開業医にとって避けては通れないストレス。
近年、ストレスへの対処法や
上手に付き合うための方法を考える
ストレスマネジメントが注目されています。
心身の健康を保ちながら
開業医としての業務をこなすためには、
ストレスマネジメントの手法を
身につけることが大切です。
今回は、開業医のストレスに効果的な
ストレスマネジメントの方法についてご紹介します。
開業医のストレスマネジメントとは
ストレスマネジメントとは、
自らのストレス要因を把握し、
効果的に対処する方法を身につけることです。
参照元:厚生労働省e-ヘルスネット「ストレスマネジメント」
開業医がストレスを適切に
管理することができれば、
心身の健康を維持でき、
診療の質を高く保つことができるでしょう。
開業医は診療業務だけでなく
クリニックの経営者としての
責任を負っているため、
多様なストレス要因を抱えています。
たとえば、開業前はクリニック設立における
手続きや準備、資金調達に追われる生活を送ります。
開業後はクリニック経営を安定させるために、
患者さんの対応やスタッフ管理に
気を配らなければなりません。
しかし、自身のストレス管理が不十分だと、
バーンアウトや医療ミスなどのリスクも高まります。
ストレスマネジメントに取り組み、
自分にあった効果的なストレス解消法を
実践することが開業医に必要になるでしょう。
開業医のストレス対処法
日々の業務に追われる多忙な開業医にとって、
ストレスを解消する時間を確保することは難しいでしょう。
今回は、スキマ時間に実践できる対処法を2つご紹介します。
①呼吸法
深くゆっくりとした呼吸を行うことで
心身のリラックス効果を得る方法です。
とくに、腹式呼吸は副交感神経の活動を
活性化させる効果があると、
医学的にも確認されています。
- おへそのあたりに手を軽く置く。
- 体の力を抜き、下腹部をへこませるように、口からゆっくりと長く息を吐く。
- 苦しくなってきたら、鼻からゆっくりと息を吸う。
1~3の過程を繰り返し、5~10分ほど行ってください。
緊張や不安を吐き出すイメージで
吐く息に注意を向けると、
気持ちが落ち着きやすいでしょう。
②漸進的筋弛緩法
筋肉の緊張と弛緩を繰り返すことにより、
体をリラックスさせる方法です。
手足から始め、徐々に全身の筋肉に意識を向けます。
- てのひらを上にして両腕を伸ばし、親指を曲げて握る。
- 10秒間力を入れて握る。
- ゆっくりと手をひろげ、両手を膝の上に置く。
- 15〜20秒間、脱力する。
- 上腕、背中、肩、首、顔、腹部、足、全身も同じように緊張と弛緩を繰り返す。
終わった後は深いリラックス状態を
解除するための消去動作が必要です。
手のひらを開いたり閉じたりする動作や、
息を吸いながら天井に向かって
大きく伸びをする動きをしてみましょう。
最後に息を吐きながら脱力して終了します。
体力低下や疲労が蓄積している場合には、
より症状が強くなる可能性もあります。
とくに、循環器疾患や精神疾患、
がんなどの治療中の場合は注意をしましょう。
開業医のメンタルケア
開業医にとって、安定したメンタルヘルスを保つことも大切です。
開業医に必要なメンタルケア方法を2つご紹介します。
①信頼できる相手に相談する
家族や友人、同業者など、自分の気持ちを
理解してくれる相談相手を持ちましょう。
自分の感情を素直に表現することで
ストレスが軽減されます。
第3者との会話を通じて、新たな視点や
解決策が見つかることも多いでしょう。
しかし、開業医の悩みは周囲に
相談しにくいケースも多く、
一人で抱え込んでしまうこともめずらしくありません。
趣味を通じて仲間をつくったり、
開業医が集まるコミュニティに参加したりするのも良い方法です。
②専門家によるカウンセリング
深刻なストレスを抱えている場合は、
専門家のカウンセリングを受けましょう。
カウンセラーは悩みへの共感に加え、
問題に対する解決策を一緒に考えてくれます。
それぞれの状態にあったカウンセリングを
受けることで、自分自身の気持ちや
今後の方向性に向き合うきっかけにもなるでしょう。
先述したように、開業医のストレス要因は多岐に渡ります。
そのため、悩みの種類によって
相談する専門家を変えた方が時間の節約にも有効です。
たとえば、「不安が強くて夜眠れない」
「食べ物を美味しいと思えない」など、
身体症状が出ている場合は
専門医の診察やカウンセリングを受けましょう。
一方、法律や金銭面の問題で悩んでいる場合は、
弁護士や税理士といった専門家に相談することが必要です。
ストレスマネジメントで開業医のストレスと上手に付き合おう
開業医がストレスと上手に付き合うには、
忙しい業務の合間に実践できる対処法を
習得したり、第三者に相談したりすることが大切です。
自分にあった対処法を見つけ、
周囲のサポートを上手に取り入れながら、
上手にストレスと付き合っていきましょう。
公認心理師 Y.N