看護師のライフプランとクリニックが求める人材とのギャップ

クリニック運営で欠かせない存在なのが、
看護師です。

しかし、
看護師は離職率が高く看護師が足りないか、
ギリギリの人数で回している
というクリニックも少なくないでしょう。

では、なぜ看護師は定着しないのでしょうか?
もしかしたら、
看護師のライフプランに
マッチしていないからかもしれません。

看護師という職業の特殊性

看護師は最短コースを進むと、18歳
(正看護師なら20歳)
を迎える年に臨床現場で働き始められます。

この最短コースというのは、
中学校卒業後に准看護学校へ進み、
准看護師免許を取得する方法です 。

その他に、高校の衛生看護科を卒業して
准看護師免許を取得するコースなら19歳、
高校卒業後に3年制の看護学校を卒業して
正看護師免許を取得するコースなら22歳、
4年制看護大学を卒業して正看護師免許を
取得するコースでは23歳を迎える年に臨床現場で働き始めます。

若くして手に職をつけられ、
比較的、給料水準が高いのが看護師という職業です。

卒業後の進路として、
看護師は病院での病棟経験を積むのが一般的です。
しかし、病棟経験は夜勤や残業など、
ハードな勤務体系のところが多く、
人間関係もシビアなところが少なくありません。

そのため、
病棟で数年経験を積んだら、転職したり、
結婚や出産などを機に退職したりする看護師は多いです。
100人入職した看護師が、3年後には1/3以下になっている
という病院も実際にあります。

戦力となる20代~30代で病院勤務を
辞める看護師が多いことがわかります。

クリニックの魅力

厚生労働省の調査では、
看護師が再就職をするために必要な支援・
活用したい制度として、時間外労働・休日労働・
夜勤の免除、短時間勤務等の制度が
挙がっていることがわかっています。 

これらの条件を兼ね備え、
看護師の転職や復職先として候補に上がるのがクリニックです。

自宅からほど近く、勤務時間も日勤のみ、
日曜は休みという条件は、
今まで病棟で働きづめだった看護師や
子育て中の看護師には魅力的です。

特に、子育て中の看護師にとって、
最も優先したいのが子どものことでしょう。
子どもを中心とした働き方をしたいがために、
クリニックでパート勤務を選択する看護師も
少なくありません。

しかし、実際に勤務してみて、
思っていた働き方とは違う現実が待っていた
という話はよくあります。

クリニック勤務の理想と現実とのギャップ

クリニックで実際に勤務してみてから、
どんなギャップが生じるのか見てみましょう。

■子ども優先で働けない

求人内容に「子どもの行事や急な休みにも対応できます」
と書かれているのをよく目にします。
しかし、実際に子どもの急病で休むと嫌味を言われたり、
シフトの調整ができず行事に参加できなかったり
ということはあります。

少ない人数で勤務を回しているクリニックでは
仕方のないことかもしれません。

しかし、子どものことが後回しになることが続けば、
確実に看護師の不満は高まっていきます。

■朝のスケジュールが過密

求人内容では勤務時間が朝9時からという条件だったのに、
清掃や準備のために30分~1時間早く
出勤する必要があった場合、大きな負担となります。

子育て中の看護師にとって、朝は最も忙しく、
子どもの体調や機嫌に大きく左右される時間帯です。

洗濯中の服を今日着たかったと泣き叫んだり
食べていたパンが少なくなったから元に戻せと怒ったり、
朝食を盛大にこぼしたりと、子どもの予想不能な行動で
スケジュールが停滞することはよくあります。
そのため、朝の30分が削られることは死活問題です。

クリニックとしては、
勤務的に仕方のないこととしてしまいがちですが、
求人内容を見て描いた理想と現実とのギャップが
大きいほど、離職へのカウントダウンが
早まることでしょう。

ギャップを少なくする方法

看護師の理想と現実とのギャップを少なくするうえで
最も大切なことは、
求人内容と実際の勤務内容が同じであることです。

求職中の看護師は、
勤務時間や曜日、給与、子育てへの理解度などを
ハローワークや求人サイト・転職サイトなどの
情報から比較し、より希望に近いところを探します。

そのために、
求人内容に下記の内容を明記しておきましょう。

 ・朝の清掃や準備時間を含めた勤務開始時間
 ・後片付けを含めた勤務終了時間
 ・月の残業時間

また、少ない人数で回している場合は
「子どもの行事や急な休みにも対応できます」
といった文言は書かないことが大切です。

「相談可能」と書かれているところもありますが、
相談してかなえられないことが多いのなら、
失望するだけです。

長く働いてくれる看護師を得るために

看護師にとって、
子育てとの両立ができる勤務先は貴重です。

そしてクリニックにとっても、
子育て中の20~30代の看護師は
これから長く働いてもらえる貴重な人材です。

看護師が描くライフプランに
寄り添い、共にクリニックを運営していく
チームの一員として、長く働くことのできる
環境を整えてみてはいかがでしょうか。

看護師 S.H.

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