目まぐるしい速さで
知識や技術が更新し続ける医療業界。
診療分野における勉強会は欠かせません。
しかしそれ以外の学びはどうでしょうか?
今回は、視野を広げた学びが
クリニックにもたらす影響についてのお話です。
クリニックは「でも」「しか」が集まりやすい
様々な業界で人手不足が嘆かれる中、
医療現場も例外ではありません。
※「でもしか」とは?
教員不足があったとされる昭和に生まれた言葉。
他にやりたい仕事もないから先生に「でも」なるか、
特別な技術がないから先生に「しか」なれない、
など、消極的な理由で教職に就いた方を
「でもしか」先生と呼んだ。
参考元:長崎新聞「でもしか先生」
クリニックに就職するスタッフは、
自分のライフスタイルに応じた働き方を求めています。
週数回勤務や時短、
委員会等の診療以外の業務がない、
勤務地が近い、休みの融通がきくなど。
女性スタッフは結婚や出産に
影響されることもあります。
医療従事者として全力を出す現場ではなく、
ライフワークバランスの取れる現場を選びがちです。
そのため勤務は賃金を得るためであり、
なるべく負担のないよう過ごしたい…
というスタッフが集まりやすくなります。
しかし「医療に全てを捧げます」
というスタッフが理想かというと、
そうではありません。
それぞれに生活があり、家族があり、
夢があり、役割があります。
多くのスタッフにとって
仕事は人生の一部ですので、
プライベートと両立するスタッフの方が自然です。
学びへの支援は、幅広さがカギ
そこでご紹介したいのが学びの力です。
認定看護師などの医療系の資格に捉われず、
その人の興味関心のあることを学ぶことが大切です。
例えば片付けの資格です。
家事を多く担うスタッフが、
自分の家が片付かなくて困っている。
片付けを学ぶことでまず家が片付いて
暮らしやすくなった。
さらにクリニックの収納改善にも取り組み、
みんなが働きやすくなった。
これはスタッフの生活にもクリニックにも
良い影響を与えた例です。
「クリニックはあなたのなりたい自分に
近づくお手伝いをしますよ」
とメッセージを送ることによって、
スタッフは仕事以外のやりたいことに
取り組みやすくなります。
「私は特にないです…」というスタッフも、
周囲が何かを始めれば
自分と向き合うきっかけを得られるかもしれません。
「職場は任された仕事を行う場所。
それ以外のことは不要で、
話題に出すべきではない。」
そう思っているスタッフは少なくありません。
スタッフの人生が輝けば
周囲に良い影響をもたらす
と明言すれば、
スタッフは仕事以外のことも
大切にして良いのだと安心できます。
資格試験費用の補助や、
試験休暇を導入する。
それだけでも、十分な支援になるでしょう。
「業務に直接関係しないことにも力を入れていいんだ」
「自分のやりたいことをやっていいんだ」
という雰囲気が大切かもしれません。
目標に向かうスタッフがもたらす影響
誰かに言われて取り組むのではなく、
自分で決めた目標に向かう人は、
周囲にも良い影響をもたらします。
まず自分自身で考える力が身につきます。
「言われたからやる」
「他の人もやっているからやる」
という思考から抜け出し、
「何故なのか、何のためなのか」を
考えることができるでしょう。
また目標達成の道のりも重要です。
「思ったようにいかない」
「不合格だった」
このような負の体験を通して
他人の失敗に寛容になれます。
さらに、自分を見つめる良い機会になります。
- 医療従事者としての自分だけでなく、人としてどうありたいか
- 自分の好きなこと、嫌いなことは何か
- 何が強みで何が弱みか
たとえ目にみえる成果が得られなくても、良い影響をもたらすでしょう。
自分を深く知ることで、
クリニックのビジョンへの理解も深まるかもしれません。
そして目標を達成した際には、
大きな自信につながり、
自分の特性を活かした働き方が
できるようになるかもしれません。
まとめ
業務に関係のない分野の学びが
スタッフのやる気につながることがあります。
小さくても自分の成長を実感することで
人は喜びを感じ、自信を持てるようになります。
前向きな姿勢は業務にも表れるでしょう。
学びを支援する仕組みづくりを考え、
スタッフが生き生きと業務ができれば
クリニックにも良い影響があるかもしれません。
看護師 M.K.