医療接遇を向上!パンフレットを使った患者指導で「伝わらない」を防ぐコツ

パンフレットを使った患者指導は、
クリニックでは日常的に行われており、
標準化した医療接遇を提供するために必要なツールです。

2026年現在、タブレットや
スマートフォンの普及により、
様々なツールがデジタル化していますが、
紙媒体のパンフレットは手元に残りやすく、
特定の内容を過不足なく伝えられるため、とても有用です。

ところが、
「ちゃんと読んで説明したのに伝わっていない」
「あとから全然違う解釈をされていた」
という経験はありませんか?

そこに"読み聞かせの落とし穴"が潜んでいるかもしれません。

パンフレットは説明の補助ツール

パンフレットは、患者指導のための道具です。
大切なのはパンフレットを用いて
患者さんと双方向のやりとりをすることです。
パンフレットを読み上げることではありません。

例えば「階段の上り下りは控えてください」と書かれていたとします。
その一文をただ読むだけでは、
患者さんの行動を変えることはできません。

患者さんがどんな環境で暮らしているのか?
階段は避けられるのか、誰が手助けできるのか?
具体的な背景を確認することが重要です。

患者さんの背景を把握することで、
患者さん自身に、説明内容を
自分事として
想像・理解してもらいやすくなるでしょう。

その上で
「では、お風呂に行くには階段が必要なのですね。できるだけ1日1往復で済むようにしましょうか。」
など、現実的な対策を一緒に考えることができます。

「○○しましょう」
「○○は控えてください」
という行動変容の指導は、
具体的に、いつ、どのようにするのかを
確認することがポイントです。

患者さんが1人で
具体的な方法を考える負担を避け、
「こうすればいいんだ」
と納得してもらえる方法を
一緒に考えることが重要です。

口コミにも影響?パンフレット読み上げのリスクとは

もう1つ大切なのは、患者さん自身が
「ちゃんと説明してもらえた」
という実感を持てるかどうかです。

パンフレットを読み上げるだけでは、
「相手は自分のことを見て話してくれていない」
「説明という既成事実を作るためだけで、説明に意味はない」
「クリニックは自分を大切にしていない」
と感じてしまうかもしれません。

広く一般的に伝えるためのパンフレットは
個々の方に向けた表現が反映されづらいため、
ただ読むだけでは、患者さんの信頼を下げてしまうリスクがあります。

また、一般的な説明は義務的な印象を持たれ、
“説明をした履歴を残すため説明した”
と取られることもあります。

筆者も患者として通院した際に、何度か経験があります。
処方薬の副作用の説明や、
検査の注意事項の案内を受ける際、
まるで不都合が生じた時に
「説明責任は果たしましたよ」
と言わんばかりだな…と感じました。
非常に残念に思っただけでなく、
家族や友人には勧められない…とも思いました。

患者さんはクリニックの保身的な行為には敏感です。

最近は、SNSやGoogleマップなどの
口コミがクリニックの集患を大きく左右します。
患者さんに向き合った質の高い医療接遇で、
このような違和感を防ぎたいものです。

具体的な質問が全く出ないときは要注意

患者さんに説明を終えた後、
「分からないことはありますか?」
と確認して
「大丈夫です」と言われたとき、
本当にすべて伝わっていると安心していませんか?

患者さんは、当事者として想像し、
理解ができていないため、
“疑問すら起こらない…”
“分からないことが分からない”
という状態かもしれません。

この状態を防ぐためにも、
パンフレットの内容を
患者さんに適した言葉で言い換えたり、
患者さん自身の生活でイメージできるか
聞いてみたりするなど、双方向のやりとりを意識することが大切です。

パンフレットを口頭で説明する意味はそこにあります。
患者さんの行動変容を促し、
信頼関係を構築するために、
患者さんにあった情報を補充することが求められます。

まとめ

医療接遇において、パンフレットはとても便利なツールです。
しかし単なる読み聞かせでは患者さんの心に届きません。
説明する側が
「この人にとって、どんな情報が必要か」
を想像しながら関わることで、
パンフレットの効果は何倍にもなります。

「ちゃんと説明したのに伝わらない」
そんなモヤモヤを感じたときは、
パンフレットの読み聞かせになっていないか、
日々の医療接遇を立ち止まって振り返ってみてもよいかもしれません。

看護師 M.K.

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