
クリニックの広告はうまく活用できれば
高い集患効果を得ることができますが、
その内容には注意が必要です。
医療広告の内容はガイドラインによって
一部規制されており、
違反すれば罰則の対象にもなります。
そこで本記事では、
クリニック経営者が注意すべき
医療広告ガイドラインや
具体的な違反事例について詳しく解説します。
医療広告ガイドラインとは
「医療広告ガイドライン」とは、
厚生労働省が医療法に基づいて定めた
医療機関が広告を出す際のルールブックです。
患者さんが虚偽の広告や誇大広告によって
不利益を被るのを防ぎ、安心して適切な
医療機関を選択できるようにするため、
広告に関する禁止事項や遵守すべき基準が
詳細に定められています。
近年、病院が経営破綻や
閉鎖に追い込まれる中、
クリニック数は増加傾向を維持しており、
競争は激化する一方です。
そのため、クリニック経営において、
良質な医療の提供はもちろんのこと、
いかに自施設を広く上手に広告できるかが
非常に重要となっています。
しかし、下記2点の理由から、
医療に関わる広告は、
医療法で限定的に認められた事項以外は
規制されています。
- 医療は人の生命・身体にかかわるサービスであり、不当な広告により受け手側が誘引され、不適当なサービスを受けた場合の被害が他の分野に比べ著しいため
- 医療はきわめて専門性の高いサービスであり、広告の受け手はその文言から提供される実際のサービスの質について事前に判断することが非常に困難であるため
ホームページについても同様に
この規制の対象となっています。
平成29年(2017年)に
医療法が改正され、
翌年の6月より施行されてから、
ホームページにおける情報提供の
あり方についても規制対象となりました。
その後も社会情勢の変化に合わせて
見直しが重ねられ、
令和8年(2026年)3月に
最新の改訂が行われています。
ホームページの規制が進んだ背景には、
さまざまな自由診療の増加によって、
消費者庁への相談件数が
増加したことが挙げられますが、
規制は自由診療に限ったことではありません。
もし規制に違反した場合、
医療機関は是正命令や罰則の対象となります。
医療広告ガイドラインの違反事例
医療広告ガイドラインでは、
禁止される広告の基本的な考え方として
以下の5つの広告を禁止しています。
- 比較優良広告
- 誇大広告
- 公序良俗に反する内容の広告
- 患者その他の者の主観または伝聞に基づく、治療等の内容または効果に関する体験談の広告
- 治療等の内容または効果について、患者等を誤認させるおそれがある治療等の前または後の写真等の広告
1.比較優良広告
比較優良広告とは、
他の医療機関と比較して自施設が
優れていることを強調する広告のことです。
例)
- 日本一の手術件数を誇る
- 県内で専門医数No.1
上記のような、最上級である表現は
禁止されています。
「手術件数県内10位以内(〇〇調べ)」
のような客観的な事実を記載する場合でも、
調査結果の出典や調査範囲、実施時期など、
エビデンスを明示する必要があります。
2.誇大広告
誇大広告とは、
必ずしも虚偽ではないが、施設規模や
人員配置、提供する医療について
過度に誇張した内容の広告です。
例)
- 最先端の医療機器を駆使
- 最適な医療を提供
- 10名の医師が在籍(本当は5人)
上記のような、患者さんに過度な期待や
誇張されたイメージを抱かせるような
表現は禁止されています。
3.公序良俗に反する内容の広告
公序良俗に反する内容の広告とは、
内容が社会倫理や道徳に反するような広告です。
例)
- わいせつもしくは残虐な図画や映像の使用
- 差別を助長する表現
上記のような広告によって、
患者さんに不快感を与えたり、
偏見を植え付けたりする可能性があります
4.患者その他の者の主観または伝聞に基づく、治療等の内容または効果に関する体験談の広告
治療等の内容や効果に対する
体験談や口コミの掲載は、
それが真実であるかどうかを問わず禁止されています。
SNSや動画等を通じた紹介も同様に
規制の対象となります(InstagramやYouTubeなど)。
例)
- 〇〇病院に行ったら、何年も治らなかった腰痛がすぐに治りました
- 〇〇県の中では△△病院が一番良い病院です
患者さん自身が投稿した場合も、
医療機関が掲載を依頼するなど
自発的な投稿とは認められない場合、
規制対象となります。
治療内容や効果は、
患者さんによって個人差があり、
他の患者さんに治療効果を
誤認させる恐れがあるため、
注意が必要です。
5.治療等の内容または効果について、患者等を誤認させるおそれがある治療等の前または後の写真等の広告
いわゆるビフォー・アフターの写真掲載は
たとえそれが真実のものであっても禁止されています。
やはり、治療内容や効果は
患者さんによって個人差があるため、
その写真を見た患者さんが誤認する恐れがあります。
なお、写真と共に詳細な説明
(治療内容や費用、リスク、副作用など)
を行った場合に限り、
写真の掲載は認められています。
まとめ
この記事では、
クリニック経営者が注意すべき
医療広告ガイドラインについて紹介しました。
患者さんに過度な期待や誤ったイメージを
抱かせるような広告方法は、
結果として患者さんの満足度を低下させ、
クリニックのイメージを低下させる可能性があります。
医療広告ガイドラインを遵守し、
適切な方法で自施設の魅力をアピールし、
より良い医院経営を目指しましょう。
医師 H.N.



