
クリニックにおける具体的な業務効率化の方法を3つ紹介します。
1. カルテの電子化
2. 医療DXの導入
3. 医療クラークの導入
1.カルテの電子化
厚生労働省の報告では、
令和2年の電子カルテ普及率は
400床以上の「一般病院」で91.2%ですが、
病床数の低下とともに普及率も低下し、
「一般診療所」においては49.9%と
約半数しか普及していないのが現状です。
電子カルテは、
カルテの記載はもちろんのこと、
検査や指示・会計システムが
一体となっていることがほとんどであり、
今までの紙カルテと比べて
業務効率化を図ることができます。
2.医療DXの導入
医療DXとは、保健・医療・介護における
様々なデータをデジタルで管理し、
より良質な医療を提供できるよう、
社会の枠組みを変えることです。
前述の電子カルテも医療DXの一環ですが、
以下のような診療以外の様々なシーンで効率化を図ることもできます。
・オンライン診療の導入
・AIによる医薬品などの在庫管理
・患者予約システム
また令和6年度の診療報酬改定において、
「医療DX推進体制整備加算」が
新たに設置されるなど、
今後、医療DXの導入がさらに促進されるでしょう。
参照元:厚生労働省「医療DXについて」
3.医療クラークの導入
医療クラークとは、
医師の負担軽減・処遇改善のために
これまで医師が自ら行なっていた事務作業を代わりに行う職種です。
医療クラークを導入した医療機関では、
タスクシフトによる業務効率化によって、
医師の残業時間が減ったとの声も多く挙げられています。
また令和6年度の診療報酬改定では、
「医師事務作業補助体制加算」の
評価が引き上げられ、
徐々に医療クラークを導入する医療機関も増えています。
現状では「無床診療所」における
「医師事務作業補助体制加算」は
認められていませんが、
業務効率化のために導入するクリニックも
増えているため、検討してみると良いかもしれません。
まとめ
本記事では、クリニックにおける
業務効率化の必要性や具体的な方法を紹介しました。
今回ご紹介した方法はほんの一部です。
他にも、以下のようなことで
低コストでも業務効率を向上させることができます。
・チームワークの強化
・人材教育の強化
・マニュアルの見直し
これを機に、自院の業務効率化を目指し、
より良い経営を目指してみてはいかがでしょうか。
医師 H.N.
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