新型コロナウイルス(COVID-19)の影響により、
患者さんの受診率が低下しています。
特に小児科ではその傾向が顕著であり、
経営状態の悪化に繋がっています。
2020年4~6月の中で前年同月に比べて、
医業収入が30%以上減少した月がある小児科(診療所)は
6割近くに上っています。1*
経営の危機に瀕している小児科において
どのように集患をしていけばいいのか、5つの方法をご案内します。
患者さんはなぜ減った?
新型コロナウイルスの流行により、さまざまな立場から
それぞれの憶測や意見が飛び交い、どの情報が正しいのか、
どの対応が正しいのかわからない時期が続きました。
その混乱の中、病院への受診を差し控える動きが出ました。
特に小児科では、幼稚園や学校の閉鎖や、
再開後の感染対策などにより、感染症の流行も
例年に比べて少ない傾向にあり、
さらに受診率が低下していると考えられます。
2020年4月では、小児科の入院外件数(社保・国保)が
前年同月に比べて37.9%低下しており、受診率の低下が著しいです。2*
受診率が減ることによる弊害
感染症の流行がなく、子ども達が元気なことは喜ばしいことです。
しかし、感染症がまったくゼロということはありえません。
少々の熱なら…と受診を差し控えることで
重症化してしまうケースや、川崎病や白血病などの
重篤な疾患の診断が遅れるケースも起こり得ます。
また、経営面においても、非常に厳しい状態となっている
クリニックは少なくありません。
小児科が閉院してしまえば、その地域の子ども達の
受診先が無くなってしまうことにもなります。
そうならないためにも、どのような対策をすればいいでしょうか?
集患対策はなにをすべき?
小児科への受診率を上げる方法を5つご紹介します。
1.感染対策は万全を期す
新型コロナウイルスの感染対策について、
待合室のイスの間隔を空けたり、共用のおもちゃや本を撤去するなど、
すでに対策を講じられていることでしょう。
他にできる対策がないか、ぜひこちらの記事もご覧ください
↓
「コロナ禍で患者さんが安心できる小児科とは?求められる4つの対応」
2.感染対策の内容を広める
対策を実施するだけでなく、その内容を院内に掲示したり、
院外に向けて発信することが大切です。
クリニックのホームページの「お知らせ」や
「新着情報」などに感染対策の取り組みを掲載したり、
SNSやブログを運営している場合はそこでも告知しましょう。
また、自治体の広報やタウン情報誌などに、
クリニックの紹介や感染対策について
掲載してもらうのもいいですね。
これらの情報は、患者さんの安心感を高め、
受診への意欲を高められるはずです。
受診者に、子ども用マスクをプレゼントするのもおすすめです。
3.予防接種の啓発と予防接種外来の設置
予防接種は子どもの命を守る大切な感染症の予防法です。
そのことを周知し、予防接種の打ち忘れが無いよう、
受診を促す必要があります。
特に低月齢の赤ちゃんは、予防接種のスケジュールが過密ですが、
感染に対する不安から親御さんが予防接種をためらうケースもあります。
その不安を緩和する方法として下記の方法があります。
■予約制にする
■曜日や日時を決めて予防接種外来を行う
■院内で受付や診察室を一般診療と完全に分ける
4.ホームページを充実させる
web上の看板となるホームページは、
受診を迷う人を受診へと後押ししてくれるツールです。
この機会に、ホームページの内容を見直してみましょう。
コンテンツについては、ぜひこちらの記事をご覧ください
↓
「クリニックのホームページに求められるコンテンツとは?」
5.オンライン予約・web問診表などの導入
患者さんは待ち時間が長いのを嫌います。
時間的なこともそうですが、感染の機会を増やすという不安もあります。
そのため、診察までの時間はなるべく短くしたいところです。
オンライン予約や順番取り、web問診表を導入することで、
待ち時間の短縮や、待つかもしれないという不安の解消に繋がり、
受診へのハードルを下げることが期待できます。
親の不安を緩和することが大切
小児科の集患において、大切なのは親御さんの不安を緩和することです。
受診することで感染症をもらってきたらどうしようと
思う方は少なくありません。
その不安を緩和することが集患に繋がりますので、
ぜひ上記の対策を参考にしてみてください。
看護師 S.H.
参考サイト
1* 日本医師会 新型コロナウイルス感染症の 診療所経営への影響 2020 年 4 ~ 6月分
http://dl.med.or.jp/dl-med/teireikaiken/20200909_2.pdf p4
2* 日本医師会 新型コロナウイルス感染症対応下での 医業経営状況等アンケート調査(2020 年 3~4 月分)
http://dl.med.or.jp/dl-med/teireikaiken/20200610_6.pdf p7