
2024年12月2日、
従来の健康保険証の新規発行が廃止され、
2025年12月1日までは利用可能なものの、
12月2日以降は利用できなくなります。
これにより、マイナンバーカードを
保険証として利用登録した
「マイナ保険証」の実用が進められています。
厚生労働省の発表によると、
全国の診療所のうち、
マイナ保険証が利用できるのは
約8万件となっており、約8割の診療所が
制度に対応を始めています。
(2025年2月23日現在)
マイナ保険証への移行は
クリニック経営にもさまざまな
メリット・デメリットをもたらします。
保険証がマイナンバーカードに
一体化されるまでに
内容を把握しておくと良いかもしれません。
この記事では健康保険証廃止が
クリニック経営に与える
メリットや影響についてご紹介します。
参照元:厚生労働省「マイナンバーカードの健康保険証利用について」
厚生労働省「マイナンバーカードの健康保険証利用対応の医療機関・薬局等についてのお知らせ
健康保険証廃止の概要
2024年12月2日、
従来の健康保険証の新規発行が廃止され、
マイナンバーカードと保険証を
一体化したマイナ保険証が実用化されています。
従来の健康保険証が廃止されるに至った理由は主に以下の通りです。
● 保険者ごとにデザインやカラーが異なり確認に手間を要する
● 転職時に再発行が必要である
● 顔写真がないためなりすましや不正のリスクがある
● 患者さん自身が医療情報を確認できない
● マイナンバーカード自体の普及率向上のため
こういった課題解決のために、
徐々に従来の健康保険証から
マイナ保険証への移行が進んでいます。
2024年12月末現在、マイナンバーカードを
保険証として利用できるよう登録した人数は、約8千万人です。
一方で、同時期のマイナ保険証の利用率は
25.42%と低迷しているのが現状です。
ただし、2025年12月2日以降は
従来の健康保険証は利用できないため、
急速に普及が進むことが予想され、
クリニックでも各種対応が必要となります。
参照元:厚生労働省「マイナンバーカードの健康保険証利用について」
日本経済新聞「マイナ保険証の利用率、12月は25% 一本化で普及拡大」
健康保険証からマイナ保険証に移行するメリット
健康保険証からマイナ保険証に移行するメリットは主に以下の4つです。
- 患者さんの医療情報を医療従事者や患者さん自身が迅速に共有・閲覧できる
- 高額療養費の限度額を超える支払いが免除される
- 確定申告における医療費控除の申請が容易になる
- 医療機関の事務負担が軽減される
これらのメリットは医療機関と患者さんの
双方に享受されるため、今後のさらなる普及が期待されます。
1.患者さんの医療情報を医療従事者や患者さん自身が迅速に共有・閲覧できる
マイナ保険証の最大のメリットは、
患者さんが同意すれば
マイナンバーカードに紐付けられた
患者さんの医療情報
(処方履歴や特定検診の検査結果など)を
医師や薬剤師がスムーズに共有できる点です。
かかりつけクリニックや病院、
行き慣れた薬局はもちろん、
初めて行く医療機関や薬局でも、
マイナ保険証さえあれば
医療従事者は過去の医療情報を取得することができます。
そのため、より良い医療を提供できる可能性が高まります。
2.高額療養費の限度額を超える支払いが免除される
これまでは高額な医療費を
一旦自分で支払い、
高額療養費制度の支給申請書を
提出することで上限額を超えた支払い分が
キャッシュバックされていましたが、
マイナ保険証を利用すれば
上限額を超える支払いは最初から免除されます。
3.確定申告における医療費控除の申請が容易になる
医療機関の受診履歴や支払い履歴は
マイナポータルに保存されるため、
e-taxと連携することで医療費控除の申請が
容易に行える点もメリットです。
4.医療機関の事務負担が軽減される
これまで健康保険証の情報を
院内スタッフがシステムに手入力したり、
問診で服薬履歴などを聴取したりする
必要がありましたが、
マイナ保険証では全て自動化されるため、
医療機関の事務負担が大幅に軽減されます。
健康保険証廃止がクリニックに与える影響
マイナ保険証は今まさに過渡期です。
先述したようにクリニックにとっても
患者さんにとっても多くのメリットが期待されます。
一方で以下のようなさまざまな影響も懸念されます。
- カードリーダーなどの導入が必要となる
- スタッフへの教育が必要となる
- しばらくは両方の保険証に対応できるようにしておく必要がある
1.カードリーダーなどの導入が必要となる
マイナ保険証の読み込みには
専用のカードリーダーが必要となります。
そのため、患者さんの受診数に
見合った数のカードリーダーを
各医療機関が購入する必要があります。
2.スタッフへの教育が必要となる
カードリーダーを導入したとしても
実際の使用法やトラブル対応について、
事前にスタッフへの教育が必要不可欠です。
3. しばらくは両方の保険証に対応できるようにしておく必要がある
2025年12月までは従来の保険証と
マイナ保険証両方に対応できるようにしておく必要があります。
それぞれの対応について
マニュアルを作成するなど、
しっかり対策しておくことが重要です。
まとめ
この記事では、健康保険証の廃止と
マイナ保険証普及に伴うクリニックへの影響についてご紹介しました。
2025年12月で従来の健康保険証は
使用できなくなるため、残りの期間で
マイナ保険証に対応できるよう環境整備することが必要不可欠です。
院内スタッフが混乱しないよう、
これを機に早期から教育やマニュアル作成に着手すると良いかもしれません。
医師 H.N.
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