患者さんもスタッフも快適!クリニックで選ぶべき機能性カーテン

クリニックの快適性を考えるうえで、
内装や設備の工夫は欠かせません。
中でも見落とされがちな存在が
「カーテン」です。

待合室や診察室の窓に使われるカーテンは、
空間の印象を左右するだけでなく、
患者さんの快適性や感染対策にも
大きく関わります。

そこで今回は、
夏に向けて特に注目したい
「日差し対策」「花粉やホコリの侵入対策」
「抗菌・抗ウイルス機能」など、
機能性カーテンの選び方について解説します。

院内のカーテンに求められる主な機能とは

医療機関において、
カーテンは単なる目隠しではありません。

快適な待合室をつくるために
カーテンの機能性を重視することで、
患者さんに喜ばれるクリニックをめざせます。

特にクリニックの待合室では、
以下の4つの機能が重要になります。
機能ごとに注意点もあるため、
自院に必要な機能のカーテンを選択することが重要です。

1. 日差し・紫外線の遮断

夏場は西日や強い直射日光が差し込み、
待合室や診察室の温度が上昇したり、
まぶしさで患者さんが不快に感じたりすることがあります。

そこで、遮光性・遮熱性のあるカーテンを
設置することで、室内温度の上昇を防ぎ、
エアコン効率の向上につながります。
また、紫外線カット機能があると、
家具や医療機器の日焼けや劣化も防ぐことが可能です。

<注意点>
遮光性のあるカーテンは
光を遮る効果が非常に高いため、
待合室が暗くならないように注意が必要です。
日差しが強くなる時間のみで使用したり、
カーテンの色や照明の明るさで
工夫したりすると良いかもしれません。

2. 花粉・ホコリの侵入対策

クリニックの入口や窓のカーテンには、
静電気を抑える加工がされたものや、
花粉キャッチ機能付きのものを選ぶようにしましょう。
屋外からの花粉やホコリの侵入を軽減できます。

特に春先から秋にかけて、
花粉症の患者さんが多く訪れる内科では、
こうした対策は患者さんの快適性にも直結します。

<注意点>
一般家庭などに比べて
クリニックは人の出入りが頻繁にあり、
多くの花粉やホコリが付着するため、
洗濯頻度が多くなる傾向があります。
特に花粉シーズンは、2週間に1回程度の洗濯を推奨する場合が多いです。
※メーカーごとに推奨する洗濯頻度は異なります
カーテンに溜まった花粉やホコリが
待合室に舞い上がる可能性もあるため、
こまめな洗濯が必要になります。

3. 抗菌・抗ウイルス・抗かび機能

細菌やウイルスを吸着分解したり、
かびの増殖を抑制したりする効果があり、
清潔感のある空間を保つのに役立ちます。

日本の夏は湿度が高く、
環境によってはカーテンが
雑菌やかびの温床になることも多いです。
機能性カーテンでリスクを抑えましょう。

<注意点>
洗濯や経年劣化で、効果が徐々に弱まります。
メーカー推奨の洗濯方法を守り、
効果が薄れてきたら定期的な買い替え検討が必要です。

4. 防炎性能

病院やクリニックなどの医療機関では、
防炎加工が施されたカーテン
(防炎カーテン)の使用が消防法により義務付けられています。

カーテンを購入する際は
防炎ラベルの付いたものを選び、
万が一の火災時にも安全性を確保することが重要です。

 参照元:日本防炎協会「防炎物品の種類と防炎規制の対象となる防火対象物」

<注意点>
防炎カーテンの効果持続期間は約5年とされています。
消防法では
「防炎性能が確保され続けること」
が義務化されていますので、
定期的な点検や交換をおすすめします。

カーテンと一口に言っても形状はさまざま

カーテンの形状は、その場の印象に大きく影響を与えます。
クリニックの雰囲気や用途に合った形状を選びましょう。
ここでは4つの種類をご紹介します。

1. プリーツカーテン(ヒダあり)

家庭用によく使われるカーテン形状です。
空間にやわらかさを与え、
しわが目立ちにくいのが特徴です。
ヒダの多いものでは、高級感やエレガントの雰囲気を演出できます。
また、機能性生地のバリエーションも豊富です。

しかし、ヒダがあるため、
以下の点に注意が必要です。
・カーテンを開けた際に束ねた生地が場所を取ってしまう
・ヒダ部分に花粉やホコリが溜まりやすい
・洗濯後、ヒダが崩れる可能性がある など

2. フラットカーテン(ヒダなし)

シンプルで掃除しやすく、
業務用に使いやすいのが特徴です。
また、スッキリと束ねられるので、
使用する場所を選びません。

特にクリニックでは、
上部がメッシュになっているタイプが
点滴室や処置室の仕切りとしてよく使われています。
上部がメッシュになっていることで、
火災などでスプリンクラーが稼働した際に
水の散水を妨げない効果もあります。

3. ロールスクリーン型

生地を上下に開閉でき、
収納時には上部に生地を巻き取るため
省スペースで設置できます。
掃除や交換が簡単で清潔を保ちやすい点も特徴です。

機能性生地も豊富なため、
完全な目隠しや遮光が必要な部屋で
使用されることが多いです。

4. ブラインド型

一般的なブラインドは上下開閉ですが、
「バーチカルブラインド」
と呼ばれる左右開閉が可能なタイプがあります。

スタイリッシュな印象で、
採光の調整をしやすいのが特徴です。

大きな窓への採光・視線対策として、
クリニックの待合室に使用されることが多いです。

閉め切っていても完全に密閉されないため
かびの発生リスクが低いです。
また、水拭きや掃除機によるお手入れで
清潔を保ちやすいというメリットもあります。

感染対策・快適性を高めるための活用法

カーテンは見た目以上に、
院内感染対策や温熱環境の改善に貢献できます。
それぞれの特長をご紹介します。

■感染対策の一環として

診察スペースや処置室の仕切りとして
カーテンを使用すれば、
咳やくしゃみによる飛沫の拡散を
物理的に緩和する効果が期待できます。

また、定期的な洗濯や交換をすることで、
感染対策を継続しやすくなります。

 参照元:日本環境感染学会「感染経路別予防策」PDF

■空調効率の改善

遮熱・断熱カーテン を使うことで、
夏場は冷房の効率が上がり、
冬場は室外の冷気を抑え、
暖房の効率が上がります。
これにより、患者さんの体感温度も安定します。

また、室温管理の補助になるため、
体温調整機能が不安定な高齢者や小児も
快適に過ごすことができます。

さらに、節電につながるため、電気代の抑制にも効果的です。

見た目だけでなく機能で選ぶカーテンへ

カーテンは、診療に直接関係のない「背景」ではありません。

患者さんに安心感を与える空間作り、
快適性の向上、感染対策、熱中症予防など、
あらゆる面でクリニックの質を支えるアイテムです。

夏に向けて環境改善を図るなら、
カーテンの見直しから始めてみるのも1つの手です。
機能性と衛生性を兼ね備えた
カーテンを取り入れることで、
患者さんもスタッフも過ごしやすい空間を作れるでしょう。

看護師 S.H

この記事が気に入ったら
フォローしよう

最新情報をお届けします

Twitterでフォローしよう

おすすめの記事